2020年07月29日

新型コロナの家庭内感染・韓国からの報告

新型コロナの家庭内感染・韓国からの報告
 
Contact Tracing during Coronavirus Disease Outbreak, South Korea, 2020



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 韓国で2020年1月20日から3月27日にかけて、新型コロナ患者を対象にした調査を行いました。


纏めますと

1) 新型コロナ患者(index patient)5,706人に対して一回でも接触をした人59,073人を対象に、
   聞き取り調査を行っています。
   家庭内群(household)とは、新型コロナ患者以外の家庭の一人に聞き取りを行っています。
   高リスク(家庭内接触、医療従事者)は定期的にPCR検査を実施し、低リスクは症状のある人だけを
   対象にPCR検査を行っています。
   家庭内群とは新型コロナ患者と同居している場合で、非家庭内群とは新型コロナ患者と同じ住居に
   生活していない人を定義しました。
   (韓国方式ですので、徹底した正確なデータだと思われます。論文ではプライベートを重視したと
    述べていますが。)

2) 発生率は、(新型コロナの診断確定数 ÷ 追跡した接触者)×100 です。




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   家庭内群のindex patientは20~29歳が一番多く3.417名で32.3%です。
   10~19歳は18.6%です。全体で陽性率は11.8%でした。
   非家庭内群では陽性率が全体で1.9%です。

3) 結論
   家庭内群の伝搬は成人よりも子供に多い結果です。しかも学校閉鎖の状態での結果です。
   非家庭内群が家庭内群より少ないのは、社会ではディスタンスを守り、家族がステイホームを守って
   いたためかもしれません。一方で家庭内群での伝搬は急でした。
   家庭内群でも学童の方が0~9歳より発生頻度が多いのは、学校閉鎖でも学童は家庭外での活動が
   活発なためと推定しています。
   学校が再開し社会が自粛を緩和するに従って発生頻度の推移を注意深く観察しなくてはなりません。
   Index patientが10~19歳の場合は、家庭内群での伝搬が高いことに注目しなければなりません。






私見)
 本日のニュースでは、日本でも今回の第二波は家庭内感染が多くなっているようです。
 インフルエンザの様相を呈してきています。若い人から高齢者の伝搬が心配されます。新型コロナが土着性を獲得し始めているかのようです。弱毒性を期待するのみです。





新型コロナ 本論文.pdf








posted by 斎賀一 at 12:55| Comment(0) | 感染症・衛生

2020年07月27日

新型コロナの重症化の予測ツール

新型コロナの重症化の予測ツール
 
<短 報>  
Development of a Clinical Decision Support System for Severity
Risk Prediction and Triage of COVID-19 Patients at Hospital Admission
: an International Multicenter Study





 新型コロナ患者を診断したときに、初期において重症化を予測できないかを試みた論文が出ています。
ネットでできるツールがありましたので掲載します。






https://covid19risk.ai/model-mu4/


予測 本論文.pdf













posted by 斎賀一 at 18:23| Comment(0) | 感染症・衛生

2020年07月25日

5歳以下の小児の情操教育にペットは有効

5歳以下の小児の情操教育にペットは有効
 
The relationship between dog ownership, dog play, family dog
walking, and pre-schooler social–emotional development:
findings from the PLAYCE observational study


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                                           by  ayako


 以前より子供の情操教育に動物を飼うことは有効と思われていました。今回の論文ではそれを
科学的に解析し、しかも5歳以下を対象にしています。

纏めますと

 1) ペットを犬に限定していますが、犬の種類は定めてはいません。
    対象は5歳以下の1,646名(平均:3歳)

 2) 77%が週に数回、犬と遊んでいました。
    53%が少なくとも週に1回は犬と散歩をしていました。

 3) 神経精神学上の観点から、行動異常、仲間とのコミュニケーション、社会生活の準備などを
    チェックしています。

 4) 結論
    筆者は仮説として、2~5歳の発達障害のある入学前児童にとって、犬との一緒の遊びや散歩は
    その後の精神的発達に、改善が期待されるとしています。
    5歳以下の小児は、学校に通学しないのでより多くの時間をペットと過ごすことができます。
    特に週1回以上の犬との散歩は一層の効果を認めています。



私見)

 私も子供の頃に犬と猫を飼っていました。犬はペットというよりは番犬でした。
 残飯をやるのが私の勤めでしたが、ある時、餌をお皿に近づけようとして吠えられてからは、
 遠巻きにしか餌を与えませんでした。
 猫はゴロゴロいいながら、いつも私のそばにいてくれていました。
 なので私は猫派です。
 そんな訳で、 血統書付きの職員の皆さんの気持ちを理解できずごめんなさい・・・。







ペット 小児.pdf






posted by 斎賀一 at 13:31| Comment(1) | 小児科