2020年10月06日

心房細動に対する早期リズムコントロール療法の有用性

心房細動に対する早期リズムコントロール療法の有用性
 
Early Rhythm-Control Therapy in
Patients with Atrial Fibrillation
N Engl J Med 2020;383:1305-16.



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 心房細動に関連する脳卒中、急性冠症候群、心不全、心血管疾患による死亡などの発生は、年間当り
5%と推定されています。しかも、その発生は心房細動と診断された最初の1年間が一番多いとされて
います。
心房細動そのものに対する治療には、リズムコントロール(洞調律維持)療法つまり心房細動を治す治療と、レートコントロール(心拍数調節)療法つまり脈拍数を正常域にする療法があります。
今までの研究では予後に差はないかあるいはリズムコントロールの方が副作用が多いとされていました。
リズムコントロール療法とレートコントロール療法を比較した研究はAFFIRM研究、RACE研究、
AF-CHF研究、また日本のJ-RHYTHMなどがあり全て同様の結果です。
そのため、ガイドラインではより簡単でわかりやすいレートコントロール療法をにわかに勧めています。
 しかし最近、規模の小さい研究ではありますが、アブレーションを含めたリズムコントロールの方が明らかに予後良好との結果を報告しています。
また、今までの研究では心房細動と診断されてから、年数が経っている症例がほとんどでした。

 今回NEJMで発表になったEAST-AFENT4研究は、心房細動の診断を受けて1年以内の患者で、しかも
リズムコントロールにはアブレーションと積極的な抗不整脈薬を含んでいます。




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纏めてみますと

1) 早期⼼房細動(初めて診断されて1年以内)と⼼⾎管疾患を有する患者を、早期リズムコントロール
   群と通常診療群に、無作為に割り振りました。
   早期リズムコントロール群では、無作為化後に抗不整脈薬投与または⼼房細動アブレーション
   などを⾏っています。
   通常診療群では、リズムコントロールは⼼房細動関連症状を管理する場合に限定しています。

2) 主要転帰は⼼⾎管系の原因による死亡、脳卒中、⼼不全の悪化または急性冠症候群による⼊院の
   複合とし、第⼆の主要転帰は 1 年間、病院で夜を過ごした⽇数としています。
   主要安全性転帰は死亡、脳卒中、リズムコントロール療法に関連する重篤な有害事象の複合と
   しました。副次的転帰として、症状や左室機能なども評価しています。

3) 結論
   2,789 例の早期⼼房細動患者(診断からの期間の中央値 36 ⽇)が無作為化されています。
   追跡期間中央値が 5.1 年の時点で⾏われた 3 回目の中間解析で有効性が示されたため、試験は
   中⽌されました。
   主要転帰イベントは、早期リズムコントロールに割り付けられた患者のうち 249 例(100⼈/年
   あたり 3.9)と、通常診療に割り付けられた患者のうち 316 例(100 ⼈/年あたり 5.0)に発⽣
   しました。 (危険率 0.79)
   重篤な有害事象は、早期リズムコントロールに割り付けられた患者の 4.9%と、通常診療に割り付け
   られた患者の 1.4%に発現しています。




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4) 考察
   研究初期の1〜2年は無症状が両群共に70%以上あり、心機能の変化も両群の差はありません
   でした。
   しかも本研究では以前の研究と異なり、両群共に抗凝固薬の併用、心拍数の調整、心不全の治療を
   行っています。
   さらに診断後早期での無作為化研究を行っています。この事がリズムコントロールに優位に働いて
   いるものと思われます。
   確かに重篤な有害事象はリズムコントロール群に多くありましたが、その頻度は極めて稀でした。

5) 結論
   早期⼼房細動と⼼⾎管疾患を有する患者において早期リズムコントロール療法を行った場合は、
   通常診療を⾏った場合と⽐較して、有害な⼼⾎管転帰のリスクが低いことが証明されました。





私見)
 何事も早期発見、早期治療です。
 今後も心房細動の診断時には、症状がなくても2次施設へのご紹介に努めます。



         














posted by 斎賀一 at 20:14| Comment(1) | 循環器