2020年11月11日

フェイスシールドの有効性

フェイスシールドの有効性
 
Universal face shield use significantly
reduces SARS-CoV-2 infections among HCP



21111.PNG



 アメリカの学会での報告です。
以前の私のブログでも紹介しましたが、マスク+フェイスシールドの着用が医療従事者の新型コロナ感染
予防に有効と指摘されてします。今回もその有効性が証明されました。


1) 500床以上の第4次病院の医療従事者8,000人を対象にしています。
   4月17日から6月5日までは、通常のマスクでの勤務です。
   新型コロナ感染の陽性率は、0%から12.9%に上昇していました。
   実際、勤務による感染の陽性率は0%から5%の増加でした。
   6月6日から6月26日にフェイスシールドの着用を推進しました。
   フェイスシールド着用後の数週間で、陽性率は2.3%に減少。
   勤務関連による感染の陽性率は0%でした。

2) 医療従事者の陽性率は、勤務関連と個人的環境での感染が合わさったものですが、その全体を
   モデル化して試算しますと、13週間で22.9%から2.7%に減少するとのことです。

3) フェイスシールドの着用を推進した当初は、煩雑さや装着による頭痛などの医療従事者からの
   クレームが多くあったそうです。 (日本での医療従事者には考えられないことです。)





私見)
 接触感染や空気感染に対する対策も必要ですが、医療従事者にとって最も大事な点はマスク+フェイス
 シールドの着用です。そして頻回な手洗い励行です。
 更に危険率が高まるセッティングでは、手袋を着用しましょう。







Universal face shield use significantly reduces SARS-CoV-2 infections among HCP.pdf

ブログ1.pdf









posted by 斎賀一 at 17:34| Comment(0) | 感染症・衛生

2020年11月10日

慢性冠動脈疾患におけるコルヒチンの有効性

慢性冠動脈疾患におけるコルヒチンの有効性
 
Colchicine in Patients with Chronic Coronary Disease
N Engl J Med 2020;383:1838-47.



21110.PNG




以前の私のブログで、コルヒチンの抗炎症作用が心筋梗塞発症後30日の患者さんに対して心血管疾患の2次予防に繋がるという論文を紹介しましたが、今回のNEJMの論文では、さらに一歩進んだ内容で、安定した冠動脈疾患にコルヒチンを投与すると、心血管疾患の一次予防(1.5次予防?)に繋がるという内容です。   ;LoDoCo2スタディ


纏めますと

1) 対象は、何らかの方法で冠動脈疾患の診断を受けた35〜82歳の患者です。
   具体的には冠動脈疾患の診断は、侵襲的手技法である冠動脈造影(CAG)、冠動脈の非侵襲的な
   評価方法として冠動脈CT angiography(CTA)又はマルチスライスCT による冠動脈石灰化
   スコアーで行っています。
   ざっくりと言って、血管再建術(PTCIやCABG)を行っていなくて6 か月以上安定している狭心症を
   対象にしています。(下記に記載されている条件で血管再建術をした患者さんも含まれます。)




         21110-3.PNG



 
2) 慢性冠動脈疾患患者にコルヒチン 0.5 mg を 1 ⽇ 1 回投与する群と、プラセボを投与する群に
   振り分けています。

3) 主要転帰は⼼⾎管死、⾃然発症(⼿技に起因しない)の⼼筋梗塞、脳梗塞、虚⾎による冠動脈⾎⾏
   再建術の複合(まとめた)としています。
   2次転帰は色々な複合転帰を併せていますが、複雑なので下記の結果の表で確認してください。

4) 結果は5,522 例が無作為化され、2,762 例がコルヒチン群、2,760 例がプラセボ群に振り分け
   られました。
   平均の経過観察は 28.6 ヵ⽉です。
   主要転帰の発生は、コルヒチン群の 187 例(6.8%)とプラセボ群の 264 例(9.6%)です。
    (発⽣率: 100 ⼈/年あたり 2.5 件 対 3.6件、危険率は 0.69)
   2次転帰は表をご参照ください。
   ⼼⾎管系以外の原因による死亡の発⽣率は、コルヒチン群のほうがプラセボ群よりも⾼かった。
    (発⽣率: 100 ⼈/年あたり 0.7 件 対 0.5 件、危険率は 1.51)
   (このことに関しては詳細に記載がなく、発生は低率なのであまり問題視していません。)




         21110-2.PNG



 
   結果は下記のPDFの図で確認してください。




         21110-4.PNG




    

私見)
 尿酸値が高い冠動脈疾患のある人には、1.5次予防と2次予防を併せてコルヒチン投与の対象と理解
 します。
 高血圧と痛風のある私としても、うれしい?スタディです。





2次転帰を含めた結果.pdf

心 コルヒチン 1.pdf

コルヒチン 心 2.pdf

コルヒチン 心 3.pdf














posted by 斎賀一 at 20:29| Comment(0) | 循環器

2020年11月09日

65歳以上の2回目の肺炎球菌ワクチンは?

65歳以上の2回目の肺炎球菌ワクチンは?
 
Does my healthy 65-year-old patient
still need the 13-valent pneumococcal
conjugate vaccine (PCV13)?



21109.PNG



 新型コロナの影響で、65歳以上の多くの方が肺炎球菌ワクチンの接種を希望され、23価のワクチンが品不足になっています。本院でも入荷が制限されています。
ご迷惑をお掛けしていますが、この際にブログで今一度復習をしてみます。以前のブログも下記に掲載
します。
タイミングよく雑誌clevelandより、短く纏めた論文が載っていましたのでそれも紹介します。


先ず復習として

・肺炎球菌ワクチンには2種類あります。
 小児用が13価ワクチン(プレベナー)です。
 細胞免疫を刺激するためブスター効果(繰り返す接種することにより免疫が増強)があり、その効果は
 長期間持続します。
 成人用の23価(ニューモバックス)は液性免疫を刺激しますので、ブスター効果はなくその効果も短期間
 です。
 プレベナーは細菌叢の変化が懸念されます。
・小児でのプレベナー接種が普及してから、13価に関連する市中肺炎は減少しています。


さて本論文を纏めてみますと

1) 2019年の夏にCDCとACIPの会議があり、新たなガイドラインが検討され2020年版のガイドライン
   が発表された。

2) 2014年のガイドラインでは、65歳以上は23価を接種して、1年後に13価を追加で接種することを
   勧めていましたが、2020年版ではとりあえず65歳以上の高齢者は全て、先ず23価を接種すること
   を勧め、その後13価を追加するかは患者と臨床家が相談して決定すればよい。

3) 結局13価を飛ばしても良いかもしれない。
   13価を接種して5年後に23価を接種するコストと、13価をせずに追加は23価だけのコストを比較
   しても13価接種の意義が薄らぎます。
   繰り返しになりますが、小児での13価ワクチンの接種が普及してから、社会全体で肺炎球菌による
   市中肺炎が減少していますが、65歳以上に13価を接種しても市中肺炎の減少に効果が認められて
   いない事も根拠としています。 (下記のPDFで説明します。)






私見)
 私としましては、以前より患者さんが期待するほどニューモバックスの効果はないのではと考えて
 います。 慌てずにもう暫くお待ちください。
 それよりもインフルエンザのワクチンをお願いします。







1 纏め.pdf

2 肺炎ワクチン 13価 本論文.pdf

ブログ1.pdf

ブログ2.pdf

ブログ3.pdf

ブログ4.pdf

ブログ5 スケジュール.pdf

肺炎ワクチン『定期接種化』で混乱.pdf











posted by 斎賀一 at 19:40| Comment(1) | ワクチン