2021年12月28日

ネット情報 12月28日

             ネット情報 12月28日



 本年最後のブログとなります。ネットから私の目に留まった情報を掲載します。
年末年始の時間が空いた時に職員の皆さん、見てください。


 画家の愛光が「立派な絵を描いていれば、必ず天は助けてくれる」と言っていたそうです。
終戦間近で召集された時に、ありったけの画材を背負って出兵したそうです。
軍隊でどのように扱われたかは想像に難くありません。


 来年もコロナで始まりそうです。愛光の境地には遥かに程遠いにしても、少しはまじめに
仕事をすれば、天(天とは誰? まさか??)も認めてくれるかもしれません。
インセンティブなんか期待せず、職員の皆さんとドン・キホーテの心持ちで頑張りましょう。










COVID-19ワクチンに関する提言.pdf

HFpEF+αで薬剤選択を.pdf

アレルギー性疾患でコロナ発症リスク低下.pdf

オミクロン株、低い重症化リスク .pdf

オミクロン株がより広まりやすいことに寄与しうる特徴.pdf

コロナワクチン3種の有効性、流行株で変化?.pdf

そのHFpEF、二次性の精査が必要かも.pdf

バイアグラが認知症リスクを70%低減.pdf

ファイザー製ワクチン、ブースター接種で死亡リスク9割減.pdf

モデルナのブースター接種、オミクロン株に有効.pdf

心不全診療、専門外でも自信ありの条件とは?.pdf

新型コロナ再感染時の重症化リスク.pdf

真のHFpEFにもエンパグリフロジンは.pdf

接種勧奨再開のHPVワクチン、次の課題は?.pdf

半年後の効果低下は限定的 ワクチン、一律の追加接種を批判―WHO.pdf

有害事象を追記、COVID-19ワクチンに関する提言.pdf









posted by 斎賀一 at 19:04| その他

2021年12月27日

コロナ・経口治療薬 モルヌピラビル

コロナ・経口治療薬 モルヌピラビル
 
Molnupiravir for Oral Treatment of Covid-19 in Nonhospitalized Patients
[This article was published on December 16, 2021, at NEJM.org]


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 政府はモルヌピラビルの処方を承認しました。
それに従って、本院も新型コロナに関する診断治療体制を新たに構築する必要性に迫られて
います。

 雑誌NEJMにモルヌピラビルに関する論文が掲載されています。
纏めてみましたが、図表はsuppleの方が理解しやすいのでそれを中心にブログします。
図表が不鮮明のため、クリックして見てください。


1) 低分子のプロドラッグ(経口服用後に体内で変化し、作用を開始する薬剤)であるモルヌ
   ピラビルの効果と安全性を調べています。
   新型コロナ症状が発現して、5日以内に服用を開始しています。
   対象はワクチンを受けていない人、軽症から中等症、外来患者、重症化への危険因子が
   一つでもある人(60歳以上、活動性胆癌患者、慢性腎疾患、慢性閉塞性肺疾患、BMIが
   30以上の肥満、心疾患、糖尿病)です。
   除外対象はすでに入院を予定している患者、透析又はeGFRが30以下、妊婦、白血球及び
   血小板が減少している人、ワクチン接種済の人です。
   モルヌピラビル800mgを1日2回、5日間服用の群とプラセボの群との比較を29日経過後で
   行っています。
   主要転帰は入院率と死亡です。同時にその時点での有害事象も調べました。

2) 本論文には、中間報告とランダマイズされた最終報告の両方を掲載しています。
   中間報告は、目標1,550人の半数が達成された時点で集計しています。
   ランダマイズされた最終報告は、モルヌピラビル群716人とプラセボ群の717人です。
   ランダマイズされた最終報告は世界各国が参加していますので、入院の基準がやや各国で
   異なり、入院率が高めとなるため主要転帰に影響がでています。
   またウイルス量が低い対象者も多くなり、中間報告とランダマイズされた最終報告とでは
   若干の相違が生じています。





