2020年06月30日

7月を迎えるにあたり・なお一層のレベルアップ

7月を迎えるにあたり・なお一層のレベルアップ
    <院内報告>



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 新しく看護師Kさんが、7月から本院に加わります。
今まで以上に患者さんに応えられるよう、十分な体制を構築してまいります。

 人生振り返りますと、もう少し大人になっていればもっとうまく立ち振る舞えたのではと後悔します。
しかし、所詮人間は変われないので、人生をやり直しても同じ結果になっているような気がします。


 若い頃、ある女性にプロポーズの手紙を投函しようとポストに向かいました。
ポストの手前の信号を遥か見て、一瞬立ち止まってしまいました。もしあの信号が青なら、そのまま
渡って投函しようと心に決め歩き始めました。残念ながら信号を渡る手前で赤に変わって、立ち止まって
しまいました。当然相手の女性は、優柔不断の私に三下り半を突き付けてきました。
それ以来、私の人生の節目は、信号機と高島易断と、最後には自分の勘が頼りです。


 看護師のKさんを採用しようとした時はコロナ前でした。
公的病院に勤務していたKさんに声を掛け、快く承諾してくれました。
今回のコロナ・ダメージで多くの医療機関は大変な状況です。Kさんも転職するにあたり、大丈夫かと
悩んだものと推測します。
 今までにもいろいろな事情で本院を去って行った職員がいます。
しかし振り返ってみますと、現在勤務し頑張っている職員も皆、勘で本院を選んで、嫌なことがあっても
勘で勤め続けてくれています。

 私は以前より思うのです。進も退くも自分の勘が頼りだと。
自分の勘だけで今の女房と結婚して満足しています。
職員の皆さんに「勘が間違っていた」と言われないように、医院長として頑張りたいと思います。


 そんな訳で、Kさんには大変不本意ながら3密を避ける意味もあり、歓迎会は中止とさせて頂きます。
忘年会の時に歓迎会を併せて開催いたします。









posted by 斎賀一 at 18:36| Comment(3) | その他

2020年06月29日

痛風のガイドライン・2020年版

痛風のガイドライン・2020年版
 
2020 American College of Rheumatology Guideline
for the Management of Gout



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 アメリカの学会ACRより、本年度の痛風のガイドラインが発表になっています。
簡単に要点だけを纏めてみました。

1) 尿酸降下薬の導入は痛風結節がある事、レントゲンにて痛風に関与する関節の破壊像の存在、
   1年間に2回以上の痛風発作がある事
   1年間で1回程度の発作でも、最近発作が起きた場合には尿酸降下薬を導入する場合もある。
   エビデンスとしては、フェブリクを服用すると発作を41%から30%に減少できる。

   発作が1回だけの場合は、下記の条件で尿酸降下薬を導入する。

   ・中等度以上の慢性腎臓病(CKD)  ・尿酸値が9mg/dl以上   ・尿路結石

   痛風発作の症状がない高尿酸血症の人にも、条件付きで尿酸降下薬を導入する場合がある。
   エビデンスとしては、尿酸値が9mg/dl以上の人は5年以内に稀に20%の人が痛風発作を起こす。
   よって慢性腎臓病、尿管結石、心血管疾患のある場合でも尿酸降下薬の導入を、積極的には推奨
   していない。

2) ザイロリックとフェブリックをステージ3の慢性腎臓病(CKD)に推奨
   その場合、ザイロリックは100mg/日以下から、フェブリックは40mg/日以下から漸増すべきで
   ある。

3) 予防として、コルヒチン、鎮痛薬(NSAIDs)、経口ステロイドを併用する事を推奨する。
   尿酸降下薬を導入したら、3~6カ月間は併用の継続を勧めている。
   特に中止後に発作が起こる場合は継続が必要

4) 発作の期間中に尿酸降下薬を導入する事は構わない。
   発作が終息してからと言われていたが、尿酸降下薬を開始する方が利点が多い。

5) 尿酸値の治療目標は6mg/dl
   尿酸降下薬の服用を永続的に継続する事もある。
   尿酸降下薬を中止したとして、5年間で尿酸値が7以下で、発作が無い場合は僅か13%であった。

6) ザイロリック
   尿酸降下薬の第一選択薬である。アジア系の人にはアレルギー反応が多いようだ。
   本来は事前にHLA-B*5801の検査を推奨している。
   100mg/日以下より導入し、漸増していく。

7) フェブリック
   ザイロリックの代替薬である。
   アメリカのFDAより心血管疾患のある人に対して、一時警告が発せられた。
   現在では統計的問題であると言われているが、処方する場合は患者とのコンサルトが必要となる。

