2020年08月26日

ピロリ菌の検査方法

ピロリ菌の検査方法
 
Serology Is More Sensitive Than Urea Breath Test or Stool Antigen
For the Initial Diagnosis of Helicobacter pylori Gastritis
When Compared With Histopathology



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               (ネットでピロリ菌を調べていたらこんな写真がありました。
                 なんで? と僕は聞きたいです。)



 現在、ピロリ菌の検査は ・尿素呼気試験 ・便中H. pylori抗原検査・血中H.pylori IgG抗体検査
の3方法があります。
比較検討した論文がアメリカの雑誌Am J Clin Patholに掲載されていますが、全文を紹介したネットmedscapeで見られますのでブログで紹介します。



1) 12年間の2,560症例を調べています。
   感度は血中H.pylori IgG抗体検査が一番高く、0.94です。 (見逃しは6%です。)
   尿素呼気試験は0.64   便中H. pylori抗原検査は0.61でした。
   特異度は血中H.pylori IgG抗体検査が一番低い傾向でした。 (過剰診断が多い)



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2) 検査の手順が下記に示されています。
   本論文の趣旨は、第一選択は血中H.pylori IgG抗体検査とのことです。



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私見)
  概ね本院と同じです。
  治療後の検査では、一般的に便中H. pylori抗原検査を行いますが、感度が低い点に注意が
  必要です。
  また、治療によりPPIを処方されている場合も便中H. pylori抗原検査の精度が低下します。







ピロリ菌.pdf







  

posted by 斎賀一 at 19:50| Comment(0) | 消化器・PPI

原子物理学者・荒勝文策

原子物理学者・荒勝文策
 
コロナ時代に添えて
  


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 NHKスペシャルで、戦時中の国策に翻弄された原子物理学者、荒勝文策氏の番組がありました。
人は言葉といいますが、感銘を受けた文言がありましたのでブログにしまっておきます。


・「今は暗い研究室の中だが、これを探求しているとやがて真理が読み解かれて、その先に明るい光が見えてくると信じていました。」


 やはりNHKスペシャルの「エボラからの生還」で医療関係者がエボラと戦う中で、皆が成長していくのを経験した指導者の言葉を思い出します。
「誰かの人生に変化をもたらす事こそ最大の奇跡だと思います。人生に意義を与える事が、僕らの存在理由だからです。」

・荒勝の晩年は書道とランの栽培が趣味でした。
 一番好んで書いたのが「行得一」でした。何かを行えばささやかながら一つのものが得られると、謙虚な内容だと私は理解しました。

 今回のコロナで、職員の皆が影になり日向になりそれぞれが頑張っています。
公的機関からもそれなりのお金が医療従事者に支給されます。
私の妻が、本院からもそれなりに別途支給したらとの提案がありました。
その時私は、はっと気づいたのです。
荒勝の掛軸の字は、行と得が見分けがつかないくらいの崩し字でした。
まるで行と得は同一のものだと言っているかのようです。行動することがすなわち自分にとって知らず知らずのうちに何かを得ている。ましてや何かをして一万円を得るなんて解釈は、遠い彼方の話なのです。



そんなわけで職員の皆さん、本当にご苦労さん。








posted by 斎賀一 at 19:12| Comment(1) | 日記

2020年08月24日

インフルエンザの迅速診断は家庭でも可能

インフルエンザの迅速診断は家庭でも可能
A Prospective, Multicenter Study to Evaluate the Performance
of a Novel Home Diagnostic Kit for Detection of Influenza A and B


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 新型コロナの時代に新たな挑戦が始まりそうです。
 インフルエンザの迅速診断キットを家庭で行っても、安全で、その精度は落ちないとの報告が
外国の学会で発表になりました。

纏めますと

1) 迅速診断はGSK社のキットを使用しています。
   2018年12月から2019年4月までのインフルエンザ様疾患患者1,012人を対象にしています。
   年齢は2歳以上です。
   家庭での鼻咽頭スワブ採取の迅速診断と、医療関係者による鼻咽頭スワブ採取によるPCR検査を
   含めた3方法
  (nucleic acid amplification testing, shell viral culture anda RT-PCR)を
   consensusとして比べています。

2) 家庭での迅速診断では、インフルエンザAの場合は陽性確率が87.7%で、陰性確立は
   98.0%でした。インフルエンザBは流行が少なかったため追加調査をしていますが、
   その結果は陽性確率が86.3%でした。

3) 安全性にも問題はなく、迅速診断を家庭で実施すれば、より治療も早期に開始できるとしています。


私見)
  本論文の迅速診断と日本にあるキットが同じかは分かりませんが、現在は精度が高い機種もあり、
  鼻汁でも診断が可能です。今後、検討して本院でも家庭での迅速診断採用は対象者を絞り勧める
  計画です。ネットでの意見も下記に紹介します。
  今シーズンは選択肢を多くして臨みたいと思います。






本論文.pdf

ネットより.pdf










posted by 斎賀一 at 13:52| Comment(0) | インフルエンザ