2020年12月08日

新型コロナ患者および濃厚接触者の隔離

新型コロナ患者および濃厚接触者の隔離
 
When to Quarantine 
Stay home if you might have been exposed to COVID-19



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 アメリカのCDCから、新型コロナの隔離に関するリーフレットがありましたのでブログします。
その前に語句のことで少し調べました。
CDCによりますと、隔離には2種類ありQuarantineとIsolationを使い分けています。
Quarantineは感染症に感染した可能性がある人の隔離で、Isolationは感染症に感染した人の隔離を
意味しているようです。
Quarantineを辞書で調べますと、検疫となってしまい意味がズレてしまいますので、下記の記載は英語
で表示してみます。


1) Quarantine(新型コロナウイルスに暴露して感染の可能性のある人)とは具体的にどういう場合
   ですか

   ・過去3か月に新型コロナの感染がない人で、新型コロナ感染者と濃厚接触した人
    もしも3か月以内に同じ症状が出て、他の疾患が否定できた場合は再度検査を勧める

2) 濃厚接触とは何ですか
   ・新型コロナ感染者と、2メートル以内に合計で15分以上接触
   ・新型コロナ感染者を自宅でケアした場合
   ・新型コロナ感染者と直接接触した場合 (キス、ハグ)
   ・新型コロナ感染者の食器を共有した場合
   ・新型コロナ感染者の鼻水、咳などのdropletに直接触る

3) Quarantineの場合の具体的対応
   ・最後の接触後、14日間は自宅待機
   ・発熱、咳、息切れ等に注意
   ・可能なら、新型コロナ感染のリスクの高い人から離れて別室で暮らす

4) Quarantineを緩和してストレスを軽減する対策は
   ・隔離の期間を10日間と短くする
   ・検査して陰性なら、その後7日間の隔離
    (しかし、検査は濃厚接触後5日目以降に行う)

5) Quarantineのその後の対応は
   ・濃厚接触後14日間は症状に注意して、従来のマスクの着用やディスタンスなどの感染対策を
    続ける






私見)
 幸いにも、本院からは重症の新型コロナ感染者は発生していません。
 医療崩壊が叫ばれる中、最前線で勤務する医療従事者の皆さんには頭が下がります。
 本院の職員の皆さんにも感謝しています。
 医療崩壊に対して私のできることは、従来通りの診療を続け、診療拒否をしないことぐらいです。






COVID-19_ When to Quarantine _ CDC.pdf







posted by 斎賀一 at 20:11| Comment(2) | 感染症・衛生

2020年12月07日

慢性腎臓病の初期治療にRA系阻害薬はいいかも

慢性腎臓病の初期治療にRA系阻害薬はいいかも
 
Comparative Effectiveness of Renin-Angiotensin System Inhibitors
and Calcium Channel Blockers in Individuals With Advanced CKD
: A Nationwide Observational Cohort Study



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 2020年11月24日の私のブログ「慢性腎臓病とRA系阻害薬」でご紹介しましたが、最近では慢性
腎臓病のステージG3b(腎機能eGFRが44以下)での降圧薬として、RA系阻害薬は注意が必要とされて
います。
しかし今回雑誌AJKDによりますと、やはり糖尿病の有無に関わらず、慢性腎臓病の降圧剤はRA系
阻害薬が第一選択薬となりそうです。
RA系阻害薬としてはACE-IとARBがありますが、本院でも慢性腎臓病の降圧薬としてRA系阻害薬を主と
して処方している身なので、ややホッとしています。


本論文を纏めてみますと

1) 慢性腎臓病の腎保護のためにも降圧薬としてRA系阻害薬が推奨されていますが、カルシウム拮抗
   薬(CCB)との比較を調べた研究はあまりありません。
   特に最近では、慢性腎臓病(CKD)ステージG4でのRA系阻害薬の使用に警告を出しているガイド
   ラインがあります。
   今回の本論文では、RA系阻害薬とカルシウム拮抗薬(CCB)のガチンコ勝負で調べています。

2) 対象は慢性腎臓病ステージG4以降(eGFRが30以下)を対象に、RA系阻害薬が2,458名と
   カルシウム拮抗薬(CCB)2,345に振り分けています。
   RA系阻害薬とカルシウム拮抗薬(CCB)を服用していない人との比較は行っていません。
   コントロール群として、慢性腎臓病ステージG3(eGFRが30〜60)を採用しています。