8) ユリノームなどの尿酸排出薬
   一日の尿酸の排出検査が必要となる。
   尿のアルカリ化薬の併用も大事

9) 痛風発作の治療
   ・コルヒチンは、低用量と高用量では効果が同じである。
    勿論高用量の方が副作用が多い。
   ・患部のアイシングは効果的
   ・経口ステロイドも有効
   ・点滴、局注も代替可

10) ライフスタイル
   ・節酒は時に効果がある。
    ビールを飲むと尿酸値が0.16mg/dl上昇する。
    しかし、アルコールを飲み過ぎると24時間以内に痛風発作が40%増加するとのデータもある。
     (40%起こるのでなく、増加率の問題)
   ・プリン体の摂取制限も時には効果がある。
    良く知られている事だが、量が問題で一般的に効果は左程ではない。
   ・フルクトース(甘味のドリンクなど)は制限したほうが良い。
    フルクトースを1gr/体重kgを摂取すると、尿酸値が2時間以内に1~2mg/dl上昇する。
   ・果物の食べ過ぎに注意する。
   ・ダイエットも必要かもしれない。
   ・ビタミンCの摂取は良い。

11) 基礎疾患として併用薬がある場合
   ・降圧利尿薬は避けた方が良い。
   ・ARBはニューロタンが選択薬であるが、降圧効果を優先すべきである。
   ・少量アスピリンは場合により中止も選択肢とする。しかし基礎疾患が大事
   ・脂質異常症ではスタチンよりフィブラート系が良い。しかしスタチンの方が利点が多く、
    必ずしも推奨はしていない。

   以上の項目は、繰り返しますが利点がある場合のみでかなり限定的です。基礎疾患の治療が当然
   優先になります。






私見)
 以前の私のブログもご参照ください。
 実地医療に則したガイドラインです。





痛風.pdf










posted by 斎賀一 at 19:54| Comment(0) | 整形外科・痛風・高尿酸血症

2020年06月26日

高齢者における降圧剤の減薬

高齢者における降圧剤の減薬
 
Effect of Antihypertensive Medication Reduction vs Usual Care on Short-term
Blood Pressure Control in Patients With Hypertension Aged 80 Years and Older 
The OPTIMISE Randomized Clinical Trial



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 以前に私のブログでも紹介しましたSPRINT研究は、厳格治療を推奨しています。
目標は120以下を設定していますが、その後の論文でも反対意見が散見されます。下記の私のブログ
からのPDFをご参照ください。
 今回は雑誌JAMAより80歳以上の高齢者を対象に、降圧薬の減薬をデザインした研究が発表になり
ました。
SPRINT研究では80歳以上の高齢者は1/3にも満たしていませんでした。


纏めますと

1) 対象者は80歳以上、血圧が150以下に安定していて、降圧薬を少なくとも2剤以上服用している
   患者です。



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   除外はこの1年間に左心不全、心筋梗塞、脳卒中の既往のある人、2次高血圧、本研究を理解
   できない人です。

2) 69のプライマリケアが参加しています。
   降圧薬を1剤以上減薬した群282名と、通常のコントロール群の287名に振り分けています。
   平均年齢は84.8歳です。
   主要転帰は12週間後(3か月後)の血圧が150以下になっているかです。
   2次転帰は降圧薬の減薬が継続されているか、フレイル、QOL、副反応、重大な事例の発生です。
   Per protocol解析を行っています。その結果、減薬群は185名でコントロール群が269名となって
   います。
   減薬が維持できたのは187名の66.3%です。





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3) 結果は12週間後の血圧は減薬群の方がコントロール群に比較して3.4mmHg高めでした。




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  重大なイベント(事例)は減薬群で12例(4.3%)に対してコントロール群では7例(2.4%)でした。


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4) 結論として、高齢者に対して降圧薬を1剤減らす事は12週の時点では非劣性でした。

5) 考察
   実地医家が中心の研究のため降圧剤の更なる減薬に関しては、プロトコールから逸脱するため
   躊躇したようです。
   本研究の降圧剤の減薬はマイルドでした。
   本研究がステップアップして更なる減薬に繋がる事を筆者は期待しています。




 私見)
  日本でのガイドラインは基本的に少量多剤併用です。
  最近では降圧剤も合剤が多くなっています。減薬する時にはやや不便です。
  その点を考慮しつつ果敢に減薬、減量してまいります。
  まさか高齢者の長期効果の判定は出来ないと切り捨てるのではない事を祈ります。







JAMA.pdf

高齢者にも血圧を120以下に_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf

高血圧のガイドライン : AHAより_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf

降圧目標は120以下か?_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf

厳格降圧療法;SPRINT研究の再考_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf

65歳以上の血圧治療について_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf













posted by 斎賀一 at 19:39| Comment(0) | 循環器