2021年10月18日

高齢者の強化血圧コントロール;中国からの報告

高齢者の強化血圧コントロール;中国からの報告
 
Trial of Intensive Blood-Pressure Control in Older Patients
with Hypertension
<n engl j med 385;14 nejm.org September 30, 2021>


31018.PNG

   

 血圧の治療目標は各学会により異なります。
ブログでも紹介しましたSPRINT研究では、75歳以上の高齢者にも強化療法を勧めており
目標は120以下です。
しかし最近の研究からは、高齢者に対して130以下に設定することが疑問視されています。
きちんと服用するか(アドヒアランス)、腎機能低下が懸念されています。
更に最近のガイドラインでも、家庭血圧を重視しています。

 今回、雑誌NEJMに中国からの論文(STEP研究)が掲載されています。


1) ⾼⾎圧を有する 60〜80 歳の中国⼈患者を、目標収縮期⾎圧を110 mmHg 以上
   130 mmHg 未満とする群(強化治療群)と、130 mmHg 以上 150 mmHg 未満と
   する群(標準治療群)に割り付けました。
   主要転帰は脳卒中、急性冠症候群(急性⼼筋梗塞と不安定狭⼼症による⼊院)
   急性非代償性⼼不全、冠⾎⾏再建、⼼房細動、⼼⾎管系の原因による死亡です。

2) 調査対象の 9,624 例のうち、8,511 例を登録し、4,243 例を強化治療群
   4,268 例を標準治療群に無作為に割り付けました。

3) 結果は追跡期間中央値 3.34 年の時点で、主要転帰イベントは強化治療群では
   147 例(3.5%)に発⽣していたのに対し、標準治療群では196 例(4.6%)でした。
   (ハザード⽐ 0.74) 主要転帰の個々の項目についても、⼤部分で強化治療のほうが
   優れており、ハザード⽐は脳卒中 0.67、急性冠症候群 0.67、急性非代償性⼼不全0.27、
   冠⾎⾏再建 0.69、⼼房細動0.96、⼼⾎管系の原因による死亡 0.72でした。
   安全性転帰と腎機能低下の結果は、強化治療群で低⾎圧の発⽣率が⾼かったことを除いて
   群間で有意差は認められませんでした。    (一部日本版をコピペ)
   なお、血圧測定は当初は看護師が指導し、オムロンの血圧計を用いて家庭血圧を主体に
   スマートフォンで登録しました。





       31018-2.PNG
       31018-3.PNG






       31018-4.PNG
       31018-5.PNG





       31018-6.PNG
  
  
  
  
  
4) 考察
   本論文のSTEP研究と以前のSPRINT研究を比較しますと
   SPRINT研究では、自動血圧計を用いて看護師が直接測定に携わっていませんでした。
   またSPRINT研究では糖尿病患者は除外しています。
   STEP研究とSPRINT研究ともに、脳卒中の既往歴のある人は除外しています。
   STEP研究ではその後、脳卒中既往も加えています。
   SPRINT研究では120以下を目標にしている関係でコストがかかり、腎機能の悪化も認め
   られています。
   STEP研究では130以下で110までと目標設定をしていますので、腎機能の悪化はありま
   せんでした。
   両研究ともに低血圧は発生しています。脈圧が60以上になりますと心筋梗塞、脳卒中再発
   の危険がありました。
   STEP研究は心血管疾患の発生が少ないアジアでの報告が特徴でもあります。

5) 結論として、⾼齢⾼⾎圧患者では、目標収縮期⾎圧を 110 mmHg 以上 130 mmHg 未満
   とする強化治療により、130 mmHg 以上 150 mmHg 未満とする標準治療と⽐較して、
   ⼼⾎管イベントの発⽣率が低下していました。






私見)
 好むと好まざると関係なく、私も中国人と同じアジア系です。
 ただし、日本の方が欧米化しているのが気になります。
 目標血圧を130以下とします。











posted by 斎賀一 at 20:11| Comment(0) | 循環器

関節痛について

関節痛について

 <院内勉強会



        最近、関節痛を訴える患者さんが何人か来院されています。
       ケアネットから勉強しました。







   関節リウマチ .pdf

   スチール病.pdf

   ベーチェット病.pdf

   脊椎関節炎.pdf

   痛風 - コピー.pdf









posted by 斎賀一 at 17:12| Comment(0) | 整形外科・痛風・高尿酸血症

2021年10月15日

小児にとってデルタ株は意外に軽症かもしれない

小児にとってデルタ株は意外に軽症かもしれない
 
Illness characteristics of COVID-19 in children infected
with the SARS-CoV-2 Delta variant



31015.PNG



 新型コロナは高齢者に多く、しかも重症化率も高いとされていましたが、デルタ株の流行から
一変して、若い人や10歳以下の小児にも感染が広がり、第5波において若い人へのワクチン接種を
勧奨して参りました。今後は11歳以下の接種も検討されています。

 今回、11歳以下の若者ではアルファ株と比較して、デルタ株は意外に軽症という英国の論文が
掲載されています。


1) アルファ株の流行した2020年12月28日と、デルタ株の優勢な2021年7月8日の間を
   解析しています。
   アルファ株に感染した5〜11歳の276人、12〜17歳の418人
   デルタ株に感染した5〜11歳の227人、12〜17歳の479人を調べました。

2) 症状の全体像はアルファ株もデルタ株も同じでした。
   多くの若者は1週間以内に回復しています。
   平均で5日ですが、殆どが2日以内に回復しています。
   5〜11歳は4日で、12〜17歳は6日で回復しています。
   5歳以下と22歳以上の若者では回復に28日を要していました。

3) 入院率はアルファ株では、5〜11歳が2.2%、12〜17歳で1.9%
   デルタ株では、5〜11歳が3.5%、12〜17歳で1.7%でした。
   アメリカではデルタ株の流行で若者を含めた感染者の増加が問題となり、ワクチン接種を
   勧めていますが、イギリスでは逆に若者の軽症化を認めています。
   入院率でもノルウェーではデルタ株の方が低い傾向でした。

4) 本研究では学校閉鎖の処置の違いから結果にはバイアス制限が生じています。

5) 小児ではデルタ株はアルファ株と同様に軽症例が多く、今後のワクチン接種計画に本論文
   の結果が参考になると結論しています。




        31015-2.PNG

             YC;young children      OC;old children







私見)
 若者のlong covidが注目されていますし、記憶障害の後遺症も報告されています。
 本院も12歳以上の方への接種を勧めておりますが、11歳以下の小児に関しては保護者の責任感
 からの早急な接種計画は必要なく、現段階では、ペンディングといたします。








Illness characteristics of COVID-19 in children infected with the SARS-CoV-2 Delta variant.pdf













posted by 斎賀一 at 20:27| Comment(1) | 感染症・衛生