2020年11月30日

新型コロナの再感染は少なくとも6か月間は稀

新型コロナの再感染は少なくとも6か月間は稀
 
COVID-19 Reinfection Unlikely for at Least 6 Months



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 新型コロナの再感染の報告があると止めどない不安に駆られてしまいますが、最近オックスフォード大学の研究者から、再感染は稀であり少なくとも抗体が形成されていれば6か月間は再感染の危険はないという報告がなされています。

少し安堵しました。
正式にはまだ発表されていないようですがロイター通信からの情報でmedscapeに掲載されていました。


纏めますと

 2020年の4月から11月までの30週間の調査です。
 対象は感染リスクが高く、再感染の可能性もある医療従事者です。
 抗体のない11,052名のうち89名が症状を有する感染者になりましたが、抗体の有する1,246名は
 全員が症状のある感染を発症していませんでした。
 抗体があれば無症状の感染もほとんどありませんが、無症状感染は抗体のない人で76名あり、抗体の
 ある人では3名でした。その3名も無症状のまま経過して完治しています。





私見)
 第3波が懸念されています。本院職員の皆さんの頑張りに感謝します。
 抗体検査を実施し、更なる対応策を検討しましょう。






コロナ 再感染 (2).pdf







posted by 斎賀一 at 20:49| Comment(0) | 感染症・衛生

コロナ禍での他の感染症

コロナ禍での他の感染症
       <短 報



 南半球では今季インフルエンザがほとんど流行しなかったとのことですが、予想通り北半球の日本でも流行の兆しがありません。
新型コロナの影響でマスクの着用が徹底しているからかもしれませんが、例年ではインフルエンザの流行に先駆けて、RS感染症が流行ります。そのRS感染症すらも現在はほとんど発生していません。

 国立感染症研究所からの報告週間では、先週が47週にあたります。
インフルエンザとRS感染症の週別報告を、下記のPDFに掲載します。
今シーズンと前年をグラフで比較すると、歴然としていて驚愕します。  
 (それぞれの47週を比べてください。)
 現時点では、本院においてインフルエンザの迅速診断を積極的には実施しない方針です。
流行期でない場合には、擬陽性がモロに顔を出してしまう懸念があるからです。
何やら不気味な感じがいたします。





1 インフ 47週 グラフ.pdf

2 インフ 47週 報道機関.pdf

3 RSウイルス.pdf










posted by 斎賀一 at 18:17| Comment(0) | 感染症・衛生

2020年11月28日

糖尿病治療薬のSGLT-2阻害薬の副作用 用量依存性に関する考察

糖尿病治療薬のSGLT-2阻害薬の副作用
用量依存性に関する考察

Clinical Adverse Events of High-Dose vs Low-Dose Sodium–Glucose
Cotransporter 2 Inhibitors in Type 2 Diabetes


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 糖尿病治療薬のSGLT-2阻害薬は、今や第一選択薬に上り詰める勢いです。
心臓疾患や腎臓疾患にも優位に働くため、使用の幅が広がっています。単独使用の場合には、
低血糖の心配もあまりなく、処方しやすい薬剤の一つです。
副作用として懸念されているのが、稀とは言われていますが、現段階ではカナグルとフォシーガに、
尿路感染症、ケトアシドーシス、急性腎障害があります。
カナグルに、下肢切断、骨折のボックス ワーニング(警告)もされています。
問題は血糖改善のために効果を上げるため、低用量から高用量に増量した時に副作用が出ないか
心配になります。今回、雑誌J Clin Endocrinol Metabの論文が全文medscapeに掲載されています
ので、纏めてみました。


 1) 2006年1月1日から2020年3月10日のメタ解析です。
    51の文献から、24,371人のSGLT-2阻害薬服用者を登録しています。
    それぞれのSGLT-2阻害薬の中で12,208人の低用量と、12,163人の高用量を比較して
    副作用を調べています。

    副作用のチェックは全体の安全性として、
    ・すべての副作用 ・重篤な副作用 ・副作用で薬の中断 ・死亡 などです。
    特別な安全性として、
    ・感染症 ・骨筋肉症状 ・胃腸症状 ・多尿 
    ・めまい ・腎障害 ・脂質異常症、高尿酸血症 です。

 2) 全体として、何らかの副作用出現は低用量群で69.3%、高用量群では69.4%でした。
    高用量群の低用量群に対する危険率は、1.08とほぼ同じです。
    血糖降下作用は容量依存性です。高用量により、HbA1cは0.5%から1.5%の低下です。
    加えてフォシーガは、尿酸を下げる効果もあり、用量依存性で5から50mg低下しています。
    心血管疾患と腎疾患に関しての効果に関しては、その用量依存性は証明されていません。
    カナグルにおいては、高用量の方に副作用が多いようです。ただし、それは頻尿においてでした。
    一般的に低用量より、高用量の方が副作用が多いのは26週以上の経過後です。

 3) 特別な副作用に関しては、性器真菌症は両群で同等でした。
    性器感染症は、フォシーガでは高用量の方が多い傾向です。
    尿路感染症は、両群で差はありませんでした。

 4) 多くの利尿薬(サイアザイド系とループ利尿薬)は、用量依存性で利尿効果が上がりますが、
    血清カリウム、耐糖能や尿酸値に影響を与えてしまいます。
    一方で、SGLT-2阻害薬における利尿効果は、尿細管に限局して作用し、バゾプレッシン
    (抗利尿ホルモン)を刺激し、尿の再吸収を誘導して、結局は体内の水分量は保持します。
    このことが従来の利尿薬と異なり、心不全に対するSGLT-2阻害薬の独特の有効性を発揮します。

 5) 結論としては、血糖コントロール不良の場合はSGLT-2阻害薬の増量は可能であり、
    副作用に関しては、低用量と高用量で差はありませんでした。



私見)
 SGLT-2阻害薬の安全性と有効性が証明され始めています。しかしながら、コストの問題と
それでも注意が必要のようです。



SGLT 副作用.pdf






posted by 斎賀一 at 17:31| Comment(0) | 糖尿病