2020年10月04日

うつ病治療薬と糖尿病の関連性

うつ病治療薬と糖尿病の関連性
 
Association of Selective Serotonin Reuptake Inhibitors
With the Risk of Type 2 Diabetes in Children and Adolescents 



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 若い方がうつ病治療薬のSSRIを処方され、体重が増えてきたためにネットで調べたらSSRIと糖尿病
の関連性が書いてあったと言って心配になり、本院に相談に来ることが時々あります。
特に若い女性の場合は尚更です。
関連性は乏しいと説明していましたが、今回若い人に限定しての論文が出ていましたので、ブログして
みます。


1) 一般論としてSSRIの服用で若干の糖尿病の増加を認めていますが、1,515人の治療に対して
   糖尿病の発生者数は1人と言われています。

2) 今回の論文の対象は10〜19歳のSSRI処方の適応者です。
   調査は公的医療保険と個人医療保険より調べています。

   【日本は世界に冠たる皆保険ですが、アメリカでは受給資格がある人のみ公的医療保険制度に加入
   できます。主な公的医療保険制度として、メディケア(Medicare)とメディケイド(Medicaid)
   があります。
   メディケアは、65歳以上の高齢者、身体障碍を持つ人、および透析や移植を必要とする重度の
   腎臓障害を持つ人を対象とした連邦政府が運営する制度で、メディケイドは、低所得者を対象に
   州政府と連邦政府によって運営されています。 そのためこれらの制度の対象外となる人は民間の
   保険への加入を検討する必要があります。】

3) 結論的には
   2〜3年の経過観察期間です。公的医療保険からのデータでは危険率は1.13です。
   2年間で1,000人中6.6人の糖尿病発生でした。個人保険加入者では危険率は1.01と低率です。
   (きわどい言い方をすれば、公的医療保険加入者は医療環境も個人保険加入者より劣ります。)
   総合的に判断してSSRIの有益性が勝るとしています。
   しかし詳しく見ますと、公的医療保険加入者は導入初年度では13%の増加ですが、慢性処方により
   33%の増加率となります。
   また心理療法との比較では、公的医療保険加入者は44%の増加で、個人医療保険加入者では
   21%の増加でした。
   代謝に関して影響のないとされているbupropionと比較しますと、増加率は同じでした。





私見)
 Uptodateによりますと、基本的にはSSRIと糖尿病との因果関係は明白でないとしています。
 若干の発生増加はうつ状態の改善、運動の低下などが関係しているものと推定しています。
 論評では、公的医療保険加入者では肥満や糖尿病の進展を予防する何かが欠けている可能性を指摘
 しています。ともあれ有益性が勝るといえども、しっかりしたエヴィデンズが求められるとしています。






本論文.pdf

1 SSRIの種類.pdf

2 SSRIの体重増加・Uptodate より.pdf










posted by 斎賀一 at 15:24| Comment(0) | 脳・神経・精神・睡眠障害