2020年08月31日

潰瘍性大腸炎の治療戦略

潰瘍性大腸炎の治療戦略
 
Ulcerative Colitis in Adults
  


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 雑誌JAMAに、現時点での潰瘍性大腸炎の治療戦略の総説が載っていました。
重症度判定は患者さんの訴え、内視鏡所見、血液検査(最近では新たな方法も提示されていますが、
保険適用が未だにありません。)、臨床経過などで総合的に行われます。
多くのガイドラインは治療戦略の争点をリストに載せていますが、どのように判断すべきかは明瞭には
提示していないそうです。


1) 寛解を誘導する基本は経口ステロイドです。しかしこれはできるだけ短期を目指すべきです。
   ガイドラインでは、寛解の維持のために経口ステロイドを使用することには反対しています。

2) ステロイドの効果がない場合は急遽、インフリキシマブ、シクロスポリン、外科手術を考慮すべき
   としています。

3) 中等〜重症例では抗TNF療法が選択されます。
   この場合も従来の治療は併用します。

   「今日の臨床サポート」より抜粋しますと
   重症例やステロイド抵抗例では、以下の治療法の適応となる。

   ◦ ステロイド⼤量静注療法:
   ◦ ⾎球成分除去療法:
   ◦ シクロスポリン静注(保険適⽤外):
   ◦ タクロリムス経⼝:
   ◦ 抗TNFα抗体製剤であるIFX静注またはADA⽪下注

   これらの選択肢のうち、1つで効果が不⼗分な場合、安易に次々と別の治療を試すことは慎重で
   あるべきで、常に外科治療を念頭に置き、⼿術の機会を逸することのないようにする。

   ・上記のいずれかが優れているというエビデンスデータはまだ少なく、IFXとシクロスポリンは同等
    ともされている。通常は中等症で⾎球成分除去療法、中等症〜中等症よりの重症でIFX/ADA、
    中等症〜重症でタクロリムス、重症でシクロスポリンを⽤いるが、保険適⽤の問題や、⾎中トラフ
    濃度の測定など、施設側の問題に左右されるのが実情と考えられる。
   ・重症の場合、早急な治療導⼊が必要であるが、IFX/ADAは結核の除外の判断を待つ必要が
    あるため、あらかじめ結核感染の検査を⾏っておくとよい。





私見)
 潰瘍性大腸炎はなかなか手強い疾患のため、治癒とか再発という言葉を用いません。
 寛解と再燃と表現します。
 新しい治療薬については、以前の私のブログをご参照ください。
 「今日の臨床サポート」より図譜を拝借しましたので、併せてご参照ください。


 安倍さんが辞任します。残念ながら今回のコロナ対策にはやや疑問点を持ちます。
 報道機関では功罪相半ばするとの評価です。
 しかし評価をリストに挙げれば当然半々になってしまいます。これはステレオタイプの判断ではない
 でしょうか。 潰瘍性大腸炎はいろいろな原因で再燃と増悪を繰り返します。
 サイトメガロウイルスが注目されています。しかし、圧倒的に精神的ストレスも重要な増悪因子です。
 一介の国民として、安倍首相にはご苦労さんと労いたいと思います。
 その日が来たら私も妻にご苦労さんと言われるように、これを機にabeさんを見習って、妻を叱るよう
 なことをやめたいものです。






21 本論文 潰瘍性大腸炎.pdf

22 潰瘍性大腸炎 今日から.pdf

ブログ 1.pdf

ブログ2.pdf

ブログ3.pdf

ブログ4.pdf

ブログ5.pdf











posted by 斎賀一 at 21:13| Comment(0) | 消化器・PPI

蜂蜜の効用

蜂蜜の効用
 
Effectiveness of honey for symptomatic relief in upper respiratory
tract infections: a systematic review and meta-analysis



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 以前より、咳には蜂蜜が有効で小児(一歳以上)でも一般的な咳止めより副作用がないので、積極的に推奨するようにとの論文が散見されています。
 今回はコロナ時代に沿った論文でしょうか、原文を読んでいないのでハッキリとはコメントできませんが、この際に拡大解釈してみたいと思います。


本論文を纏めますと

1) 14の研究をまとめています。
   蜂蜜とプラシーボまたは一般的な薬剤(咳止め、抗生剤等)を比較しています。

2) 3つに2つの研究では、全体的な症状に関しても蜂蜜のほうがプラシーボより効果がありました。

3) 一般的な治療薬と比較しても咳の重症度、頻度、全体的な呼吸器を含めた症状の緩和に、蜂蜜は
   効果的でした。

4) 個々の治療薬(抗ヒスタミン薬、ステロイド薬)と比較しても、蜂蜜の方が勝っていました。

5) 結論として、呼吸器感染症において抗生剤を投与するよりも蜂蜜を勧めるべきと論者は述べて
   います。






私見)
 かなり前の論文にも蜂蜜の抗酸化作用等の薬効が載っていましたので下記に掲載します。
 朝食は小さめのパンをオリーブオイルで食べて、食パンはブレッドアンドバターにたっぷりと蜂蜜を
 塗っています。
 何はともあれ、蜂蜜を食べてコロナに立ち向かいましょう。








11 本論文 蜂蜜h.pdf

12 Effect-of-Honey-on-Nocturnal-Cough-and-Sleep-Quality-A-Double-blind-Randomized-Placebo-Controlled-Study1.pdf










posted by 斎賀一 at 20:08| Comment(0) | 小児科

2020年08月28日

離乳食のガイドラインの運用について

離乳食のガイドラインの運用について
 
Recommendations on Complementary Food
Introduction Among Pediatric Practitioners
 


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 アメリカの離乳食のガイドラインも、学会により見解が若干異なります。
そのために小児科の開業医においても、指導する際に齟齬が生じています。
簡単に本論文の趣旨を纏めてみます。



1) 離乳食の開始月例は、完全母乳とそうでない場合とで若干の違いはありますが、概ね4~6か月に
   実施している。

2) 疑われるアレルギー食品の早期介入がその後のアトピーや喘息の誘因を防いでいるとの認識は、
   多くの実地医家の間でも認識されている。

3) しかしアレルギー体質が疑われていない場合でも、離乳食を開始するにあたり一品目当たり
   3〜4日の間隔を空ける小児科医が多い。
   ピーナッツに関しても早期の介入が絶対に必要なので、そのような間隔を空けていてはピーナッツの
   開始が遅れてしまう。

4) アレルギー体質の乳児でない限り、離乳食の開始により不都合なアレルギー反応が起こることは
   極めて稀であるので、複数の離乳食開始を促すことが大事である。






私見)
 日本でも新たなガイドラインが出ています。以前のブログを参照してください。
 また纏めた総説が雑誌小児科に掲載されていますので、下記に拝借いたします。
 本院の取り組みに関しても下記のPDFをご参照ください。
 結論的には、アレルギーを起こす可能性の食品は卵、大豆、小麦、牛乳、そば、ピーナッツです。
 これらを最初に与えるときは、間隔を3日間空けるように指導します。
 その他の食品に関しては、アレルギー体質のない乳幼児の場合は間隔を空けなくてもよいと考え
 早期介入を指導します。







本論文.pdf

卵アレルギーは微量のゆで卵で防ぐ.pdf

離乳食.pdf

離乳食 (2).pdf

離乳食の進め方をアレルギー発症予防から考える.pdf

離乳食前にアレルギー検査って必要なの?〔小児科に行く前に〕 - MEDLEYニュース.pdf











posted by 斎賀一 at 20:13| Comment(0) | 小児科