2021年01月29日

慢性腎臓病の患者さんにコロナワクチンを推奨

 
慢性腎臓病の患者さんにコロナワクチンを推奨
 
CDC, kidney community leaders push safety
of COVID-19vaccines for staff, patients



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 現在承認されている新型コロナワクチンのアナフィラキシー反応は11.1/100万人とされていますが、
透析を含めたCKD(慢性腎臓病)患者にも同様の事が推測されるとの見解が、CDCの腎臓病専門家より
発表になっています。


 ・透析施設の医師は、患者にワクチン副作用の全身症状と局所反応について、事前に充分な説明を
  すべきとしています。
  注射部位の疼痛及び腫脹は80〜89%
  何らかの全身症状は55〜83%  それには発熱、倦怠感、筋肉痛、頭痛、悪寒が含まれます。
  ほとんどが軽症から中程度の症状で、接種後3日以内に出現し一両日中に寛解します。

 ・透析施設の医療関係者はもちろん、先ずワクチン接種を受けるべきですが、特に高齢(75歳以上)
  の透析患者には優先的に接種を勧めることが述べられています。

 ・ファイザーとモデルナのワクチンの臨床試験には、透析患者はハイリスクとして含まれていなかった
  ため、エビデンスとしては明白ではありません。
  ファイザーの臨床試験では4万人中250人のCKD患者を実施しています。
  モデルナは全くCKD患者を含めていません。

 ・世界ではCKD患者を含めたトライアルが236件勧められており、12の新たなワクチンもCKDを含めた
  第三相試験に入っています。

 ・現在、透析施設の医療関係者は接種に消極的で、約半数は拒否しているとの事です。
  しかし、患者を含めてその優先順位は高いと考えています。






私見)
 私の中では現時点で先ず医療関係者は接種を行い、次に65歳以上のCKD患者さんを優先順位と
 すべきだと思います。






コロナ ワクチン CDC, kidney community leaders push safety of COVID-19 vaccines for staff, patients.pdf













posted by 斎賀一 at 18:04| Comment(0) | 小児科

2021年01月27日

ファイザーのワクチン接種後のアレルギー反応

ファイザーのワクチン接種後のアレルギー反応
 
Allergic Reactions Including Anaphylaxis After Receipt
of the First Dose of Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine


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 ファイザーのワクチン接種後にアナフィラキシー反応が稀ながら報告されて以来、接種に消極的な方も
います。欧米では日本と比べ物にならない程の感染爆発が起きており、コロナ死亡率対ワクチン効果
(一見、費用対効果)という面で国を挙げての接種体制です。

 アメリカCDCとVAERSが中心となり、接種後の副作用を集計しています。
副作用をアナフィラキシーとそれ以外、更にアレルギー反応と非アレルギー反応とに分けて報告して
います。その内容が雑誌JAMAに載っていますので纏めてみます。


1) 期間は2020年12月14日からです。
   対象はファイザーのワクチンを1回目に接種した1,893,360人
   (女性;1,177,527人 男性;648,327人 不明;67,506人)です。
   21例がアナフィラキシーと認定しています。 11.1/100万人の比率となります。
   4例が入院、17例が救急搬送されています。
   その内20例は、回復して自宅に復帰しています。 
   死亡例はありません。

2) 接種後のアナフィラキシー反応発生までの時間は、平均で13分です。(2〜150分)
   15分以内が15例(71%)、30分以内が18例(86%)です。
   (30分以上の例は下記の文献中の表から推測するに、やや特異な例と思われます。)

3) 最も多い症状は
   ・蕁麻疹 ・血管浮腫 ・発疹 ・咽頭閉塞感
   アナフィラキシー反応を起こした人の71%(17/21)は、既往歴に何らかのアレルギー疾患が
   ありました。
   33%(7/21)は、以前にアナフィラキシー反応の既往歴を持っていました。
   (インフルエンザワクチンなど)

4) 同じ期間にVAERSに報告された、アナフィラキシー反応でないアレルギー反応は83例ありました。
   ・掻痒感 ・発疹 ・喉の痒み ・引っかき傷 ・軽度の呼吸器症状
    (このことから想像するに、アナフィラキシーかの判定は全身症状の重さのようです。接種後
     何らかの全身症状があれば、アナフィラキシーの前兆と判断したほうが良さそうです。)

