2021年08月16日

イベルメクチンは効果があるのか? その1

イベルメクチンは効果があるのか? その1
 
Effect of Ivermectin on Time to Resolution of
Symptoms Among Adults With Mild COVID-19



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 新型コロナ陽性者の急増から、自宅療養の患者さんも増加の一途です。
保健所の業務も逼迫しており、開業医の役割が取りざたされています。
政府の方針は、急に中等症以下は自宅待機とし開業医責務論を展開しています。
我々は何も逃げ腰ではありません。サブとロジの観点から、何故ロジの方針を立ててくれないのか不満が
募ります。
 前線で自宅療養の患者さんを診察している、ある実地医家の先生がイベルメクチンを処方しているの
には戸惑いを感じました。しかし現段階でやむにやまれぬ心情と察します。

 雑誌JAMAにイベルメクチンの効果について論文が掲載されていましたので簡単に纏めてみます。


1) 2020年7月15日から11月30日の間に軽症で自宅か病院にて療養していた467人の患者を登録
   し、2020年12月21日まで経過を見ています。

2) イベルメクチンの300μg/kgを5日間服用する群の200人と、服用しないプラセボ群の200人を
   ランダム化しています。平均年齢は37歳です。

3) 主要転帰は21日間までの症状の寛解です。副反応は自己申告制です。

4) 結果は、症状の持続はイベルメクチン群が10日に対して、プラセボ群は12日と差はありません
   でした。21日までの寛解率はイベルメクチン群で82%に対してプラセボ群では79%と、これも有意な
   差はありません。
   副反応としての症状の報告に於いても、その差異はありませんでした。
   イベルメクチン群で7.5%、プラセボ群は2.5%でした。




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5) イベルメクチンのウイルスに対する効果の研究は、動物実験からです。
   実際の人体での薬物動態における血液と肺での薬の濃度は動物実験とかなり異なっています。
   つまり、通常の投与量では有効な濃度に達していないのですが、今までの研究報告によりますと、
   それでも効果ありの結果です。
   しかも今までの報告は全て査読段階で、その後正式な雑誌による掲載は未だありません。
   本研究の服用量は従来の間歇的服用より肺でのイベルメクチン濃度は高く、薬に対する忍容性も
   ありました。アメリカのFDAが承認している他の寄生虫に対する薬用量より、本研究の服用量が多い
   ことから、今回の研究では十分量のイベルメクチンを服用したものと推定されます。
   (つまり、十分量を服用しても効果なしとの見解です。)







私見)
 その2で記載します。







jama_lpezmedina.pdf











posted by 斎賀一 at 21:58| Comment(1) | 感染症・衛生

2021年08月11日

デルタ株 その4 medscapeより

デルタ株 その4 medscapeより

'War Has Changed': CDC Says Delta as Contagious as ChickenPox



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 CDCからの発表を、専門家が解説してネットmedscapeに掲載しています。


 1) ワクチンを接種した人が感染すると(ブレイクスルー)、ウイルス量の多さから
    その感染力は通常並みとの事です。

 2) ワクチンを接種した人でも感染するのは、デルタ株が感染すると増殖して、
    他のウイルスと異なり、ウイルスの量が多くなり、免疫機能を凌駕するためと推定される。

 3) デルタ株は感染力が強いが、それから逃れることは出来ないので、早急なワクチン接種
    が必要である。

 4) ワクチン接種者が症状を呈したら、COVID-19の検査をして、陽性なら従来通り
    隔離すべきである。

 5) デルタ株は、水痘と同程度の感染力があるが、それは子供の頃を思い出してもらいたい。
    水痘に感染した友達と離れていても、同じインドアにいると感染してしまうという事実です。
    そして、簡単に家族の兄弟が感染してしまいます。しかし、感染形式は水痘やエボラ出血熱
    とは異なり、デルタ株の伝搬の主体は、従来通り飛沫感染です。そして水痘同様に、
    1人から8人に感染してしまいます。

 6) CDCが、リコメンデーションの変更を発表したのは以上のデータからです。
    つまり、ワクチン接種後もマスクの着用は肝要です。
    しかし、このことを一般国民が受け入れるのはかなり厄介です。
    CDCは、デルタ株は新しいウイルスとしてアナウンスしています。
    そして、ワクチン接種の必要性も述べています。ワクチンの効果は、デルタ株においても
    認められ、重症化、入院、死亡を軽減しています。さらに、感染の抑制も3倍軽減しています。
    しかも、デルタ株に感染するとウイルス量は多いのですが、必ずしも疾患を発生していません。



私見)
 NHKの昨夜の番組で、コロナ関連のフェイクニュースが取り上げられていました。
ネットのテロップだけを見たり、要約のみを読むとフェイクニュースと成りかねません。
私もその誹りを受けないよう、原文を読解するように注意します。
 取りあえず、我々が出来る事は、デルタ株に対しても従来通り、粛々と行っていくことにつきます。


2 デルタ株 medscape.pdf







posted by 斎賀一 at 22:31| Comment(2) | 感染症・衛生

デルタ株に対するアメリカの報道 その3

デルタ株に対するアメリカの報道 その3
 


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 デルタ株に対するアメリカの報道は、一見センセーショナルです。これを切り取って、副次的に
報道すると、ニュアンスと意図が違ってきます。


・ロイター通信その1
  
デルタ株の出現により、戦争は別の次元となったとCDCが発表しました。


 1) デルタ株は水痘と同程度の感染力である。
    普通の感冒や、インフルエンザよりも感染力は高い。
    ワクチンを接種した人も感染し、従来の新型コロナよりも重症となる。
    しかし、ワクチンを接種していない人は、接種した人と比べると10倍も重症化する。

 2) ワクチンを接種しても、COVID-19に感染するブレイクスルーがある。
    ワクチン接種をすれば感染は少ないが、一度ブレイクスルーとなると、
    ワクチンを接種していない人と同様な感染力で他人に感染を広げます。
    それは、ウイルスが多いためです。
    CDCはブレイクスルーを266,587例集計しています。その中には、入院例と死亡例もあります。

 3) ワクチンを接種してもマスクの着用は必須である。
    特に、医療従事者は早めにワクチン接種を行い、職場でもマスク着用に細心の注意が必要です。

 4) 医療従事者は今、再びコロナに打ち負かされそうだ。
    我々は同じウイルスと戦い続けています。しかし、そのウイルスは品を変え、形を変えて
    襲ってきています。


・ロイター通信その2


 1) ワクチンが、デルタ株に対する有効性を低下している事実をCDCは認めています。

 2) 以前にCOVID-19に罹っていても、ワクチンを接種すべきです。


'The war has changed,' CDC says, calling for new response to Delta variant _ Reuters - コピー.pdf

Vaccines less protective in Colorado county with Delta variant surge - CDC study _ Reuters - コピー.pdf








posted by 斎賀一 at 22:07| Comment(1) | 感染症・衛生