2021年10月22日

免疫不全状態でない小児の帯状疱疹の検討

免疫不全状態でない小児の帯状疱疹の検討
 
<小児科Vo l. 62 No.5 2021>
  井上一利* 中村亨* 関俊二* 癒崎智子; 鹿児島生協病院小児科 
 


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 最近、乳幼児の帯状疱疹を診察しました。
タイミングよく 雑誌小児科 に論文が掲載されていましたので、ブログで紹介します。
鹿児島生協病院小児科の報告です。


先ずサマリーを下記に記載します。

「2012年度〜2019年度までの8年間に受診した免疫不全状態でない小児帯状疱疹患者の診療録を
後方視的に検討しています。患者は2012年度〜2015年度(前半)が28名、2016年度〜2019年
度(後半)が19名でした。3歳以下の患者は前半9名、後半0名です。合併症を認めた5例はすべて
夏季に発症し水痘ワクチン接種歴がありません。3歳以下の患者数減少は水痘ワクチン定期接種の
影響の可能性がありました。」


論文を簡単に纏めますと

1) 2014年から水痘ワクチン定期接種が開始され、2017年までに水痘は4割まで減少して
   いる。しかし小児の帯状疱疹は定点報告の対象外のため、実態は不明である。

2) 1歳未満で水痘に罹患すると、細胞免疫の未熟さからその後の帯状疱疹発症のリスクが
   高くなるとされている。
   水痘ワクチン2回接種による免疫増強により、3歳以下の帯状疱疹患者は減少したと思わ
   れる。

3) 水痘に罹患しても免疫増強が得にくい場合に帯状疱疹となるため、発生時期は鏡像関係に
   あり水痘は寒冷期に多く、帯状疱疹は夏季に多くて合併症の髄膜炎もすべて夏季に認めて
   いる。髄膜炎はすべて夏季に発生し、水痘ワクチンを接種していなかった。






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私見)
 UPTODATEから調べますと

 ・小児の水痘ワクチン接種のお蔭で成人が水痘ワクチンの細胞免疫の刺激、つまりブスター
  効果が無くなってしまい成人での帯状疱疹が増加したとする見解があるが、明白な論文化
  は現在されていない。
 ・ワクチン接種後に小児の帯状疱疹は減少しているが、HIV罹患の小児ではむしろ増加して
  いる。
 ・帯状疱疹による無菌性髄膜炎は易刺激性など軽症もあり、注意が必要である。
  更に髄膜炎の臨床症状の発現後に帯状疱疹の発疹が出現することがあり、このことも診断
  に苦慮する点である。
  成人の帯状疱疹の診断もバリエーションがあり注意が必要です。
  比較的特異的な皮疹の像が載っていましたので、PDF化しました。








帯状疱疹.pdf









posted by 斎賀一 at 19:19| Comment(1) | 小児科