2021年07月19日

1回目はアストラゼネカで2回目はファイザー

1回目はアストラゼネカで2回目はファイザー
 
Immunogenicity and reactogenicity of BNT162b2 booster
In ChAdOx1-S-primed participants (CombiVacS):



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 テレビなどで、1回目はアストラゼネカで2回目はファイザーのワクチンを用いると効果があるとする
コメントが散見されます。
日本でそのまま適応すると、若干の齟齬が生じる心配があるのでブログしてみます。


本論文を纏めますと

1) 多くの国では、2021年4⽉初めにアストラゼネカの1回目の接種を受けた多くの⼈が、ワクチン接種
   計画を完了できませんでした。
   これはヨーロッパの保健当局が、血栓症のリスクが評価されるまで2回目の接種を中⽌したため
   です。
   この中⽌により、当局は異種混合ワクチンの接種スケジュールを使⽤する事となりました。
   結果的に1回目でアストラゼネカのワクチンを接種された人は、2回目はファイザーのワクチンを接種
   されています。

2) スペインからの報告です。
   本研究では、既に8〜12週間前にアストラゼネカのワクチンの1回目接種を受けた人を対象に、
   SARS-CoV-2感染歴のない18〜60歳の成人を、ファイザーのワクチン0.3mL単回筋肉内投与群
   (介入群)と、そのまま2回目の接種をしない経過観察群(対照群)に2対1の割合で無作為に振り
   分けています。

3) 主要評価項目は、14日目の免疫獲得として、スパイクタンパク質および受容体結合ドメイン(RBD)
   の免疫測定で評価しています。さらに抗体の機能は偽ウイルス中和アッセイを用い、細胞性免疫
   反応はインターフェロン-γ免疫アッセイを用いて評価しました。
   安全性の評価項目は、7日目の局所および全身の有害事象を評価しています。

4) 2021年4月24日〜30日に、スペインの5つの大学病院で676例が登録されました。
   (介入群450例、対照群226例)平均年齢は44±9歳、女性が382例(57%)、男性が294例(43%)
   で、663例(98%)が14日間の試験を完遂した。(介入群441例、対照群222例)

5) 結果は




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   新型コロナウイルスのスパイク蛋白に対する抗体および中和抗体も、オレンジで示した介入群で
   上昇しており、細胞免疫も確立されています。
   さらに受容体結合ドメイン(RBD)と中和抗体とは比例しています。
   介入群(ファイザーのワクチン接種を2回目に行う)で明白に抗体が形成された結果です。

6) 介入群で7日間に収集された有害事象1,771件のうち、ほとんどは軽度(1,210件、68%)
   または中等度(530件、30%)でした。重篤な副反応はありませんでした。





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7) 考察
   本研究では、2回目の接種の間隔は8〜12週とアストラゼネカの最初の規定(4週間)からは離れて
  いますが、2つの論文によると、アストラゼネカのワクチンは間隔が長い方が抗体が形成されやすい
  とのデータもあり、2回目の接種が遅れたのは倫理的に問題はないとしています。(以前のブログ参照)
  さらにファイザーのワクチン接種により細胞免疫が十分に形成された利点も現れています。
  従来のファイザーのワクチン接種でも、2回目に細胞免疫が確立されているエビデンスと符合します。
  以前の報告によりますと、異種混合ワクチンの方に副反応が強いとの指摘もありましたが本研究では
  参加者が比較的若いこともあり、副反応の発生率は低くなっています。
  女性の方が副反応は高い傾向ですが、逆に抗体は女性の方が高く形成されています。
  抗体が高い原因として、2回目接種の間に不顕性感染があったかもしれないと仮説を立てています。
  (が、それはないでしょう。)







私見)
   本研究にはかなりのバイアスが掛かっています。
   対象者は、1回目のアストラゼネカのワクチンで重い副反応がなく、且つ2回目の接種を希望した
   人です。
   それでもアストラゼネカとファイザーワクチンの混合接種の有効性が証明されました。
   ただ日本の今、誰がアストラゼネカの鈴をかけるのでしょうか。
   アストラゼネカのワクチンによる血栓症治療に対しても、進展しているようです。
   ワクチンの安定供給の意味でも期待しています。







