新型コロナワクチンの安全性・特にRNAワクチン
Maintaining Safety with SARS-CoV-2 Vaccines
This article was published on December 30, 2020, at NEJM.org
This article was published on December 30, 2020, at NEJM.org
新型コロナワクチンの接種が現実味を帯びてきました。
第3波の到来と政治的圧力もあって、医療従事者からの接種が2〜3月になりそうな勢いです。
雑誌NEJMに掲載された本論文を慌てて読んでみました。
1) アメリカでは、ファイザーとモデルナのRNAワクチンが開始されています。
疼痛、発赤、腫脹の局所反応はプラシーボと比較しても多くありますが、全身症状の発熱、筋肉痛、
関節痛、倦怠感は接種後24〜48時間後に認められています。
臨床試験では、ファイザーとモデルナの接種をした人は、事前にアレルギー疾患及びワクチンの
内容物にアレルギーの既往がある人は除外されています。
2) 英国では、接種にあたりMHRA機構が副反応を調べています。
英国では2020年12月8日に、接種後24時間以内にアナフィラキシーが40歳と49歳に発生して
います。アメリカのアラスカでも、12月15日に32歳の女性が、1回目の接種後10分以内で
アナフィラキシーが発生しています。その後も数例のアナフィラキシーが報告されています。
一般的なワクチンではアナフィラキシーは1/1,000,000人の発生ですが、ファイザーのワクチンでは
1/100,000でした。10倍の発生です。
この時点でMHRAはファイザーのワクチンの一時停止を決めています。
(現在日本では、ワクチンによる重大な事象が10万人中5人発生したら中止になります。
今後日本でもファイザーのワクチンが一般で接種され始めた場合にどうなるかは、予断を許さない
状況です。)
3) アナフィラキシー反応は全身症状を起こします。
一般的にはIgEが関与するのですが、本ワクチンのアナフィラキシーでは、IgEが関与しない
non-IgEでも起こります。
その事由として、以前に曝露していない物質に対しての反応で、それは直接にマスト細胞、補体、
好塩基球が最初から作動します。
皮内反応が事前の検査に有効ですが、それは100%ではありません。
IgE及びnon-IgEの両者共に、エピネフリン(エピペン)が有効です。
4) アナフィラキシーの発生は1/100万人と稀です。
しかしファイザーとモデルナのRNAワクチンは一般のワクチンとは異なり、接種後のRNAの安定の
ためにいろいろな処置(細工)が施されています。
RNAワクチンの人体での使用は初めてです。その構成物質のPEG、ナノ粒子のリピッドなどの全てに
アレルギーの反応があるかもしれません。
しかもIgEに関与していない直接的なアナフィラキシーもあります。
上の図で、RNAワクチンは接種後の安定のため、周りに微小分子(nanoparticle)の膜や
PEGを成分(component)として持っています。
そのため、必然的にそれらに対するアレルギー反応が加わります。
(尚、雑誌NEJMの図譜では理解を間違えそうなので、下記のPDFをご参照ください。)
従ってファイザーにアレルギー反応が出た人は、モデルナのワクチンも避ける必要があります。
5) 十分な情報公開と管理体制を構築することで、国民のワクチン接種の拒否を避けることができます。
私見)
先ずは医療従事者の臨床試験(?)から始まります。皆さん、参考にしてください。
以前のブログも参照してください。今後の情報はブログして参ります。
問題はアレルギー疾患を持っている患者さんも一般の健康な人も、アナフィラキシー反応が起こる
可能性は極めて稀ながらあるということです。
接種をする場合は、十分な対応(エピネフリン、酸素、救急対応)が必須です。
「うちはコロナ関連は行っていません。」とは、もう言わせません。
covid-mrna-vaccine.pdf
ブログ1.pdf
ブログ2.pdf
ブログ3.pdf