小児の市中肺炎に対する抗生剤の投与期間
<短 報>
Short- vs Standard-Course Outpatient Antibiotic Therapy
for Community-Acquired Pneumonia in Children
for Community-Acquired Pneumonia in Children
外来での抗生剤の投与期間に関しては、古くて新しい問題です。
溶連菌感染症においても、短期(5日間)と長期(10日間)のスタディが以前から行われて
います。
今回は、従来健康な小児の市中肺炎における、短期(5日間)と長期(10日間)の抗生剤
投与について比較したスタディが雑誌JAMAに掲載されています。
1) 対象は合併症のない小児の市中肺炎です。
6か月〜71か月の380名で平均年齢は3歳
2016年12月2日から2019年12月16日まで調べています。
適応基準は、48時間以上の発熱、胸部レントゲン、多呼吸、救急外来の医師の診断です。
除外基準は、持続する発熱、2歳以下で50以上の多呼吸、2歳以上で40以上の多呼吸、
重度な咳嗽です。
2) 5日間の抗生剤投与後に更に5日間、継続服用する長期(10日間)群と、その時点でプラ
セボに切り替える短期(5日間)群で比較しています。
使用する抗生剤は、アモキシシリン(サワシリン、ワイドシリン)、オーグメンチン
(クラバモックス)、セフジニル(セフゾン)です。
3) 主要転帰は、適切な臨床効果、症状の軽快、抗生剤の副作用です。
具体的には、投与後4日目で症状の改善、明らかな多呼吸の改善、発熱のスパイクが1回
以下、抗生剤の追加がない、入院の必要性がないとしています。
6〜10日と19〜25日で調べています。
4) 結果
主要転帰は、短期(5日間)群と長期(10日間)群に差はありませんでした。
効果は短期(5日間)群が108 of 126 children(85.7%) 対長期(10日間)群が
106 of 126 children (84.1%) です。
治療不応は両群とも少なく10%以下でしたが、統計学的に7%前後の範囲で長期
(10日間)群の方が治療不応は優位でした。
抗生剤の耐性を遺伝子レベルで調べていますが、長期(10日間)の方が明らかに耐性が
増加していました。
抗生剤の副作用と耐性に関しては、短期(5日間)群の方が69%優位です。
私見)
実地医家の場合は、肺炎の疑いを的確にし、抗生剤の適正使用に心掛けることが肝心な
様です。
Short- vs Standard-Course Outpatient Antibiotic Therapy for Community-Acquired Pneumonia in Children_ The SCOUT-CAP Randomized Clinical Trial _ Infectious Diseases _ JAMA Pediatrics _ JAMA Network.pdf