2021年08月06日

 アストラゼネカ・ワクチンの血栓症はまれ?

 
アストラゼネカ・ワクチンの血栓症はまれ?
 
Very rare thrombosis with thrombocytopenia after second AZD1222 dose
: a global safety database analysis




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 アストラゼネカ・ワクチンの安全性を強調した見解が、雑誌Lancetに掲載されています。
アストロゼネカのスタッフが、世界からデータを集積しての解析です。
アストラゼネカのワクチンにおいては、TTP(血小板減少を伴う血栓症)の副作用が報告されています。
TTPの原因として、抗血小板因子のPF4に対する抗体が主体と考えられています。
今回の報告を纏めてみなすと、


1)    アストラゼネカの、ワクチン2回接種後13例のTTPを報告しています。
     45〜85歳で60%が女性で、当初の報告より男性が多い比率です。

2)    基礎疾患としては、11例が判明しています
      
       ・1例の肺血栓症  
       ・1例の血小板減少症  
       ・3例の担癌患者
       ・1例の新型コロナ感染者 
       ・その他として降圧剤、抗凝固薬、スタチンの服用 

3)    PF4に対する抗体は3例/13例で陽性で、10例は陰性でした。

4)    13例の転帰は、

       ・6例が回復せず 
       ・3例が回復 
       ・3例が死亡
       ・1例が後遺症を伴って回復

5)    結論的にはTTPの発生率は、アストラゼネカのワクチン2回接種後14日間で、
      2,3人/100万人でした。これは一般的なポピュレーションと比較しての発生率で、
      2021年4月30日までの集計です。
      2回接種者は560万人で1回接種は4900万人の合計です。
      今までのヨーロッパの別の報告では、同時期までの英国とEUの4923万人の1回目接種後の
      接種者におけるTTPの発生頻度は、8,1人/100万人でした。
      (ヨーロッパの報告では、1回目の接種者の中での発生率で当然、自然発生的なTTPも含まれ
       ますが、本報告では一般のポピュレーションを比較して2回接種後の発生率です。
       当然ながら、奇異な部位での静脈血栓症は本ワクチンの副作用の可能性が濃厚です。)







私見)
 政府は、アストラゼネカのワクチンに舵取りをし始めています。
アストラゼネカワクチンの生きる道は、m-RNAワクチンとのハイブリッドしかありません。
それが有効かつ便宜性も勝ることを丁寧に専門家が説明すべきです。
株のトレーダーじゃないのですから、感染症の予測ばかりでなく、多方面の政策決定を進言し国民に説明すべきです。
 
 私が、子供に電話をすると最初から「なによ」から始まります。
 オミさんの説教じみた顔は、もううんざりです。









アストラゼネカワクチン.pdf

アストラゼネカのワクチンの報告.pdf









posted by 斎賀一 at 14:08| Comment(0) | 感染症・衛生

2021年08月04日

小児におけるLong COVID

小児におけるLong COVID
 
Long COVID in children:
Less frequent and ‘much more poorly understood


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 小児でもLong COVIDは発症しますが稀な病態で、小児多系統炎症性症候群( MIS-C )と異なり、
成人よりも少ないようです。
CDCによりますと、Long COVIDは 息切れ、呼吸困難、倦怠感、思考または集中の困難、咳、胸または
胃の痛み、頭痛、動悸、関節や筋肉の痛み、しびれ、下痢、睡眠障害、発熱、めまい、発疹、気分の変化、
嗅覚や味覚の変化、月経周期の変化などです。
Long COVIDの多くは高齢者か基礎疾患のある成人に多く認められますが、だからと言って小児には
ないわけではありません。
小児のLong COVIDには消化器症状や糖尿病などの代謝疾患の後遺症はありませんが、多種類の
症状が推定されて小児ではまだ成人以上に理解されていません。
現在、小児のLong COVIDでは倦怠感から発生する神経症状に対して、小児神経内科の関心が寄せ
られています。






Long COVID in children_ Less frequent and ‘much more poorly understood’.pdf










posted by 斎賀一 at 18:41| Comment(0) | 感染症・衛生

2021年08月03日

Long COVID ;新型コロナ後遺症

Long COVID ;新型コロナ後遺症

              Long COVID:
A ‘mysterious’ syndrome with ‘no clear pattern’ of symptoms



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 日本でのLong COVIDの報告では、発症から60⽇経った後に嗅覚障害(19.4%)、
呼吸苦(17.5%)、だるさ(15.9%)、咳(7.9%)、味覚障害(4.8%)があり、さらに発症から120⽇
経った後にも
呼吸苦(11.1%)、嗅覚障害(9.7%)、だるさ(9.5%)、咳(6.3%)、味覚異常(1.7%)があるとの
事です。

ネットの healio に記事が載っていました。


・筆者の実際の診療経験からは、スタミナ不足と関連した物忘れ、倦怠感、呼吸苦が主でした。

・4週間後にLong COVIDの症状で受診しています。
 興味深いことに受診する人の多くが入院などの重症者でなく、軽症者だったとの事です。
 しかもLong COVIDは、多臓器障害を呈していました。
 休息をとることにより症状は軽快しますが、身体能力の低下により糖尿病、うつ傾向、疲労感が
 表れます。

・非入院者73.435人の30日後のデータを、コントロール群4,990,835人、コロナで入院した13,654人、
 季節型インフルエンザで入院した13,997人と比較検討しています。
 30日以上のLong COVIDでの非入院群では、死亡率が60%増加しています。
 危険率は1.58となります。
 入院群30日以上のLong COVIDでの入院群では、死亡率が51%増加して危険率は1.51です。
 一番多い合併症は呼吸器疾患です。続いて神経疾患、心血管疾患、消化器疾患となり
 ます。
 加えてメンタルヘルスの問題にも直面します。

・現時点では、4週間後に認められるのをLong COVIDと定義しているようです。
 特に20〜60歳の女性に多い傾向です。
 興味深いことに、最初の病状が重症でなくてもLong COVIDは進行するということです。

・最後に記事は次の言葉で締めくくっています。

      ‘Let’s not drop the ball’  ボールを落とさないようにしよう
      “a bit of medical gaslighting”  ささやかな医療のガス灯を灯そう





私見)
 Long COVIDでは心血管疾患や糖尿病が顔を出すということ。さらに物忘れを含めたメンタルヘルスの問題 が影を落とします。

 デルタ株の出現、急なワクチン供給の制限、発熱外来の混乱など皆様にご迷惑をおかけしています。
 職員の皆さん、小さなガス灯をともし続けましょう。
 頑張れ、瀬戸君、水野君。我々も誹謗中傷には負けないよ。







Long COVID_ A ‘mysterious’ syndrome with ‘no clear pattern’ of symptoms.pdf











posted by 斎賀一 at 21:39| Comment(1) | 感染症・衛生