本論文.pdf

ブログ1.pdf

ブログ2.pdf

ブログ3.pdf

ブログ4.pdf

ブログ5.pdf




















posted by 斎賀一 at 20:06| Comment(0) | 感染症・衛生

2021年07月16日

妊娠女性におけるmRNAコロナ・ワクチンの安全性 再放送 妊娠女性におけるmRNAコロナ・ワクチンの安全性 再放送

妊娠女性におけるmRNAコロナ・ワクチンの安全性  再放送
 
Preliminary Findings of mRNA Covid-19 Vaccine Safety
 N Engl J Med 2021;384:2273-82

   
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 妊婦の患者さんに、コロナ・ワクチンの安全性について質問されました。
On-lineの雑誌NEJMの査読(preliminary)論文を以前に私のブログで紹介していますが、(4月30日)
同じ論文が今回再びNEJMに掲載されています。
再度私なりに読み返してみましたが、現実となると解釈に若干の変更が生じましたのでブログします。


・本論文は妊娠完了と受胎直後の対象者を含めています。
・対象者の多くは、妊娠中期から後期です。
・対象者は毎日完全に追跡調査を行っていません。
・v-safeというシステムで統計を取っており、妊娠早期の参加者はワクチン接種後の胎児のアウトカムを
 当然ながら把握していません。
・妊娠早期で流産のリスクが高い時期に関しても認識していませんので、統計上は反映されていません。
・妊娠および新生児の副反応の報告は、実際には低くなっている可能性があります。
・流産の報告が一番多いですが、これは2009年に流行した所謂「豚インフルエンザ」に対するワクチンの
 時と同じ頻度です。
・VAERSシステムにおいては、妊娠後期で明らかな副反応は新生児にもありませんでした。
・今後、妊娠早期や受胎時期での安全性と新生児の長期転帰に関しては、十分なモニタリングが必要
 です。
・本論文には以上の制限(limitation)がありますが、本報告は妊娠した人へのワクチン接種に勇気を
 与えてくれる結果でした。





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私見)
 インフルエンザ・ワクチンの多くのガイドラインはany time妊娠のいつでも接種が可能と推奨していま
 したが、妊娠早期に関しては文言が曖昧でした。
 最近のガイドラインではエビデンスが確立されて妊娠早期での接種も推奨するようにと明言しています。
 やがてコロナワクチンもその時期が来ると思いますが、私としては、つまり私が接種する場合は多分
 妊娠中期を勧めると思いますが...。
 日本の婦人科学会からのガイドラインも下記に掲載します。





ブログを参照ください.pdf

産婦人科学会.pdf










  
posted by 斎賀一 at 20:35| Comment(1) | ワクチン

2021年07月15日

ファイザーのワクチンは3回接種が必要か?

                 ファイザーのワクチンは3回接種が必要か?
   
  <短 報




   アメリカのCDCとFDAが、共同で声明を発表しています。


  ・新型コロナ・ワクチンの有効性が証明されており、インド株に対しての効果もあります。
   現段階では接種率を上げることが重要で、それが集団免疫の獲得にも繋がります。

  ・ファイザー社の発表は査読以前の段階です。
   2回接種して6か月後のブスター効果が必要かの判断は、CDCもFDAもその準備をしています。

  ・今後の研究発表を注意深く注視する必要があります。









  CDC, FDA say booster doses not needed as Pfizer eyes authorization.pdf

  Joint CDC and FDA Statement on Vaccine Boosters _ HHS.gov.pdf

  Pfizer und BioNTech geben vor dem Hintergrund der Delta-Variante ein Update zu ihrem Auffrischungsimpfungen-Programm bekannt.pdf













posted by 斎賀一 at 14:51| Comment(0) | ワクチン