2021年06月22日

インド変異株とワクチン・その2

インド変異株とワクチン・その2
  
SARS-CoV-2 Delta VOC in Scotland:demographics, risk
of hospital admission, and vaccine effectiveness



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 現在、スコットランドでは従来流行していたB.1.1.7(アルファ、S遺伝⼦陰性)からインド変異株のB 1.617.2(デルタ、S遺伝⼦陽性)が優勢株として、急速に入れ替わっているとの事です。
S遺伝⼦陽性ならば、まずインド株と断定してよいようです。
このS遺伝⼦陽性の株つまりインド株の入院率と、ワクチンの有効率を調べた報告書(Correspondence)が雑誌Lancetに掲載されています。

・入院者の定義は、新型コロナの診断を受けて14日以内又は入院後2日以内に診断された人です。
 入院3日以降での診断は院内感染の可能性もあり除外されています。
・新型コロナ感染者は19,543人で、その中の377人が入院しています。
 S遺伝⼦陽性の感染は7,723人(39.5%)で、入院は134人(35.5%)でした。
 S遺伝⼦陽性の感染の70%がワクチンを受けていませんでした。
 なお、ワクチンはファイザーとアストロゼネカです。
・S遺伝⼦陰性と比較してS遺伝⼦陽性では、入院のリスクが1.85と高い結果です。
・入院率をワクチンを接種していない⼈と⽐較しますと、2回目接種から少なくとも14⽇後では、ファイザー
 ワクチンは非常に優れた予防効果を⽰しました。
 S遺伝⼦陰性例で92%、S 遺伝⼦陽性例で79%(75-82)でした。
 ⼀⽅アストロゼネカワクチンによる予防は、やや低下していました。
 S遺伝⼦陰性例で73%、S遺伝⼦陽性例では60%でした。





私見)
 現在、進行中のワクチンはファイザーとモデルナですが、2回接種によって入院率はインド株でも80%は
 予防できそうです。
 報道によりますと、イングランド公衆衛生庁(PHE)が、14日付のプレスリリースで、2021年4月12日
 〜6月4日の間に「デルタ株」感染が確認された1万4,019例を対象に分析を実施。
 その結果、2回接種で入院治療を回避できる有効性は、ファイザー社のワクチンが96%、アストラゼネカ
 社のワクチンが92%であり、いわゆる英国型の変異株「アルファ株」に対する有効性と同等だったとして
 います。







2 原文.pdf

2 supple.pdf









posted by 斎賀一 at 11:42| Comment(1) | 感染症・衛生

2021年06月21日

インド変異株とワクチン・その1

インド変異株とワクチン・その1
 
Neutralising antibody activity against SARS-CoV-2 VOCs
B.1.617.2 and B.1.351 by BNT162b2 vaccination



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 新型コロナの変異株の命名はいろいろで困惑してしまいます。

 ・武漢で最初に同定されたウイルスをwild type
 ・イギリスで最初に同定されたウイルスがD614G
 ・イギリス特定された所謂イギリス型「B.1.1.7」系統は「アルファ」
 ・南アフリカ特定された「B. 1.351」系統は「ベータ」
 ・ブラジルの「P.1」系統は「ガンマ」
 ・インドの「B.1.617.2」系統は「デルタ」と呼ばれる事となりました。




 雑誌Lancetから2つの報告(correspondence)がなされています。
先ず、ファイザーのワクチン接種後の中和抗体についての報告書です。
グラフで簡単に説明します。





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ワクチンを2回接種すれば、インド変異株に対しても中和抗体がそれなりに産生されています。






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        左が1回目の接種で右が2回目の接種です。
        変異ウイルスでは2回接種しなくては効果が認められません。






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     しかも変異ウイルスは、60歳以上では40歳以下と比べて抗体産生が劣ります。






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          更に変異ウイルスの方が時間の経過とともに低下する傾向です。




         

結論として
イギリスでは、ワクチンをあまねく普及させるため1回接種を優先的に進めていましたが、改めて2回接種を迅速に実施することに舵を切ったようです。







1 原文.pdf

1 supple11.pdf










posted by 斎賀一 at 21:02| Comment(0) | 感染症・衛生

2021年06月18日

小児喘息のガイドライン

小児喘息のガイドライン

Updates to the Pediatrics Asthma Management Guidelines



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 小児喘息のガイドラインの要点が、雑誌JAMAに載っていましたのでブログします。
 (以前のブログでも同じ内容を紹介しましたが、再度纏めました。)


・0~4歳児では感冒を始めとした呼吸器感染症の時に、しばしば喘鳴が認められます。
 その際は短期作用型のβ刺激薬吸入(SABA)を使用することが一般的ですが、短期的に吸入ステロイド
 (ICS)と頓用で、SABAの併用も可能です。

・12歳以上の軽症喘息では頓用でのICSとSABAの併用が一般的ですが、低用量のICSの持続とSABA
 の頓用も可能です。

・4歳以上の軽症〜中等症の喘息ではICSを持続して、短期的な減量は避けるべきです。

・4歳以上の中等〜重症の喘息では、SMART療法(シムビコート)の持続療法と発作時の頓用の組み合
 わせも可能です。

・12歳以上の中等〜重症の喘息では高容量のICSとSABAの併用にSABAを頓用(リリーバー)追加する
 のが一般的ですが、SMART療法も可能です。
・12歳以上の持続性喘息でICSでのコントロール不良の場合はLABA
  (長時間作用性β2刺激薬)を追加する方がLAMA(長時間作用型抗コリン薬)より有効です。
・12歳以上のコントロール不良の喘息ではICS+LABA+ LAMAも選択肢です。


0~4の若年者は呼吸器感染症の初期に喘鳴を伴うことが多々ありますが、その際に短期的にICSを使用することは増悪の予防にもなります。しかし短期的とは言えICSは子供の成長に影響を及ぼしますので、
十分な管理が大事です。
 今までのガイドラインでは一般的な推奨に留まっていました。しかし喘息は個人で異なります。
SMART療法は簡便で、個人の裁量で治療が出来ます。しかしコントロールが良好なstep 1では、SMART療法への変更は推奨していません。間歇的なICSとSMART療法はFDAで承認されていませんので、step 1においては臨床家は注意が必要となります。






私見)
 小児用のデバイスを完備しましょう。







小児喘息.pdf

喘息のガイドライン 2020.pdf












posted by 斎賀一 at 21:13| Comment(0) | 小児科