2022年03月30日

4回目のコロナワクチン接種

4回目のコロナワクチン接種

<短 報>
Not Everyone Needs a Second COVID Booster




 日本政府の見解も、4回目の新型コロナワクチン接種(2回目のブスター接種)
は、高齢者(65歳以上)を対象のようです。FDAは、対象を50歳以上との
報道もあります。アメリカの医療ネットの情報がありましたのでブログします。


 1) 新型コロナワクチンは、社会全体での感染を防ぐ効果は
    明らかであるが、残念ながら時間の経過とともに、
    その効果は減弱している。

 2) 新型コロナのパンデミック当初と比較すると、重症度は低下し、
    エンデミックに移行している傾向だ。
    しかし、感染力はむしろ増加しており、2回目のブスター接種の
    対象も、その事を念頭に入れることが必要である。

 3) アメリカFDAのEUA(緊急使用許可)は、
    ファイザーとモデルナの2回目のブスター接種を承認しました。
    それを受けて、ファイザー社は対象を65歳以上、
    モデルナ社は全年齢をEUAに求めています。

 4) 筆者は、新型コロナのブレイクスルー感染を防ぐためには、
    2回目のブスター接種が避けられない。
    しかし、健康な人で、重症化の危険がなければ、
    その接種の対象と考えなくてもよいとしています。



私見)
 70歳を目前の妻は、「私はもう接種をしなくても良いんでしょう」と
いっています。そうじゃなくって、軸足はあくまでも2回目のブスター接種が必要
との認識です。






Not Everyone Needs a Second COVID Booster _ MedPage Today.pdf












posted by 斎賀一 at 21:53| ワクチン

2022年03月29日

Long COVIDの記憶障害

Long COVIDの記憶障害

短 報
COVCOG 1: Factors Predicting Physical, Neurological and
Cognitive Symptoms in Long COVID in a Community Sample



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 新型コロナの感染後に症状が長引くケースが認められ、Long COVIDとして関心が寄せられて
います。Long COVIDの10人中7人に記憶障害、認知機能低下があるとの論文が掲載されて
います。長文のため元文献を下記に掲載ますので、後で検討してください。


1) Long COVID は181人の登録です。対象は6か月以上前にコロナに感染し、ほとんどが
   入院していない方です。
   78%が集中力低下、66%が頭がボーとする、68%が物忘れ、60%が言葉が出ないで
   した。図や言語検査において明らかな低下を示していました。
   この結果は、各正常の年齢層と比較しても認められました。
   新型コロナの症状が継続している人に、この記銘力低下は顕著でした。

2) 感染後3週間でもコロナ症状が軽快していない場合に、6か月での記憶障害が認められる
   との事です。つまり感染後3週間が予測因子となります。
   認知障害、言語障害、視覚障害などが、記憶障害の予測因子となります。






私見)
 新型コロナ感染後、1か月近くも症状の改善が認められない場合は、認知機能を含めた検査を
 することが大事な様です。








コロナ 記憶障害.pdf









posted by 斎賀一 at 20:12| 感染症・衛生

2022年03月28日

脳卒中の残余リスクとしての中性脂肪・二次予防

脳卒中の残余リスクとしての中性脂肪・二次予防

Prognostic Role of Hypertriglyceridemia in Patients
With Stroke of Atherothrombotic Origin

短 報


30428.PNG

       

 総コレステロール、特に悪玉コレステロールとしてのLDLコレステロールは動脈硬化による
心血管疾患の危険因子として確立し、スタチン系薬剤の使用によりその予防効果も認められて
います。
しかし、スタチン投与によりLDLを低下させても、心血管疾患の残余リスクは50%近くもある
とされています。
残余リスクとしては、低HDLと共に中性脂肪も考えられています。

 今回、日本の研究機関から脳卒中並びに一過性脳虚血発作と中性脂肪との関係を、二次予防の
観点から前向きな試験の報告がありました。


1) 虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作を発症した患者870人を、1週間以内に連続して登録
   しています。その後の経過観察は1年間です。平均年齢は70歳、男性が61%です。
   高中性脂肪は空腹時で150以上としています。217人が高中性脂肪血症でした。

2) アテローム血栓性脳梗塞または一過性脳虚血発作の再発は、高中性脂肪血症群で年間
   20.9%に対して正常群では9.7%でした。
   心血管疾患の発生は174例で、高中性脂肪群は35.1%に対して正常群では14.2%です。
   頭蓋内動脈狭窄のある247例の場合は、高中性脂肪群で年間29.9%に対して正常群
   14.7%。頚部の頸動脈狭窄のある123例では、高中性脂肪群は23.0%に対して正常群
   では9.4%です。
   以前にアテローム血栓性脳梗塞の既往があった人でも、再発は高中性脂肪群は16%に
   対して正常群では12%です。急性冠症候群の発生は高中性脂肪群で8%に対して正常群
   では0.9%です。
   一方で心源性脳卒中221例は高中性脂肪群が19.1%に対して、正常群では10.5%と明白な
   予測因子でありませんでした。





私見)
 筆者も指摘していますが、本来は中性脂肪を測定するには食後が良いとしています。
 脳卒中の二次予防には、中性脂肪が残余リスクとなります。
 スタチン系とフィブレラート系の併用は現在では可能ですが、注意が必要です。
 まずは生活習慣の改善の徹底が第一歩です。
 診断、治療にあたって川の流れに従って船を浮かべていれば良いかもしれませんが、そのよう
 な悠長な事が出来ないなら、櫂を2本携えなくてはなりません。
 その一つが頚部エコーだと思っています。
 (残余リスクとは、HDLコレステロールと中性脂肪がLDLコレステロール低下療法で解決でき
 ない場合の残余リスクであり、治療ターゲットとなります。) 






Prognostic Role of Hypertriglyceridemia.pdf









posted by 斎賀一 at 22:02| 循環器