5) 対策としては
   ・アナフィラキシー反応に対する十分な対応の設置
   ・接種を受ける人の問診 (禁忌や注意項目の該当)
   ・接種後、15〜30分間は経過観察を実施する担保
   ・医師や他のヘルスケアーの専門家による、アナフィラキシー反応に対する兆候の早期把握
   ・迅速なエピネフリン注射の対応
   ・アナフィラキシー反応を起こした人の適切な搬送
   ・30分以上の観察後に、集団接種場所より離れてからアレルギー症状が出現した場合には、迅速に
    医療機関を受診するよう指導する。






私見)
 国も地方自治体も集団接種を想定しています。
 コロナ以前はワクチンの有害事象予防のために、インフルエンザを含め個別接種の方向ではなかった
 でしょうか? 
 また、原則論として重大な有害事象が5例/10万人発生したワクチンは、中止の方向ではなかったで
 しょうか? 今後この値に接近しないでしょうか?

 今は緊急事態宣言です。

 わっかりました!  ならば、なお一層の体制強化を打ち出してもらいたいと思います。







コロナワクチン 副作用 JAMA.pdf

ワクチン 厚労省.pdf










posted by 斎賀一 at 18:05| Comment(0) | ワクチン

2021年01月25日

新型コロナワクチンのQ&A : NEJMより

新型コロナワクチンのQ&A : NEJMより

   
How does each of the available Covid-19 vaccines work?
 


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アメリカでも新型コロナワクチンに対する安全性の懸念から接種を控える人もいるとの事ですが、それに対する啓蒙活動の意味で、雑誌NEJMにQ and Aの形式で記事が掲載されていましたので、ブログに
します。
今後の接種における本院と関係する点を中心に記載しますので、本記事を一度見てください。


ワクチンの有効性はどうですか
 いずれのワクチンもプラシーボと比較して、95%の効果です。
 ワクチンは感染を予防するばかりでなく、重症化も防ぎ一般の感冒の様に軽症化します。
 2回接種が基本ですが、1回の接種でもその効果は認められています。
 しかし、ブスター効果のため2回接種しなければ95%には達しません。
 その効果の有効期間は短いかもしれませんが、インフルエンザワクチンよりも高く、麻疹ワクチンに匹敵
 します。公衆衛生の専門家も、その効果には驚愕しています。

ワクチンはどのくらい効いていますか、ブスター効果のため2回接種が必要ですか
 新型コロナワクチンは2020年の夏から始まったばかりです。
 明白なことはまだ分かりませんが、少なくとも4か月は有効です。しかもその減弱化はゆっくりです。

ワクチンは他の人への伝染を予防しますか
 この点に関しては未だ十分なエビデンスはありません。
 しかしある論文では、1回の接種で無症状感染が0.3%から0.1%に減少していることから、ワクチンに
 より感染を予防できると考えています。
 しかし、明白な事が判明するまでは接種した人もその後もマスク着用、手洗い、3密を避けて、
 ディスタンスをとることに留意してください。

ワクチンの短期的な安全性について
 新型コロナワクチンは全く安全です。この事が本記事の趣旨です。
 しかし100%安全なワクチンはないということも理解してください。
 つまり、副作用を論じる前に是非その有効性について考えてください。
 最も多い副反応は注射部位の疼痛で、特に12〜24時間後に出現します。
 約1%の人に、かなりの疼痛があります。(上肢の挙上が出来ないくらいの疼痛)
 その他として、全身倦怠感、頭痛です。高熱は稀です。ほとんどが1〜2日以内に改善されます。
 若い人の方が、高齢者より頻度が高いです。1回目より2回目の方が多いようです。
 対策としてアセトアミノフェン(カロナール)、ブルフェンが有効です。
 これらのワクチンの副反応は人体の免疫応答であり、ある意味では通常の症状とも言えます。
 ベル麻痺(顔面麻痺)の報告もありますが、その頻度は稀でワクチンとの因果関係は不明です。
 ギランバレー症候群の報告はありません。
 一般的なアレルギー反応はプラシーボと同程度ですが、重篤なアナフィラキシーが報告されています。
 これは1回目の接種でも起き、接種後直ぐに出現します。
 従って接種後は15分間の経過観察が必要です。
 何らかのアレルギー疾患がある人は、30分の経過観察が必要となります。
 現段階では、このアナフィラキシー反応は1/10万人の頻度です。
 確かに他のワクチンよりは高頻度ですが、ペニシリンアレルギーの1/5千人よりは少ないと考えて
 ください。

