新型コロナワクチンのQ&A : NEJMより
How does each of the available Covid-19 vaccines work?
アメリカでも新型コロナワクチンに対する安全性の懸念から接種を控える人もいるとの事ですが、それに対する啓蒙活動の意味で、雑誌NEJMにQ and Aの形式で記事が掲載されていましたので、ブログに
します。
今後の接種における本院と関係する点を中心に記載しますので、本記事を一度見てください。
ワクチンの有効性はどうですか いずれのワクチンもプラシーボと比較して、95%の効果です。
ワクチンは感染を予防するばかりでなく、重症化も防ぎ一般の感冒の様に軽症化します。
2回接種が基本ですが、1回の接種でもその効果は認められています。
しかし、ブスター効果のため2回接種しなければ95%には達しません。
その効果の有効期間は短いかもしれませんが、インフルエンザワクチンよりも高く、麻疹ワクチンに匹敵
します。公衆衛生の専門家も、その効果には驚愕しています。
ワクチンはどのくらい効いていますか、ブスター効果のため2回接種が必要ですか 新型コロナワクチンは2020年の夏から始まったばかりです。
明白なことはまだ分かりませんが、少なくとも4か月は有効です。しかもその減弱化はゆっくりです。
ワクチンは他の人への伝染を予防しますか この点に関しては未だ十分なエビデンスはありません。
しかしある論文では、1回の接種で無症状感染が0.3%から0.1%に減少していることから、ワクチンに
より感染を予防できると考えています。
しかし、明白な事が判明するまでは接種した人もその後もマスク着用、手洗い、3密を避けて、
ディスタンスをとることに留意してください。
ワクチンの短期的な安全性について 新型コロナワクチンは全く安全です。この事が本記事の趣旨です。
しかし100%安全なワクチンはないということも理解してください。
つまり、副作用を論じる前に是非その有効性について考えてください。
最も多い副反応は注射部位の疼痛で、特に12〜24時間後に出現します。
約1%の人に、かなりの疼痛があります。(上肢の挙上が出来ないくらいの疼痛)
その他として、全身倦怠感、頭痛です。高熱は稀です。ほとんどが1〜2日以内に改善されます。
若い人の方が、高齢者より頻度が高いです。1回目より2回目の方が多いようです。
対策としてアセトアミノフェン(カロナール)、ブルフェンが有効です。
これらのワクチンの副反応は人体の免疫応答であり、ある意味では通常の症状とも言えます。
ベル麻痺(顔面麻痺)の報告もありますが、その頻度は稀でワクチンとの因果関係は不明です。
ギランバレー症候群の報告はありません。
一般的なアレルギー反応はプラシーボと同程度ですが、重篤なアナフィラキシーが報告されています。
これは1回目の接種でも起き、接種後直ぐに出現します。
従って接種後は15分間の経過観察が必要です。
何らかのアレルギー疾患がある人は、30分の経過観察が必要となります。
現段階では、このアナフィラキシー反応は1/10万人の頻度です。
確かに他のワクチンよりは高頻度ですが、ペニシリンアレルギーの1/5千人よりは少ないと考えて
ください。
ワクチンの長期的な安全性 本ワクチンが適応になってまだ数か月のため十分な検証は出来ませんが、他のワクチンの場合を
考えても極めて稀と想像されます。
ワクチンの禁忌 以下の人が対象です。
・1回目の接種で重篤なアレルギー反応が見られた人
・ワクチンまたはその成分(ポリエチレングリコール[PEG]を含む)にアレルギー反応がある人
・PEGと交差反応のあるポリソルベートに対する重症度の即時アレルギー反応のある人
対策としては ・今までに他のワクチンや注射でアナフィラキシー反応があった人でも本ワクチンの接種は可能ですが
その場合は、接種後の経過観察は少なくとも30分となります。
・1回目でアナフィラキシー反応が生じた場合は、2回目の接種は避けてください。
・1回目の接種で疼痛が激しかった人は、2回目を接種するかは個人の判断となり、禁忌ではありま
せん。
カロナールやブルフェンを事前に服用することも選択肢ですが、アメリカのCDCは免疫応答の減弱も
推定されるため推奨していません。
何かのアレルギーの既往がある人もワクチンを接種できるか 他のワクチンや薬に対するアレルギー、蜂刺傷アレルギー、食物アレルギー、花粉症などは間違いなく
ワクチンを受けることができます。しかしこれらの履歴を持つ人々は、通常の15分ではなく、ワクチンを
受けた後30分間観察する必要があります。繰り返しますがエピネフリンの注射が有効です。
これらの人も1回目の接種で激しい副反応が出ることは稀ですが、もし起こっている場合は、2回目の
接種は行うべきでありません。
免疫機能の低下が予想される人は接種可能か 免疫機能の低下が心配される人とは
・経口または静脈内コルチコステロイド、免疫抑制剤と呼ばれる他の薬の使用
(例えば、ミコフェノール酸、シロリムス、シクロスポリン、タクロリムス、エタネアセプト、
リツキシマブ)を服用中
・がん、骨髄移植、固形臓器移植、がん治療用幹細胞、遺伝子免疫不全、HIV
上記の人も本ワクチンの接種を受けるべきです。
本ワクチンは生ワクチンではありませんので、当然問題はありません。
ただし、臨床試験では主に健康人を対象にしていますのでワクチン効果が減弱する可能性はあります
が、新型コロナ感染の脅威に対しては、間違いなくこれらの人も接種を勧めます。
ワクチン接種によって自己免疫疾患が誘導される可能性はまだ不明ですが、他のワクチンと同程度と
思われます。
基礎疾患が重症の場合は、臨床家はワクチンを接種するにあたり、現在の治療を一時中断したり減量
することも考えるかもしれませんが、現時点では明白なガイドラインはありません。
ケースバイケースで、患者さんの重症度によります。
妊婦と授乳中の安全性 本ワクチンの臨床試験では、妊婦と授乳中のトライアルはありませんのでデータは限定的ですが、
アメリカCDCは妊婦と授乳中の接種を推奨しています。
理論的には安全性は推測できますが、インフルエンザワクチンの接種と同様に十分な説明が必要です。
新型コロナの罹患の危険性を考慮すると医療関係者の妊婦は接種すべきですが、一般的に家庭内で
生活している場合は、今後のデータに注意してから接種するのも選択肢です。
その他まとめて記載 2回目の接種は若干の遅れや早めることは可能
1回目と2回目は同じワクチンを接種すること
濃厚接触の場合は10日間の隔離後に接種すべき
新型コロナに感染した人も接種すべき
安全で有効
私見)
多くの方が納得して接種できるように情報を発信してまいります。
How does each of the available Covid 1.pdf