2020年12月11日

サイトカインストームについて

サイトカインストームについて

     <院内勉強会



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 雑誌NEJMにサイトカインストームの総説が載っています。
良くまとめられた最新の情報ですが、その前に免疫学を復習してみました。
ジョンウエイ・トラバースの免疫学は、三国志を読むより面白い教科書です。
第3,5,7版と購入してきましたが、古い版にも分かりやすく表現してある部分があり、いいとこ取りで記載
してみます。図は7版から引用しました。
 ゴッドファーザー3部作をレンタルで見ましたが、ネットで登場人物を調べてから鑑賞してようやく理解
できました。
そんなわけで、先ず免疫劇場の登場人物から記載します。



免疫系の細胞



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抗原提示細胞(APC)も重要です。APCは抗原(異物や病原体)を取り込んでいろいろなサイトカインを
放出し、免疫を司ります。APCには樹状細胞、マクロファージ、B細胞があります。
樹状細胞は皮膚、粘膜(新型コロナの場合は気道粘膜が問題)リンパ節に存在し、抗原を捕捉すると
移動してリンパ節で増殖し、特異的Tリンパ球に情報を提示します。
樹状細胞は、組織にへばりついたマクロファージともいえます。




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 さて問題のサイトカインとは、上記の免疫細胞より放出される可溶性蛋白です。
このサイトカインは近くでも遠くでも作用を及ぼして、免疫系細胞のネットワークを構築します。
サイトカインは産生した免疫系細胞自身ばかりでなく、他の細胞の挙動と性質を変化させます。
 免疫応答には自然免疫と獲得免疫があります。
生命誕生の過程で最初に自然免疫ができ、やがて獲得免疫が進化して形成されました。
しかし自然免疫が原初的という意味ではなく、高度に発達した機能です。
現に高等動物は、この自然免疫と獲得免疫がサイトカインの下で緊密に連絡して免疫機能が働いて
います。





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上の図から分かるように、自然免疫と獲得免疫の中心にあるのがAPC細胞です。
新型コロナウイルスが上気道に侵入したら、樹状細胞がそれを捉えて貪食します。
次に樹状細胞は移動性のマクロファージに変化してリンパ節に達すると、そこで自らも増殖しT細胞に
接触することにより抗原を提示し、更にサイトカインを介してそのT細胞を増殖させます。
図にはありませんが、T細胞はB細胞と連絡をとりあい抗体産生に働きかけます。
つまり、二度目の感染の記憶がある場合は直接B細胞にサイトカインを介して伝達し、迅速に抗体を作り出します。
その他に感染細胞を直接攻撃するキラー細胞(NK細胞)にも、サイトカインを介して情報を伝達します。





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 記載ミスです。「B細胞はTh2細胞に抗原を提示し、Th2細胞がB細胞を活性化し、増殖と分化を惹起
する。」が正しいです。つまりB細胞はTh2細胞と協力して、迅速かつ強力に抗体を産生します。
 B細胞もAPCから抗原提示されたナイーブT細胞も記憶細胞となります。
もちろん相互関係の情報物質は、サイトカインです。






私見)
 登場人物とその人間関係が分かったところで、明日のNRJM「ゴッドファーザー」に期待してください。
余談ですが「ゴッドファーザー」のパートTは、自分と仲間のファミリーだけを信じてのし上がっていく
ストーリーです。
パートUは二代目がその組織を維持するための葛藤を描いています。
パートVは全くの駄作です。二代目とファミリーとの信頼関係が崩壊し、実の家族にも、そして自分自身
にも裏切られる展開です。全く陳腐な内容と結末です。

お前ならどうするかって?
私が脚本を任されたら「再びファミリーを信じ、終わりのない旅路へと再出発をするエンディングです。」
 二代目よ、重荷を抱え果てしない旅路を頑張れ!!





◆参考書籍

 ・免疫生物学  原書3版   南江堂
 ・免疫生物学  原書5版   南江堂
 ・免疫学イラストレイテッド  原書7版  南江堂

 ブログの図が不鮮明のため下記のPDFで掲載しました。





免疫の教科書より.pdf









posted by 斎賀一 at 18:57| Comment(0) | 感染症・衛生