ワクチンの長期的な安全性
 本ワクチンが適応になってまだ数か月のため十分な検証は出来ませんが、他のワクチンの場合を
 考えても極めて稀と想像されます。

ワクチンの禁忌
 以下の人が対象です。
  ・1回目の接種で重篤なアレルギー反応が見られた人
  ・ワクチンまたはその成分(ポリエチレングリコール[PEG]を含む)にアレルギー反応がある人
  ・PEGと交差反応のあるポリソルベートに対する重症度の即時アレルギー反応のある人

対策としては
  ・今までに他のワクチンや注射でアナフィラキシー反応があった人でも本ワクチンの接種は可能ですが
   その場合は、接種後の経過観察は少なくとも30分となります。
  ・1回目でアナフィラキシー反応が生じた場合は、2回目の接種は避けてください。
  ・1回目の接種で疼痛が激しかった人は、2回目を接種するかは個人の判断となり、禁忌ではありま
   せん。
   カロナールやブルフェンを事前に服用することも選択肢ですが、アメリカのCDCは免疫応答の減弱も
   推定されるため推奨していません。

何かのアレルギーの既往がある人もワクチンを接種できるか
 他のワクチンや薬に対するアレルギー、蜂刺傷アレルギー、食物アレルギー、花粉症などは間違いなく
 ワクチンを受けることができます。しかしこれらの履歴を持つ人々は、通常の15分ではなく、ワクチンを
 受けた後30分間観察する必要があります。繰り返しますがエピネフリンの注射が有効です。
 これらの人も1回目の接種で激しい副反応が出ることは稀ですが、もし起こっている場合は、2回目の
 接種は行うべきでありません。

免疫機能の低下が予想される人は接種可能か
 免疫機能の低下が心配される人とは
 ・経口または静脈内コルチコステロイド、免疫抑制剤と呼ばれる他の薬の使用
  (例えば、ミコフェノール酸、シロリムス、シクロスポリン、タクロリムス、エタネアセプト、
   リツキシマブ)を服用中
 ・がん、骨髄移植、固形臓器移植、がん治療用幹細胞、遺伝子免疫不全、HIV
  上記の人も本ワクチンの接種を受けるべきです。
  本ワクチンは生ワクチンではありませんので、当然問題はありません。
  ただし、臨床試験では主に健康人を対象にしていますのでワクチン効果が減弱する可能性はあります
  が、新型コロナ感染の脅威に対しては、間違いなくこれらの人も接種を勧めます。
  ワクチン接種によって自己免疫疾患が誘導される可能性はまだ不明ですが、他のワクチンと同程度と
  思われます。
  基礎疾患が重症の場合は、臨床家はワクチンを接種するにあたり、現在の治療を一時中断したり減量
  することも考えるかもしれませんが、現時点では明白なガイドラインはありません。
  ケースバイケースで、患者さんの重症度によります。

妊婦と授乳中の安全性
 本ワクチンの臨床試験では、妊婦と授乳中のトライアルはありませんのでデータは限定的ですが、
 アメリカCDCは妊婦と授乳中の接種を推奨しています。
 理論的には安全性は推測できますが、インフルエンザワクチンの接種と同様に十分な説明が必要です。
 新型コロナの罹患の危険性を考慮すると医療関係者の妊婦は接種すべきですが、一般的に家庭内で
 生活している場合は、今後のデータに注意してから接種するのも選択肢です。

その他まとめて記載
 2回目の接種は若干の遅れや早めることは可能
 1回目と2回目は同じワクチンを接種すること
 濃厚接触の場合は10日間の隔離後に接種すべき
 新型コロナに感染した人も接種すべき
 安全で有効





私見)
 多くの方が納得して接種できるように情報を発信してまいります。






How does each of the available Covid 1.pdf










posted by 斎賀一 at 20:16| Comment(1) | 感染症・衛生