2020年07月03日

新型コロナとパルオキシメーター

新型コロナとパルオキシメーター

Novel use of home pulse oximetry monitoring in COVID-19
patients discharged from the emergency department
identifies need for hospitalization

 


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 パルオキシメーター(SpO2)は血中の酸素分圧(PaO2)と相関があり、SpO2が92以下ではPaO2が60mmHgと言われています。(感度95%、特異度90%)
 今回のカットオフ値は、パルオキシメーターが92として呼吸不全の低酸素としています。
以前の私のブログでも紹介しましたが、新型コロナの急な呼吸不全であるARDSはDAD、ヒアリン膜(hyaline membrane)が強く関与しています。しかもその病状は急激な進展を呈します。
 新型コロナにおいては時間単位での急変が想定されています。

今回、新型コロナ患者の自宅での8時間ごと(1日3回)のパルオキシメーターの管理を推奨している論文がありました。


纏めますと

1)図を見ながら説明します。
  


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 新型コロナの疑いで209名が登録し、その中で77名が診断を確立しています。平均年齢は44歳です。
パルオキシメーターを渡し、SpO2が92以下か診察を希望の場合に救急外来を受診するように指導しています。
 新型コロナ患者の19名(25%)においてSpO2が92以下となり16名(84%)が再受診しています。


2)

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           SpO2が92以下ではICUの入院リスクが高い事が分かります。


3) 
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           時間の経過とともに入院症例ではSpO2が低下します。
           一方で当然ながら入院しない人ではSpO2は安定的に一定です。




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4) 結論
   外来から入院した人の約半数は、特に最初は呼吸不全の症状もなく(silent)自宅待機の中に
   SpO2が92以下に低下していました。
   本研究は小規模ですが、非侵襲的なパルオキシメーターは有効な手段としています。




私見) 
 本院でも数台のパルオキシメーターを貸し出す体制を整えていましたが、運よくそのような患者さんが
 発生する前に一台紛失してしまいました。
 また、使用方法について皆さんと決めましょう。




コロナパルス.pdf








posted by 斎賀一 at 18:44| Comment(0) | 感染症・衛生