2021年11月30日

ペパーミントは過敏性腸症候群に効くのか?

ペパーミントは過敏性腸症候群に効くのか?
 
Peppermint Oil Treatment for Irritable Bowel Syndrome:
A Randomized Placebo-Controlled Trial



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 以前の私のブログ(下記PDF)でも、ペパーミントの効力について疑問視されていることを
掲載しましたが、最近も同様の内容の論文が出ています。


1) 133例の過敏性腸症候群で、中等症から重症例を集めています。
   重症度分類のROMEスコアーは500点が最大ですが、その175点以上を対象にしています。
   登録患者の平均スコアー285点です。
   ペパーミントオイル群とプラセボ群を振り分けて、6週間の経過でスコアーの改善を調べて
   います。

2) ペパーミント群の方が若干の効果がありましたが、統計学的に差はありませんでした。
   しかもスコアーを100点まで下げた軽症者では、両群とも臨床的に明らかに効果があり、
   スコアーが50ポイント低下していました。
   つまり、驚くことに両群とも効果ありとの事です。
   副作用は、ペパーミント群で噴門部括約筋の弛緩による胃食道逆流症が認められて
   います。

3) 過敏性腸症候群の患者が医薬品を好まない時にペパーミントを勧めるかは難しい問題だが
   その場合に効果は限定的である点と、胃食道逆流症の副反応も説明することが必要として
   います。







私見)
 依然としてペパーミントの論文がメジャーな雑誌に取り上げられているのは、過敏性腸症候群
 の患者さんにペパーミントの使用が多いことを物語っています。
 長い期間をかけて服用し続けることも大事です。
 服用の方法として、食事の前のゆったりとしたティータイムに、リラックスして時間をかけ
 服用するのも手かもしれません。







本論文.pdf

1 ペパーミントの過敏性腸症候群への効果_.pdf

2 過敏性腸症候群にペパーミントは効果なし?.pdf











posted by 斎賀一 at 19:58| Comment(0) | 消化器・PPI

2021年11月29日

週刊医療情報;ネットより

             週刊医療情報;ネットより



           下記のタイトルでPDFしてあります。
          職員の皆さん、情報を収集して下さい。




・感染性胃腸炎、感染拡大の兆しMedical Tribune
・新・頭痛診療GL、片頭痛予防にCGRP関連薬を強く推奨 :日経メディカル


・25.9%の医師がアナモレリンの処方を開始 :日経メディカル
・2022 診療報酬改定
・接種勧奨、来年4月に再開 HPVワクチン―厚労省Medical Tribune
・新型コロナの経口薬、実用化前に押さえておきたい2つのポイント :日経メディカル


・組換え帯状疱疹ワクチンでギラン・バレー症候群のリスクがわずかに増加 :日経メディカル







1 感染性胃腸炎、感染拡大の兆し.pdf

2 新・頭痛診療GL、片頭痛予防にCGRP.pdf

3 25.9%の医師がアナモレリンの処方を開始.pdf

4 2022 診療報酬改定.pdf

5 接種勧奨、来年4月に再開 HPV.pdf

6 新型コロナの経口実用化前.pdf

7 組換え帯状疱疹ワクチンでギラン・バレー症候群.pdf











posted by 斎賀一 at 19:37| Comment(1) | その他

2021年11月26日

糖尿病治療薬;GLP-1作動薬とSGLT-2阻害薬の併用

糖尿病治療薬;GLP-1作動薬とSGLT-2阻害薬の併用
 
Efpeglenatide and Clinical Outcomes with and without
Concomitant Sodium-
Glucose Co-Transporter-2 Inhibition Use in Type 2 Diabetes:
Exploratory Analysis of the AMPLITUDE-O Trial



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 GLP-1作動薬とSGLT-2阻害薬は共に糖尿病治療薬ですが、糖尿病の有無に関わらず心血管疾患
の発症を予防すると言われています。
私の前のブログでもこの両者のガチンコ勝負を紹介しましたが、今回はその併用を調べたスタ
ディが雑誌circulationに掲載されました。

 以前からGLP-1作動薬は脳卒中の予防効果に優れ、SGLT-2阻害薬は心不全の予防効果と腎機能
の保護に特徴があるとされています。
GLP-1作動薬で週1回の注射薬efpeglenatideにおける心血管疾患の効果を調べたスタディ
AMPLITUDE-Oトライアルが前もって発表になっています。
このスタディは、SGLT-2阻害薬を併用している人が15.2%と高い頻度でした。
そのためSGLT-2阻害薬併用を層別化して、併用の功罪を調べました。


1) AMPLITUDE-Oトライアルではefpeglenatideの4mg、6mg、プラシーボを1対1対1に
   ランダマイズしています。 経過は1.81年

2) 4,076人を対象にしています。
   平均年齢64.2歳、SGLT-2阻害薬の併用は618人(15.2%)です。
   AMPLITUDE-Oトライアルでは、efpeglenatide(GLP-1作動薬)の効果を見ますと、
   MACE(心血管疾患)の減少は27%(リスク率は0.73)、腎機能低下阻止は32%
   (リスク率0.68)、死亡率減少は27%(リスク率0.73)、入院阻止率は39%
   (リスク率0.61)でした。
   Efpeglenatideは明らかに心血管疾患に有効です。
   問題のSGLT-2阻害薬を併用した場合は心血管疾患に関しての効果は限定的ですが、腎機能
   の保護作用に関しては明らかに併用が有効です。
   HbA1cの低下に対してはSGLT-2阻害薬を併用してもあまり効果がないようで、その原因は
   不明としています。

3) 副反応はefpeglenatideの消化器症状が主ですが、SGLT-2阻害薬を併用しても同じ
   でした。
   著明は低血糖の副反応として、併用による差はありませんでした。

4) 従来のガイドラインでも、糖尿病の患者でアテローム性動脈硬化症もしくは腎病変を
   伴っている場合は、GLP-1作動薬にSGLT-2阻害薬を追加することを推奨しています。

5) 結論として、糖尿病患者に対してefpeglenatideにSGLT-2阻害薬を追加することは
   心血管疾患及び腎疾患に有効で、認容性も問題がないとしています。





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私見)
 週1回の注射薬Efpeglenatideに限らず、GLP-1作動薬全般に適応される論文と拡大解釈
 してしまいます。

 「GLP-1作動薬があってSGLT-2阻害薬もある。」

 ここ数年面白くない日本シリーズが続きました。本年はなんと面白いんでしょうか。
 野球小僧の様に、プロ選手が真剣に楽しんで闘っています。

 「貴方があって僕がある。」

 結果によって選手起用をコロコロと変えない両監督には敬服します。
 それでも、郷土の英雄長嶋選手を輩出した誇りある千葉県人の私は、生涯「巨人ファン」を
 貫き通します。








1 Efpeglenatide and Clinical Outcomes.pdf

2 GLP.pdf

3 糖尿病治療薬.pdf

4 GLP-1作動薬について.pdf













posted by 斎賀一 at 20:06| Comment(1) | 糖尿病