2021年07月09日

中等症以上の喘息治療は3剤併⽤療法が有効?

中等症以上の喘息治療は3剤併⽤療法が有効?
 
Triple vs Dual Inhaler Therapy and Asthma Outcomes
in Moderate to Severe Asthma



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 喘息治療の吸入剤には2剤併⽤療法(吸⼊ステロイド(ICS)、⻑時間作⽤型β2刺激薬(LABA)と3剤
併⽤療法(ICS、LABA、⻑時間作⽤型抗コリン薬(LAMA))がありますが、最近では3剤併⽤療法の
有効性が指摘されており医療現場で汎用されています。
LABAとLAMAに関しては私の以前のブログを参照ください。

 今回、雑誌JAMAに2剤併⽤療法と3剤併⽤療法の比較試験が載っていましたので簡単に纏めて
みました。


1) 中等症ないし重症のコントロール不良の喘息がある⼩児(6歳から18歳)および成⼈患者を検討した
   無作為化試験(RCT)20件(計1万1894例、平均年齢52歳、⼥性57.7%)を対象としています。
   主要評価項目は、急性増悪、喘息コントロール(7項目の質問票;ACQ-7、各項目0-6点で点数が
   ⾼いほどコントロール不良)、QOL(喘息関連QOL質問票で測定)、死亡、有害事象です。

2) 2剤併⽤療法と比較して、3剤併⽤療法は急性増悪リスクの低下
   (3剤併⽤22.7% 対 2剤併⽤27.4%、危険因子は0.83)、喘息コントロールの改善は
   (ACQ-7平均差−0.04点)と有意な効果が認められています。
   QOLの改善は認められませんでした。





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3) 3剤併⽤療法には、⼝腔乾燥および発声障害との関連が認められています。
   (3.0% vs. 1.8%、リスク⽐1.65)治療関連の有害事象と重篤な有害事象は両群に認められま
   せんでした。

4) 考察
   LAMAは気管支痙攣の刺激を抑制します。
   喘息のコントロール不良の場合に、追加治療としては経口ステロイドよりもLAMAは安全です。
   以前の研究では、喘息のコントロールにLAMAは有効だが、急性増悪の抑制には効果がないとして
   いました。しかし本研究では急性増悪の頻度を低下させています。
   一般的に急性増悪の既往歴がある人は12か月後に25%の確率で急性増悪を起こしますが、既往
   がなければ8%と言われています。
   この事からも、一番に過去に急性増悪の既往があることがLAMAの追加適応となります。

5) 結論として、小児から成人にかけて3剤併⽤療法は急性増悪に効果があり、喘息コントロールにも
   ある程度有効です。QOLに関しては差がありませんでした。








私見)
  喘息がコントロール不良の場合はICSとLABAを増量しますが、場合により躊躇なく経口ステロイドを
  短期的に追加します。急性増悪を繰り返す傾向の場合には、3剤併⽤療法の出番と考えます。
  最初から3剤併⽤療法に軸足を置くのは、いささかミーハーと思われないかと気にします。










喘息 triple.pdf

LAMA一覧表.pdf

ブログ1.pdf

ブログ2.pdf














posted by 斎賀一 at 19:18| Comment(1) | 喘息・呼吸器・アレルギー