2020年08月22日

フェイスシールドの有効性

フェイスシールドの有効性
 
SARS-CoV-2 Infection Among Community Health Workers
in India Before and After Use of Face Shields

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 インドからの報告です。新型コロナ患者とその家族を誘導し、隔離、管理、モニタリングを行う
ワーカーの感染暴露の調査をしています。
 ワーカーは寮に入り、社会から隔離した状態で任務を追行しています。移動の車にも、運転席とは
完全に隔離した状態です。新型コロナ患者の自宅訪問でも、所謂ディスタンスを取っての対応です。
 
纏めますと

1) 62名のワーカーで、2020年5月1日から始まっています。
   5月16日の時点で、2人のワーカーの感染が認められています。
   残り60名全員のPCR検査での管理が行われました。
   5月20日からは、3層のサージカルマスクにフェイスシールドが追加されています。
   フェイスシールドは一日の業務終わりに、アルコールで完全に消毒しています。

2) 実際にワーカーの勤務が開始された5月3日から5月15日と、フェイスシールドを採用した
   5月20日から6月30日を比較検討しています。

3) フェイスシールド採用前は、62人のワーカーが勤務して31,164名、5,880家庭に対応しています。
   そのうち222名が新型コロナと断定しています。
   この間に12名(19%)のワーカーが感染しています。内訳は、8名が有症状、4名が無症状でした。
   フェイスシールド採用後では、残りのワーカー50名が勤務しています。
   118,428名、18,228家庭を訪問し、2,682名の感染を確認しています。
   この間にワーカーは無症状を含めて、一人も感染者が発生していません。

4) フェイスシールド採用により、目からの感染防御とマスクにおける汚染を防ぐ事が出来ます。
   本研究には限界(limitation)はありますが、live(実際の検証)であり説得力があります。



私見)
  コロナ以後も、本院では職員にマスクとフェイスシールドの着用を進めていきたいと思います。
  せっかくチャーミングな職員が多いのに残念です。







本論文.pdf








posted by 斎賀一 at 13:26| Comment(0) | 感染症・衛生

2020年08月19日

インフルエンザのシーズンを迎えるにあたり

インフルエンザのシーズンを迎えるにあたり

 〜患者さんへのお願い〜



 新型コロナ第2波のさ中ですが、今季のインフルエンザ対応は一段と厳しいものと考えています。
本院職員と知恵を絞って対策を練っています。
本院通院の患者さんにはご迷惑をお掛けしますが、今考えている点を列挙致しますので、事前にご理解の程お願い致します。



1) 予約システムを導入して、なるべく待ち時間の短縮に努める。
   既に斎賀医院ホームページより予約が可能になりましたので、ご利用ください。


2) 感染症対策の一環として、オンライン診療も併せて導入いたしました。
   (下記のPDFをご参照ください。)
   この場合は事前登録が必要になります。尚、予約システムとは連動していませんので、オンライン
   診療での予約は直接電話での対応となります。詳細は本院ホームページに掲示する予定です。


3) 新型コロナが収束していなくても、本院での診療の軸足はインフルエンザとなります。
   そのためインフルエンザの診断・治療に関しても新型コロナを想定しての診療となります。
   診断の際には、インフルエンザも新型コロナも同様の防護体制で行う予定です。
   本院職員のアイデアで、下記の如く検体採取のアイテムを作ってもらいました。
   もしも参考にしたい医療関係者の方がおりましたら、ご遠慮なく本院にご連絡ください。
                                              (看護師・宮原)






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  機材
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私見)
 何はともあれ、インフルエンザの予防接種が肝心です。






オンライン診療の流れ.pdf














posted by 斎賀一 at 19:41| Comment(1) | インフルエンザ

2020年08月18日

新型コロナ時代のインフルエンザ

新型コロナ時代のインフルエンザ

Influenza in the COVID-19 Era
 


20818.PNG
 
 

 我々実地医家が危惧するシーズンが、目の前に迫って来ています。
やがて新型コロナの第二波は、ある程度収束するものと考えています。
しかし、季節性インフルエンザのほうが患者発生は多いと認識していますし、高齢者も小児も重症化の
危険が潜んでいます。どのように診断していくか思案していますが、私の考えの延長線上にある内容の
総説が雑誌JAMAに掲載されていますので、ブログしてみます。


1) インフルエンザの流行を抑制するには、新型コロナと同様にNPIs(薬以外の介入、つまりマスクや
   自粛など)が重要であるが、それらを緩和するとたちどころに新型コロナとインフルエンザが同時に
   流行する危険があります。

2) 今シーズンは、特にインフルエンザの予防接種を勧めることが大事です。
   それでなくても接種率は50%を切っています。

3) 新型コロナとインフルエンザを鑑別するには、ウイルス学的な検査が必須です。
   しかし下記の図表の如くそれぞれに特徴があるので、鑑別診断には有用です。
   インフルエンザでは発症後1週間以内に症状のピークが来ますが、新型コロナでは発症して
   2〜3週間で症状のピークがあり、しかも長引きます。

4) 今シーズンは特にインフルエンザの場合も隔離して、学校や職場の復帰については今まで以上に
   注意が必要となります。

5) 最低限に新型コロナの検査が必要となります。しかも新型コロナとインフルエンザの合併も想定
   されます。
   しかし現段階では同時に検査をすべきか、どちらを先に選択するかのガイドラインはありません。
   地域やコストの関係もあります。

6) 最後に著者は大事な点を「flexibleを保つことだ。」としています。




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私見)
 本院でのストラテジーを皆で作りましょう。
 時間はあまりありません。







本論文 jama_インフルエンザ.pdf










posted by 斎賀一 at 19:01| Comment(0) | 感染症・衛生