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      (上の表は中間報告の内容です。1つ以上の危険因子も上に示します。)




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      (上の表はランダマイズされた最終報告の内容です。)


3) 結果
   中間報告もランダマイズされた最終報告も、両方ともに主要転帰においてモルヌピラビル
   群が優位でした。
   モルヌピラビル群対プラセボ群の比較で、中間報告は7.3%対14.1%
   ランダマイズされた最終報告は6.8%対9.7%です。
   29日時点での死亡はモルヌピラビル群で1人、プラセボ群は9人でした。





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      (上のグラフはランダマイズされた最終報告の結果です。)





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上の表はウイルス量の経過観察を示しますが、モルヌピラビル群の方が5日まではウイルスが
減少し、その後はほぼ同じ経過です。
下の図のようにサブグループ(以前に新型コロナに感染した人、ベースラインでウイルス量が
少ない人、糖尿病患者)の29日時点の点推定ではプラセボ群の方が優位でした。
(点推定に関しては下記のPDFを参照)




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(サブグループの中でも赤線部分は右に寄っているため、プラセボ群の優位を示します。)

有害事象は、モルヌピラビル群で30.4%対プラセボ群が33.0%とほぼ同じでした。
最も多い有害事象は、コロナ肺炎でモルヌピラビル群が6.3%、プラセボ群は9.6%です。
細菌性肺炎は、モルヌピラビル群が2.0%対プラセボ群1.6%です。
新型コロナの悪化は、モルヌピラビル群7.9%対プラセボ群9.8%でした。
症状としては下痢(1.7%対2.1%)、吐き気(1.4%対0.7%)です。





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  (上の図S5は29日時点での悪化を表しています。左移行はモルヌピラビル群が優位
   つまりこの場合は多いことを意味し、下痢、嘔吐が注目されます。)





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S4の上の図は29日時点での症状の改善度を表しますが、S5とS4はモルヌピラビル群が左右
逆になっている点を注意してください。
単純に考えますと、S4からS5を引いた値が副作用ではないでしょうか。
何れにしましても、消化器症状が主のようです。

最後に本論文のグラフを掲示します。





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4) 考察
  モルヌピラビルはスパイク蛋白とは関係がないので、変異株に対しても有効性が期待
  されます。
  また外来での治療が可能となり、モノクロナル抗体治療より利便性が高い。
  ワクチン接種者は除外されているためブレイクスルー感染に対する有効性は確定して
  いない。
  有害事象に関する懸念はなかった。

5) 結論として危険因子が1つでもある患者に対しては、モルヌピラビルは5日以内の早期
   での治療により、入院率と死亡に対して優位に働いています。






私見)
 本薬剤はかなりの高額です。あまねく全ての患者さんには処方できないかもしれません。
 この2年間で、政府の方針転換に対応できる知力を養いました。

 先輩医師に諭されました。
「芸者、役者、医者といって、医者は呼ばれれば何処へでも行く。何の演技でもする。
 その覚悟が必要だ。」






点推定.pdf










posted by 斎賀一 at 19:55| 感染症・衛生

2021年12月24日

抗凝固薬(DOAC)の服薬遵守

抗凝固薬(DOAC)の服薬遵守

Long-Term Medication Adherence Trajectories to Direct Oral Anticoagulants
and Clinical Outcomes in Patients With Atrial Fibrillation


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 心房細動の患者さんを中心に抗凝固薬を処方していますが、主流はDOACです。
アメリカでの話ですが、DOACを中途で止めてしまう患者さんが多いようです。
本院では殆どの患者さんは服薬を遵守してもらっています。しかし、下記の場合は十分な説明が
医療者にとって必要となります。

・比較的若い人
・リスクの低い人 (CHA2DS2-VASc scoreが低い)
・副作用の出血が心配な人
・ワーファリンから変更した人

出血より脳梗塞のリスクが高いことをコンサルトして、個々の患者さんが懸念していることに
向き合う事が大事です。





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本論文.pdf
       




      
   
posted by 斎賀一 at 18:50| 循環器