3) 主要転帰は透析導入(腎移植も含む更なる治療)、全死亡、心血管疾患(MACE)の発生です。
   平均年齢は74歳、4.1年の経過観察です。

4) 結論として
   主要転帰はRA系阻害薬群の方が有効で、危険率は0.79でした。
   全死亡率は両群ともほぼ同じで、危険率は0.97です。
   心血管疾患(MACE)も同様で、危険率は1.00です。
   コントロール群(ステージG3)も主要転帰はRA系阻害薬が優位で、危険率は0.67でした。
   本研究には当然ながら制限があります。(limitation)

5) 考察
   従来よりRA系阻害薬が慢性腎臓病の腎保護の観点から推奨されていますが、採用に当たる腎機能
   の基準(threshold)は明白に示されていませんでした。
   本研究では、CCBの種類に関しての検討はされませんでした。
   現実には慢性腎臓病のステージG4から降圧薬を始める人はいないと思います。
   更に地域差や人種の差はあるかもしれませんが、慢性腎臓病ステージG4にRA系阻害薬を処方する
   メリットはあると結論付けされました。





私見)
 本論文のグラフからは、懸念される血清カリウム値に関しても両群で差はありませんでした。
 本院での慢性腎臓病に対する降圧のストラテジーは、ステージG3まではRA系阻害薬を主体とし、
 ステージG3bは専門家への紹介且つ十分な管理と致します。




         21207-2.PNG   ←クリックで拡大








本論文Comparative Effectiveness of Renin-Angiotensin System Inhibitors and Calcium Channel Blockers in Individuals With Advanced CKD_ A Nationwide Observational Cohort Study.pdf








     
posted by 斎賀一 at 19:49| Comment(0) | 泌尿器・腎臓・前立腺

2020年12月05日

結腸憩室炎の腹腔鏡的S字結腸切除術の有用性 LASER研究

結腸憩室炎の腹腔鏡的S字結腸切除術の有用性 LASER研究
 
Comparing Laparoscopic Elective Sigmoid Resection With Conservative
Treatment in Improving Quality of Life of Patients With Diverticulitis
The Laparoscopic Elective Sigmoid Resection Following Diverticulitis
(LASER) Randomized Clinical Trial



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 結腸憩室炎は再発を繰り返す疾患ですが、何とか保存的な内科治療でしのげると個人的には思って
います。今回雑誌JAMAに、腹腔鏡手術によるS字結腸切除術が、患者さんのQOLにとって有効との論文
が掲載されました。


1) 2014年9月29日から2018年10月10日までで、128人の患者が登録されました。
   18歳から75歳で、2年以内に大腸内視鏡により診断されている憩室炎患者です。
   結局66人がQOLの主要転帰の研究対象になり、85人が二次の臨床転帰の対象となりました。
   腹腔鏡手術群と従来の保存的治療群にランダマイズされています。

2) 主要転帰はランダマイズされた時から6か月後の患者のQOLを、アンケートもしくは電話での聞き取り
   で行っています。
   QOLは胃腸QOL指標のGIQLIスコアーを用いています。
   GIQLIスコアーは36項目の質問からなり、1項目0から4点が配点され全体で144点になります。
   点数の多いほうがQOLの満足度が高いことになります。
   二次転帰はGIQLIスコアーの12、24、48、96か月後のスコアー及び、憩室炎再発、緊急手術、
   保存的治療から待機手術への変更、腹腔鏡手術の合併症、何らかの死亡、人工肛門造設術など
   です。

3) 結果として、胃腸QOL指標(GIQLI)スコアーのランダマイズから6か月経過後のスコアーの変化は
   腹腔鏡手術群11.76、保存的治療群−0.2となり、腹腔鏡手術群の⽅が平均11.96高い結果です。
   合併症発⽣率は腹腔鏡手術群10%、保存的治療法群0%、6カ⽉以内の憩室炎の新規エピソード
   発⽣率はそれぞれ5%、31%でした。保存的治療群から緊急手術は2例ありました。

4) 待機的腹腔鏡手術のS字結腸切除術は、患者のQOLの向上、再発の減少、合併症低下、持続性
   腹痛からの解放の利点があるが、10%の重大な合併症も存在する。
   またコストの長期的な検討はなされていません。





私見)
  本院での患者さんへの説明は下記の点でしょうか。
  ・保存的治療をしていても、再発率は30%程あります。
  ・腹腔鏡手術をすればQOLの向上が得られますが、重大な合併症は10%です。
  ・保存的治療をしていても、緊急手術は2/44(5%ほど)あります。

  憩室炎を再勉強して、近々ブログしてみます。






jama本論文.pdf

アンケート例1.pdf

アンケート例2.pdf










posted by 斎賀一 at 17:03| Comment(0) | 消化器・PPI