2020年10月30日

大腸ファイバーは二度挿入する

大腸ファイバーは二度挿入する

Two vs one forward view examination of right colon on adenoma
detection: an international multicenter randomized trial



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 大腸ファイバー検査は見落としが無いように体位変換をしたりと工夫が大事ですが、今回の論文では
上行結腸を再挿入し、二度調べる方法が有用との報告です。


簡単に纏めますと

• 大腸検査で、大腸の一番奥の回盲部に到達すると一仕事完了の気分になります。
  そこから注意深くファイバーを抜いてくる通常方法(standard withdrawal colonoscopy;SWC)
  と、肝曲部(上行結腸の入り口)まで抜いてきたら、もう一度上行結腸に再挿入して二度調べる方法
  (Second forward view ;SFV)とを比較検討しています。

• 2016〜2019年の1,011例の症例を、二度挿入群502例と通常群509例に振り分けています。
 上行結腸のポリープ発見率は、二度挿入群が27.1%に対して通常群は21.6%と明らかに二度挿入群
 の方が診断確率を上げています。
 その結果、経過観察の必要な症例が二度挿入群で3%増加しています。
 検査の時間も、抜いてくる時間を比較しますと二度挿入群が12分、通常群は10.5分で1〜2分の差
 でした。





私見)
 何事も大事をとって、二度行う必要があるでしょうか。
 話は変わりますが、新型コロナの場合も必要なら二度検査することも可能とのこと。
 職員の皆さんにはご負担をお掛けいたします。
 本日はおいしい高級団子を、一人二本プレゼントします。






Two vs one forward view examination of right colon on adenoma detection_ an international multicenter randomized trial - Clinical Gastroenterology and Hepatology.pdf











posted by 斎賀一 at 17:42| Comment(0) | 消化器・PPI

2020年10月28日

アメリカおよび世界のインフルエンザ流行の低下傾向

アメリカおよび世界のインフルエンザ流行の低下傾向

  <短 報

要旨を簡単に纏めてみますと、
今年の夏は、南半球においてもインフルエンザが記録的に減少していましたが、その流れを継いで
アメリカでも現時点でインフルエンザの活動が低下しています。
新型コロナに対する世界的な介入が、インフルエンザにも影響しているようです。

 新型コロナは主に飛沫感染により伝播しますが、インフルエンザも同様な感染形式です。
流行時には実効再生産数は、新型コロナで2〜3.5、インフルエンザで1.28と言われていますが、
新型コロナの流行でマスクの着用、自粛、テレワーク、学校閉鎖などが一般社会に浸透し、それが
インフルエンザの流行を中断している可能性は当然ながら考えられます。
しかしながら新型コロナの不確実性を考えると、今冬季はインフルエンザウイルスの循環に対して、
充分な注意が必要と纏めています。




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    アメリカにおける2019~2020のインフルエンザ検査の陽性率は 0 を這っています。



          

          21028-2.PNG  ←クリックで拡大
          

  
 オーストラリアではこの夏(インフルエンザの流行は4〜7月ですがサーベランス週は14〜31です。)
 インフルエンザ検査の陽性率はほとんど 0 です。





私見)
 インフルエンザの流行が今季日本でも低いようならば、医療従事者にとってもありがたいことです。
 しかし、その場合は診断の方法や治療戦略を根本的に変更しなくてはなりません。
 皆さんと十分に検討する必要があります。

 「インフルエンザが流行っているから」 といった安易な戦略はNGです。






Decreased Influenza Activity During the COVID-19 Pandemic − United States, Australia, Chile, and South Africa, 2020 _ MMWR.pdf











posted by 斎賀一 at 19:16| Comment(1) | 感染症・衛生

2020年10月27日

成人の多臓器系炎症性症候群の症例報告  新型コロナ・CDCより

成人の多臓器系炎症性症候群の症例報告
 新型コロナ・CDCより
 
Case Series of Multisystem Inflammatory Syndrome in Adults Associated
With SARS-CoV-2 Infection − United Kingdom and United States,
March–August 2020



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 新型コロナ感染症による多臓器系炎症性症候群は、稀ながら小児では重症型で、また川崎病類似
病態のため注目されていますが、今回アメリカのCDCのMMWRから、成人の症例報告がありました。
小児例は検査ではCRP、D−ダイマー、フェリチンの上昇を認めていて、症状としてはショック、
心機能障害、腹痛、皮疹などの特徴があります。
 今回の成人例は、CDCに報告された9例、公表された7例、論文報告の11例の合計27例を調べて
います。


1) 初期症状
   24時間続く38度以上の発熱が12/16人に認められています。
   6/16人は、動悸又は胸痛を訴えています。
   16人全員に、何らかの心臓関連の所見がありました。
   (不整脈、トロポニン上昇、心エコーで左室又は右室機能障害)
   13/16人は、入院時に消化器症状がありました。
   5/16人は、やはり入院時に皮疹を認めています。
   3/16人に結膜炎、10/16人にCT所見があり、6/16人は胸水を伴います。

2) 考察
   新型コロナの感染時期と、多臓器系炎症性症候群発症の間隔は不明瞭です。
   つまり多臓器系炎症性症候群が感染初期の症状なのか、感染後に起こる症状なのかは明白では
   ありません。典型的な症例では、新型コロナ感染の症状発現後2〜3週間で多臓器系炎症性症候群
   が発生しています。
   しかし8/16人(つまり半数)は、多臓器系炎症性症候群出現前には新型コロナ感染症状を特定でき
   ませんでした。





 
私見)
 報告の16例を見ますと、多臓器系炎症性症候群は実地医家にとって、次の様にイメージする必要が
 ありそうです。

 ・新型コロナを疑い、検査して陽性ならば保健所に報告
  (その先は実地医家の領域ではない)
 ・発熱があるかないかに関わらず感冒症状に心疾患の所見があれば、新型コロナの多臓器系炎症性
  症候群を想定する。
 ・消化器症状がある初診患者は、簡易心エコー(腹部エコーでも可)を併せて行う。


 これほど診断に苦慮する感染症とは思いませんでした。







Case Series of Multisystem Inflammatory Syndrome in Adults Associated with SARS-CoV-2 Infection − United Kingdom and United States, March–August 2020 - コピー.pdf













posted by 斎賀一 at 16:36| Comment(0) | 感染症・衛生