2020年09月23日

鼻腔用イソジンは新型コロナ感染予防に効果?

鼻腔用イソジンは新型コロナ感染予防に効果?
 
In Vitro Efficacy of a Povidone-Iodine Nasal Antiseptic
for Rapid Inactivation of SARS-CoV-2



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 イソジンのうがいが新型コロナ感染予防に繋がるという大阪知事の見解に対して、やや勇み足と感じましたが、今回雑誌JAMAに、鼻腔にイソジンをかけたらどうかとの論文が載っていました。
既に多くの論文で明らかな様に、新型コロナウイルスの感染は鼻咽頭のACE2受容体に付着して、そこから下咽頭、上気道、下気道と伝播し重症化を引き起こすとの説が有力です。それならば、感染初期の段階で鼻咽頭に付着した新型コロナウイルスを、イソジンで排除したらどうかという趣旨の論文です。


1) 本研究の前に、新型コロナウイルスを細胞培養した76検体を用意しています。
   そのウイルス培養液とポピドンヨードの1.0、1.25、2.5%の溶液を1対1の割合で15秒間、30秒間
   接触しウイルス量を測定しています。
   陽性コントロールとして70%アルコールを用いて、陰性コントロールとして蒸留水を使用しています。




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  【結果】
   ポピドンヨードの1.0%を15秒で、完全にウイルス量は消失しています。
   (ウイルス培養液とポピドンヨードを1対1にしていますので、上の表の実際の濃度は半分になって
    います。)

2) 別の実験で、この濃度でのポピドンヨードの細胞毒性はないとしています。
   また短期的な観察ですが、ヨードの体内への吸収はなかったとしています。

3) マスクの着用と同程度の効果と推測しています。ならば併用すれば倍々の効果と期待されます。
   医療従事者の様にマスクの着脱を頻回にする場合は、ポピドンヨードで1日4回の鼻腔洗浄を勧めて
   います。

4) 鼻腔にポピドンヨードを噴霧すると、鼻粘膜が刺激され鼻粘液が分泌されます。
   そのため1.25%を推奨しています。






私見)
 イソジンのうがいに関しては本院では元来推奨していません。
 濃度が一定しない点と、白血球に対する逆効果などです。
 しかし、新型コロナの濃厚接触者(スマホアプリでの通知も含め)に対しては、保健所もてんてこ舞い
 と推測します。なおさら本院では、濃厚接触者の方への対応はその受容力を超えているため、ご遠慮
 いただいております。

  新型コロナの濃厚接触を心配される場合は、イソジンの10倍希釈の鼻腔噴霧も有効と考えを変えて
  います。
  (イソジンガーグルは7%です。10倍希釈で0.7%。鼻水で薄まっても0.5%とプラスに考えますが?)
 また本論文の中でも指摘していますが、インフルエンザウイルスにも有効との研究があり、今後インフル
 エンザ流行の際の家庭内感染を予防するために鼻腔イソジン噴霧も一つの方法と思われます。
 すべての人に推奨するのは問題ですが、家庭内にインフルエンザ患者がいる場合や新型コロナ濃厚
 接触の方は、積極的に試みてはと考えています。
 イソジンの作り置きは安定しておりますが、使い回しは当然NGです。
 噴霧の器具は本院にお問い合わせください。





1 イソジン 鼻腔 JAMA.pdf

2 イソジンガーグル.pdf

3 ポピドンヨード 文献.pdf







posted by 斎賀一 at 19:38| Comment(0) | 感染症・衛生

2020年09月18日

積極的降圧療法は起立性低血圧を改善する

積極的降圧療法は起立性低血圧を改善する
 
Effects of Intensive Blood Pressure Treatment on Orthostatic Hypotension



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 降圧剤を服用しているが、血圧が安定したので休薬をしたいという患者さんが多くいます。
目標は無理なく120もしくは起立時にふらつかなければ、そのまま服用を継続してくださいとお話しして
いますが、なんと厳格に血圧管理をしたほうが脳循環自動調節能が回復し、起立性低血圧が減少する
との論文がでました。

 500人以上のデータがある論文をメタ解析しています。
論文の内容は、厳格治療(intensive)とプラシーボ又は厳格治療に到達しなかった群を比較しています。
起立性低血圧の判断基準は、めまいなどの症状でなく座位から起立した際の収縮期血圧が20mg以上
の低下か、拡張期血圧が10mg以上の低下としています。


1) 5研究が厳格治療群と未到着群の比較で、4研究が厳格治療群とプラシーボ群の比較です。

2) 結論は、厳格治療群の起立性低血圧の危険率は0.93と低いようです。






私見)
 「降圧剤を服用していてふらつく場合は薬のせいかもしれませんが、きちんと治療したほうがふらつき
  も減少するかもしれません。今は血圧を下げることが大事です。」
  と勇気づけましょう。
  尚、本論文を購入する気が何故か起きず、同じ研究者の論文がありましたので掲載します。







1 Effects of Intensive Blood Pressure Treatment on Orthostatic Hypotension_ A Systematic Review and Individual Participant–based Meta-analysis_ Annals of Internal Medicine_ Vol 0, No 0.pdf


2 降圧剤 起立性低血圧 (2).pdf










posted by 斎賀一 at 19:23| Comment(4) | 循環器

2020年09月17日

 糖尿病治療薬のメトグルコで軽度の貧血

糖尿病治療薬のメトグルコで軽度の貧血
 
Risk of anaemia with metformin use in type 2 diabetes



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 メトグルコは糖尿病の第一選択薬です。
それでも私は少量を旨としていますが、専門家の方や外国ではかなりの量を処方されています。
少し私に味方してくれる文献が出ていますので、ブログしてみます。


1) ランダマイズされたスタディのADOPT研究とUKPDS研究を中心に、メタ解析しています。
   もう一つはreal-world 研究のGoDARTS研究です。

2) ADOPT研究は3,967人を対象にメトグルコ、アクトス、スルフォニール系をそれぞれ単独に処方
   して、6か月、1年、最長5年間経過観察しています。
   UKPDS研究は新規糖尿病患者の1,473人を対象にメトグルコ、インスリン、スルフォニール系で
   3年、6年、9年の経過で比較しています。
   GoDARTS研究では、貧血のない糖尿病患者3,485人を1996年より調査しています。

3) 結果は
   ・ADOPT研究では、スルフォニール系と比較して危険率はメトグルコが 1.93  
    アクトスが 4.18でした。
   ・UKPDS研究は、食事療法と比較して危険率はメトグルコ 3.4 スルフォニール系 0.96 
    インスリン 1.08 でした。
   ・GoDARTS研究では、メトグルコ 1g/day増加に従って、貧血リスクが2%/年 上昇していました。




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3) 考察
   メトグルコを服用していると、ビタミンB12欠乏のみでは説明できない、軽度ながらも貧血を誘発
   しています。
   十分に注意が必要ですが、メトグルコの有益性が勝るので、貧血があるからと言って中断を勧めて
   はいません。







私見)
 そんなわけで、本院でのメトグルコ(250mg)の処方は4錠までで堪忍してください。






1 本論文図.pdf

2 Risk of anaemia with metformin use in type 2 diabetes_ A MASTERMIND study.pdf









posted by 斎賀一 at 12:33| Comment(1) | 糖尿病