2020年06月04日

新型コロナと川崎病

新型コロナと川崎病

An outbreak of severe Kawasaki-like disease at the Italian
epicentre of the SARS-CoV-2 epidemic



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 イタリアからの報告です。既に報道で周知の事と思いますが、原文を読んでみました。
又以前のブログでも、medpageの総説を載せましたが、再度下記に掲載します。

新型コロナは主に呼吸器系を侵しますが、自然免疫系を介してサイトカイン・ストームを起こし、
色々な組織をも巻き込みます。一方で、川崎病もウイルス感染に誘導され、中等度から細血管に
血管炎を起こす疾患です。主に小児が罹患し、比較的予後が良好です。
しかし、時には循環障害を併発するKDSS(Kawasaki disease shock syndrome)や、
血液のマクロファージの活性を起こMAS(macrophage Activation syndrome)といった重症例も
あります。
この場合は、炎症によるカスケードが考えられています。


論文を纏めますと、


 1) イタリアにおける以前の川崎病の統計と、今回の新型コロナの流行期での川崎病
    (正確には川崎病様と記載しています)を比較検討しました。

     グループ1は、2015年1月〜2020年2月までの川崎病です。
       19例(男児が7例、女児が12例。平均年齢3歳)

     グループ2は、2020年の2月17日から4月20日の新型コロナ流行期です。
       10例(男児が7例、女児が3例。平均年齢が7.5歳)
       PCR検査で陽性、8/10例がIgMかIgGが陽性でした。

 2) 結果

     ◌ 発生頻度    グループ1が0.3例/月、グループ2は10例/月
     ◌ 平均年齢    グループ1が3.0歳、グループ2は7.5歳
     ◌ 心疾患の合併  グループ1が2/19例、グループ2は6/10例
     ◌ KDSS      グループ1が0/19例、グループ2は5/10例
     ◌ MAS       グループ1が0/19例、グループ2は5/10例
     
     この新型コロナ流行時で川崎病は30倍の頻度でした。


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 3) 考察
   
     日本人の小児科医・川崎氏が、川崎病を発表して半世紀が過ぎていますが、未だその原因は
     分かっていません。色々な感染症が誘因となって、免疫系統の異常が本質と推測されて
     いますが、ウイルスの同定までには至っていません。
     過去の20年間で、風邪コロナウイルスも想定されていますが、反対意見もあり、賛否両論です。
     しかし、最近日本での報告によりますと、風邪コロナウイルスのHCoV-NL63と、HCoV-229Eの
     2種類を調べた結果では、HCoV-229Eが川崎病と関係がありそうとの事です。
     この事から、新型コロナウイルスの毒性を考えますと、川崎病との関係も推測してしまいます。


     新型コロナ関連の川崎病は、呼吸器症状ばかりでなく、消化器症状、髄膜炎、心血管疾患と
     スペクトルが広いようです。検査では、リンパ球減少、血小板減少、フェリチンの増加を
     認めています。
     更に、MASとKDSSの重症例も報告されています。
     治療に関しては、グロブリン療法は効果が無く、ステロイドが有効でした。




私見)
 小児の発熱疾患では常に川崎病が鑑別疾患です。今後新型コロナと共存の時代となりますと、
一層の注意が必要となります。
 開業医レベルでの新型コロナの診断を強く要望します。


本論文より.pdf

medpageより.pdf







posted by 斎賀一 at 13:39| Comment(0) | 感染症・衛生