インフルエンザワクチンと心血管疾患・その有効性
Influenza Vaccination after Myocardial Infarction
コロナワクチンに忙殺された半年でしたが、インフルエンザワクチンの季節になりました。
残念ながら、又しても国の無策によりワクチンの供給が例年の8割で、しかも製造過程の問題から遅れるようです。世界の論文は待ったなしで、心血管疾患の患者さんにもインフルエンザワクチンの接種を勧めています。
纏めてみますと
1) 新型コロナの流行により、本研究は中途で中断しています。
対象は心筋梗塞(99.7%)と安定したハイリスクの冠動脈疾患です。
2016年10月1日から2020年5月1日の間で2,571人が登録しています。
冠動脈疾患の侵襲的治療や、入院をしてから72時間という短いスパンで研究は開始しています。
インフルエンザワクチン群が1,290人、生理食塩水のプラシーボ群が1,281人に振り分けています。
2) 主要転帰は接種12か月後の全死亡率、心筋梗塞、ステント内の再血栓です。
結果は主要転帰においては、ワクチン群が67例(5.3%)でプラシーボ群が91例(7.2%)
の発生で、リスク比は0.72、全死亡率は2.9%対4.9%でリスク比は0.59
心血管疾患の死亡率は2.7%対4.5%でリスク比は0.59、心筋梗塞再発は2.0%対2.4%で
リスク比は0.86でした。
(対象は心筋梗塞が殆どです。)
(結果はワクチン群がリスク比1.0以下です)
(個々のグラフは本文を参照ください。)
私見)
衆議院議員選挙が近づき、各政党はポピュリズムに走った政策を打ち出しています。
総裁選挙も最初は面白かったですが、昔の亡霊が出しゃばってくると単なる茶番劇に見えて
きます。
インフルエンザワクチンすら実地医家には前年の供給量を制限としています。
しかも本年は供給不足です。コロナ禍での国の姿勢が問われます。
Influenza Vaccination after Myocardial Infarction_ A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Multicenter Trial.pdf