2021年04月05日

新型コロナワクチンの注射部位 肩峰とは

新型コロナワクチンの注射部位 肩峰とは

 <業務連絡用>



 従来の指導では、新型コロナワクチンの注射は筋肉注射で、肩の三角筋となっています。
肩峰より3横指下を推奨していますが、その肩峰がどこなのか不確かです。




          30405.PNG



  
肩峰は帯状を呈していて突起ではありません。上の図で示している突起の様に記載されている肩峰は、
鎖骨の肩峰端ではないかと思います。




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また実際の肩峰の突起はやや後方にある肩峰角です。
肩峰とははっきり体表から触れる突起ではありません。
つまり体表から触れる突起は、後ろ過ぎる肩峰角か上過ぎる肩峰端です。




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今回プライマリー学会より筋肉注射の改定がなされ、それに則て厚労省からも推奨版が掲載されて
います。




          30405-4.PNG



   
この方法ですと、肩峰の位置がやや曖昧でも構いません。下記に動画のアクセスを掲載します。
ダイジェスト版の厚労省の動画も同時に掲載しますが、職員の皆さんは両方を見てください。
また動画をPDFに纏めて下記に掲載しましたので、実施においては繰り返し確認してください。



https://www.youtube.com/watch?v=TwoMs0BjIdk

https://www.youtube.com/watch?v=tA96CA6fJv8



 尚、肩峰について詳しく述べている動画も掲載します。この動画によって肩峰の同定ができます。




HYPERLINK "https://www.youtube.com/watch?v=iNPhH810Ny4"com/watch?v=iNPhH810Ny4






私見)
 名は体を表すといいますが、肩峰という峰はありません。
 丘のようなもので、肩丘と言いたい気がします。







ワクチン接種部位.pdf


















posted by 斎賀一 at 18:59| Comment(1) | 感染症・衛生

2021年04月03日

心不全に対するSGLT2阻害薬とミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の併用療法

心不全に対するSGLT2阻害薬とミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の併用療法
 
Interplay of Mineralocorticoid Receptor Antagonists
and Empagliflozin In Heart Failure



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 治療抵抗性の高血圧に対して、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)を使用するのは裏技として
知られていますが、本院におけるMRAは下記の3種類です。



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アルダクトンAは細粒として少量使用しています。
セララは糖尿病腎症の適応はありません。ミネブロは糖尿病腎症にも適応が通っていますので、処方
し易く感じています。
 そもそもMRAは、カリウム保持性(カリウムを上げる)の利尿薬です。
フルイトラン、ナトリックス、ラシックス、ダイアートはカリウムを下げる利尿薬です。
一方で糖尿病治療のSGLT2阻害薬は心不全にも効果があり、糖尿病以外での使用が注目されていて、
特にその利尿効果および心臓と腎臓の保護作用に、期待されています。

 今回の論文では、心不全患者にSGLT2阻害薬のジャディアンスとMRA(アルダクトンAとセララ)を併用した場合にジャディアンスの効果、特性に悪影響がないかを調べています。
なぜなら、MRAには腎機能の低下やカリウムの上昇の懸念があるからです。



纏めますと

1) 心臓駆出率が40%以下のNYHA分類U、V、Wの心不全患者で、適正に治療されている人を対象
   にしています。
   駆出率が30%以下を優先的に登録していますが、過去1年以内に心不全で入院した人、
   駆出率が31~35%ではproBNPが1000以下、駆出率が36~40%ではproBNPが2500以下の
   人も登録しています。
   対象の3,730人を、ジャディアンス群とプラセボ群で1対1に振り分けています。
   その中でMRAを服用している人は71%です。
   このジャディアンス群とプラセボ群のランダマイズ試験に並行して、(後付けで)MRAを服用して
   いる群と服用していない群とで心不全の入院、死亡、腎機能の変化、血清カリウムを調べています。
   当然、後出し調査なのでジャディアンス群の処方は後から追加の結果も含まれてしまいます。

2) ジャディアンス群の心不全による入院と死亡の危険率は、MRA服用群は0.75でMRA非服用群で
   0.76でした。MRA服用によるジャディアンスの効果には悪影響はありませんでした。
   また、MRA服用による腎機能の悪化もありません。
   一方で心血管疾患の死亡と全体の死亡に関しては、ジャディアンス群を調べますとMRA使用群で
   0.82に対して、MRA非使用群では1.19とMRAの直接的な有効が示されました。
   ベースラインを見ますと、心不全患者で最初からジャディアンスを服用している人は35%と少なく、
   経過によりジャディアンスを使用している人が多い研究内容でした。
   ジャディアンス服用により重度な高カリウム血症の危険率は0.7と予防していますが、MRAの服用と
   非服用に関して調べますと、その差はありませんでした。
   つまり、ジャディアンスを服用することにより、高カリウム血症に対してMRAの効果があるかまでは
   症例数が少なく、本研究では不明でした。

3) 考察
   今までも大規模研究のDAPA研究、EMPEROR研究の前試験でもSGLT2阻害薬のフォシーガと
   ジャディアンスが心血管疾患の発生を予防し、MRA併用による影響はないとされてきました。
   今回のEMPEROR研究でも、ジャディアンスが腎機能の低下速度を緩和している結果です。
   しかし、MRAの非服用者がベースラインで少なかったため明言は出来ませんが、MRAの悪影響は
   ありませんでした。
   SGLT2阻害薬の初期投与時に腎機能の低下がみられることがありますが、更にMRAを追加する
   事に臨床家は躊躇する傾向です。
   ジャディアンスには心不全の入院率を下げる効果があるため、本研究の初期の段階でMRAの服用
   が少なかったり、経過中にMRAを中断したりしています。
   しかしフォシーガを用いたDAPA-HA研究でも、MRAによって起きた高カリウム血症が6.0以上の
   時に、SGLT2阻害薬のフォシーガがそのカリウムを50%低下させていました。
   一方で、心不全のない2型糖尿病ではSGLT2阻害薬の血清カリウム低下作用は少ない傾向です。
   SGLT2阻害薬がどのような機序により、MRAによる高カリウム血症を改善するかは不明です。




          30403-3.PNG ←クリックで拡大


          30403-4.PNG ←クリックで拡大






4) 結論 
   SGLT2阻害薬とMRAの併用は心不全や心機能に有効に働いていますし、有害な相互作用も
   ありません。
   SGLT2阻害薬の効果に対して、MRAは少なくとも妨げにはなりません。







私見)
 もともとはジャディアンスの心不全患者に対する効果を見たランダマイズ試験ですが、それにMRAを
 乗せた研究のため、よく理解できなかったのは統計音痴のせいでしょうか。
 兎も角、糖尿病患者でSGLT2阻害薬を服用していて心不全が出現したらMRAを追加して、心不全患者
 にMRAを処方していて腎機能や高カリウム血症が心配になったら、SGLT2阻害薬を追加する事に余り
 躊躇しなくてもよいかもしれません。





SGLT2 アルダクトン.pdf














posted by 斎賀一 at 17:05| Comment(2) | 循環器