2020年10月15日

コロナ禍の虫垂炎・CODA研究

コロナ禍の虫垂炎・CODA研究
 
A Randomized Trial Comparing Antibiotics
with Appendectomy for Appendicitis
This article was published on October 5,2020, at NEJM.org



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 急性虫垂炎の治療は手術が基本ですが、60年以上前から保存的治療の有用性も論じられています。
現在新型コロナの時代に、虫垂炎の抗生剤療法における保存的治療がなお一層注目されています。

 今回雑誌NEJMに、手術と抗生剤治療のガチンコ勝負であるCODA研究が載っていましたので纏めて
みました。
本研究は当初1年間の経過観察でしたが、コロナ禍において最初の90日間での集約となっています。


1) 抗生剤治療群は、抗生剤を10日間処方しています。
   主要転帰は、治療30日後のアンケート調査によるQOL評価をED-5Dで行っています。
   (下記PDF参照)
   二次転帰は、抗生剤治療群においても手術を含めた90日までの合併症の集積です。
   データでは糞石の有無に注目しています。

2) 1,552例(糞石が414例)をランダマイズ化しています。
   776例が抗生剤治療群(47%が外来治療)で、776例が手術群(腹腔鏡手術96%)に振り分けて
   います。

3) 結果は30日後のED-5D評価で、両群の差はありませんでした。
   二次転帰の90日評価では、抗生剤治療群において手術を行ったのは29%ありました。
   内容は糞石があれば41%で、糞石がなければ25%が手術への移行でした。
   重大な有害事象は、抗生剤治療群で4.0人/100人に対して、手術群では3.0人/100人で、その
   危険率は1.29です。
   合併症は抗生剤治療群が8.1人/100人に対して、手術群は3.5人/100人で危険率は2.28です。
   特に糞石があるとその危険率は5.69と高くなりますが、糞石がなければ両群の差はなくなり、
   危険率は1.05とほぼ同じです。
   ドレナージ術が必要であった例は、抗生剤治療群で2.5人/100人で、手術群では0.5人/100人で
   危険率は5.36です。
   両群とも手術した例に限定して調べますと、穿孔は抗生剤治療群が32%、手術群で16%ですが、
   糞石があると61%対24%です。

4) 結論的には、90日時点での評価としては、抗生剤治療群の10人中3人は結果的に手術となって
   います。   
   逆に言えば10人中7人は手術をしなくてもよいという結果です。その際に糞石の有無が合併症に
   関与することが分かりキーポイントとなります。




私見)
 外科に紹介するかの決め手は、糞石が大いに関与します。




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                     Appendicolith 糞石






本論文.pdf

EQ-5D.pdf













posted by 斎賀一 at 14:26| Comment(0) | 消化器・PPI