新型コロナとインフルエンザの比較・⽶国ワシントンDCの国⽴⼩児病院からの報告
Comparison of Clinical Features of COVID-19
vs Seasonal Influenza A and B in US Children
vs Seasonal Influenza A and B in US Children
当初は新型コロナは成人に比べて小児には感染しにくいし、感染しても重症化は稀とされていました。
しかしデータが乏しく、実際はどうかとの情報はありませんでした。
⽶国ワシントンDCの中心的な国⽴⼩児病院での新型コロナ患児とインフルエンザ患児の後方解析が
雑誌JAMAに載っていましたので、纏めてみました。
なにぶんにも日本の実地医家と背景が異なる点に注意が必要です。
1) ⽶国ワシントンDCの、国⽴⼩児病院の小児科を受診した患児を対象にしています。
新型コロナは2020年3月25日から5月15日までに診断された患児で、インフルエンザは2019年
10月1日から2020年6月6日までに診断された患児です。
新型コロナとインフルエンザの合併例はありませんでしたが、インフルエンザと他の呼吸器感染
ウイルスとの合併は存在しました。
対象となる新型コロナ患児は315名(平均年齢は8.3歳)で、インフルエンザ患児は1402名
(平均年齢は3.9歳)です。
2) 結果は
入院率は新型コロナ患児で17%、インフルエンザ患児は21%
人工呼吸器の使用は新型コロナ患児で3%、インフルエンザ患児は2%でした。
集中治療室使用は新型コロナ患児で6%、インフルエンザ患児は7%です。
新型コロナ患児とインフルエンザ患児の差はありませんでした。
一方で入院時の症状としては、新型コロナ患児対インフルエンザ患児では
発熱が76%対55%、下痢嘔吐は26%対12%、頭痛は11%対3%
関節痛及び筋肉痛は22%対7%、胸痛は11%対3%でした。
明らかに、新型コロナ患児の方が症状は強いようです。
咳と息切れはほぼ同じでした。
新型コロナ患児の方が年長ですが、入院だけを見ますと新型コロナ患児が9.7歳で
インフルエンザ患児は4.2歳でした。
15歳以上での入院は新型コロナ患児で37%に対して、インフルエンザ患児は6%でした。
新型コロナ患児で入院例のほとんどが、基礎疾患を有していました。
3) 考察
インフルエンザは他のウイルスとの合併があり、今シーズンは新型コロナも流行している可能性が
高いです。(circulation)
そのため、インフルエンザワクチンの接種を強く推奨しています。
特に基礎疾患のある患児には注意が必要です。
学校閉鎖などの適切な早期対応も必要となります。
私見)
本論文は、そのまま日本には当てはまらないと思います。
しかし、日本でも新型コロナの第三波の可能性もあります。
小児(小学生以下)にはインフルエンザと新型コロナの同時検査も必要かもしれません。
本論文.pdf