炎症性腸疾患の病態生理・その1
院内予習編 CD4細胞(T細胞)について
雑誌NEJMに、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)の総説が載っていましたので、次回に纏めてみますが、その前にリンパ球、特にT細胞について勉強しましたので、ブログして皆さんと予習してみます。
1) CDマーカー: 白血球、特にリンパ球の表面分子を抗体法で分類したものです。野球の選手の
背番号の様なもので、専門家でない私はそれだけではどのポジションで、何番バッターか分かりま
せん。CD4がヘルパーT細胞(Th細胞)で、CD8がキラーT細胞(Tc細胞;細胞傷害性T細胞)です。
CD4細胞の表面には抗原特異的レセプターがあり特異的に反応しますが、CD8つまりキラー細胞
には一般的なレセプターがあり、広く一般的に感染細胞を攻撃します。
2) CD4つまりヘルパーT細胞(Th細胞)は、その主として産生するサイトカインの相違によっていくつか
の亜群に分類されます。
上の図は、ネットから引用しました。
・Th1細胞は、INF-γを産生しマクロファージや好中球を活性化させ、その貪食作用を増強します。
更にB細胞が形質細胞に変化してからのIgMからIgGへのスイッチにもINF-γを分泌して関与
します。
・Th2細胞は、B細胞が抗体を産生する形質細胞に変化する際に必要なサイトカインを分泌します。
更にTh2細胞からのサイトカインだけではIgEだけを産生してアレルギーを引き起こしますが、
Th1細胞の分泌するサイトカインと協力して、感染症に大事なIgGを産生します。
つまり、感染症にもアレルギーにもTh1とTh2のバランスが大事です。
・Th17細胞は、サイトカインのIL-17を分泌することから命名されています。
このIL-17は局所の上皮や線維芽細胞に働き、そこからケモカインを分泌させ白血球やマクロ
ファージを呼び寄せて炎症を起こさせます。
・Treg細胞は免疫反応を沈静化させます。
・Tfh細胞について
T細胞は免疫組織の中でT細胞領域に局在しており、B細胞が局在する濾胞とは別の場所に存在
します。
しかし抗原が侵⼊すると、活性化したT細胞の⼀部がTFH細胞となり、B細胞がいる濾胞へ移動
します。
そしてB細胞の働きを補助します。
理化学研究所文献より
3) ナイーブ又は前駆細胞のTh0細胞は、Th1にもTh2にも変化可能な細胞です。
どのような条件でどちらに変化するかは、局所反応とかサイトカインなどのいろいろな因子が考え
られています。
私見)
下記のPDFも参照してください。
免疫 ブログ編.pdf
免疫基礎編.pdf