大腸ファイバー検査の適正な間隔は?
Long-Term Colorectal Cancer Incidence and Mortality
After a Single Negative Screening Colonoscopy
After a Single Negative Screening Colonoscopy
ポリープ切除後の大腸ファイバー再検の期間については、以前の私のブログでも紹介しましたが、
概ねNEJMの論文を参考に患者さんには説明しています(下記のPDFを参照)。
しかし、便潜血検査で陽性後に大腸ファイバー検査を行い、異常が無い場合には、どの間隔で再検査を
実施すべきかの具体的エビデンスがありませんでした。
概ねガイドラインでは10年後としていますが、本院では大事を取って5年後と指導しています。
これは諸々の事情です。
今回、annals of internal medicineから酸いも甘いも知った論文が出ていますので、患者さんも
臨床家も注意して読みたいと思います。
結論だけを纏めてみます。
1) 先ず、大腸ファイバー検査の質が高い(high-quality)か、低い(low-quality)かを
定めています。
high-qualityとは以下の3条件が全てクリアーした場合です。
・空腸末端まで観察できている。
・前処置が完全で大腸の観察が十分である。
・術者の能力は平均でポリープ発見率が20%以上である事。
2) 対象者は50~66歳で大腸がんのリスクは平均的な人です。最初の大腸ファイバー検査で陰性
(腫瘍性病変のない、つまりポリープも見つからなかった)の人です。
165,887名を17.4年まで経過観察しています。
3) 結果
結腸及び直腸の腫瘍(CRC)の発生は、0.28でCRC関連死亡は0.19で、
一般的な住民(population)と比較しますと、それぞれ72%と81%の減少でした。
しかし、high-qualityではlow-qualityと比較しますと、2倍も低下しています。
結局high-qualityでは、low-qualityと比べると、その危険率は0.55でした。
4) 結論として、
high-qualityの大腸ファイバー検査では、17.4年間の経過観察しても
結腸及び直腸の腫瘍(CRC)の発生を抑制出来ていました。
私見)
質の高い検査なら、10年とは言わず15年以上も賞味期間がありそうです。
さて、お前はどうなんだとのご質問が聞こえてきます。
酸いも甘いも知り尽くしていない小心者の私としては、日々努力は覚悟の上ですが、従来通り5年間の
賞味期限とさせて頂きます。
1 本論文.pdf
2 大腸ファイバーの間隔.pdf
3 大腸癌検診 ケアネット.pdf