2020年05月11日

新型コロナの診断方法

新型コロナの診断方法
 
Interpreting Diagnostic Tests for SARS-CoV-2



20511-2.PNG

        

 雑誌JAMAに新型コロナの診断方法について載っていました。
有難い事に、診断方法は日々進化しています。
日本の科学者も世界に負けじと頑張っています。
(やはり日本は科学、化学は一流です。)
現在はPCR法と抗体検査(IgMとIgG)です。更に近々抗原法も認可されそうです。


纏めますと

1) PCR検査は一番信頼が高い。
   鼻咽頭スワブが基本であるが、最近では唾液を含む上気道の検体も有効である。(別ブログで紹介)
   RNA遺伝子の標的は、ウイルスの構造物であるエンベロープ(env)、ヌクレオキャプシド(N)、
   スパイク(S)、RNA依存RNAポリメラーゼ(RdRp)、ORF1遺伝子の1つ以上を標的とする試験です
   が、さまざまなメーカーによって作られています。どのメーカーの精度もほぼ同等との事です。
   また一般的な風邪ウイルスのコロナとは、交叉反応はないとしています。
   症状の発現の1日目で陽性となります。PCRの複製サイクル(増加サイクル)によってウイルス量が
   表記されますので、数値の低い方がウイルスが多い事になり、40未満が陽性と判定されます。
   この陽性は第3週までに低下し始め、その後検出不能になります。
   しかし、重症の入院患者で得られたCt値(複製サイクル)は軽度の症例のCt値よりも低く、
   (つまりウイルス量が多く)3週間以上持続することがあります。
   また、PCR結果はウイルスRNAの検出のみを反映し、必ずしも生きているウイルスの存在を示す
   ものではありません。
   いくつかのケースでは、ウイルスRNAは最初の陽性試験の後、第6週を超えても陽性と検出されま
   した。
   また、24時間経過して2回連続で陰性だったPCR試験を行った後に、陽性と報告された症例も数例
   あります。これが果たしてテストのエラー、再感染、または再活性化であるかどうかは不明です。
   ただ9人の患者の研究でウイルスの培養を試みましたが、病気発症後8日目を超えての培養には
   成功していません。つまりPCRが陽性でも8日が過ぎていると、生きたウイルスは存在しない
   可能性が高いようです。
   この事から、アメリカのCDCのガイドラインでは解熱と呼吸症状の改善(咳、息切れ)があれば、
   回復から少なくとも3日(72時間)が経過した場合、医療従事者は職場に戻ることができるとして
   います。又は症状が最初に現れてから少なくとも10日が経過して、且つ症状が改善していれば職場
   復帰を認めています。
   PCRの特異度はほぼ100%との事です。つまり偽陽性は無いと言う事です。

2) IgMとIgGを併せた総抗体のレベルは、症状発症の第2週から増加し始めます。
   IgMとIgG は症状発症後4日目にも陽性であることが分かりましたが、病気の第2週と第3週では
   高いレベルが発生します。
   第3週と第4週の間に増加し、その後IgMは減少し始め、第5週までに低下し、第7週までには
   ほぼ消失するが、IgGは7週間を超えて持続します。
   最初の5.5日間、PCRはIgMよりも陽性率が高く、IgM は病気の5.5日目以降の陽性率が高い
   傾向です。IgMおよびIgG抗体検査を併せると95%以上の特異性を有し、全体の経過ではPCR
   検査だけですと感度は51.9%ですが、IgMとIgGを併せますと感度は98.6%になります。
   (意外にIgGが早期に出現しています。)
   長期の持続性および保護期間は不明のままです。




         20511-3.PNG





  

私見)
 政府はPCR検査の基準?の見直しをしたと言っていますが、間口を広げたとは言っていません。
 政府の逃げ口上に則って我々開業医は進まなくてはなりません。
 開業医においては検査体制として、唾液によるPCR、インフルエンザ並みの抗原検査、抗体検査(自費)
 のストラテージの確率が早急に求められます。






新型コロナ 診断.pdf








posted by 斎賀一 at 19:25| Comment(0) | 感染症・衛生

唾液によるPCR検査

唾液によるPCR検査
 
Rutgers Clinical Genomics Laboratory TaqPath SARS-CoV-2 Assay



20511.PNG


           

  アメリカのFDAは、個人での唾液採取によるPCR検査を認可しました。
 しかもそのキットが既に発売されています。この迅速さに驚きます。
 何時まで経っても目標を掲げているだけで、挙句の果てに国民の側に誤解があったと弁明する国と 
 いったい何処が異なるのでしょうか。





 私見と疑問)
  下記にアメリカでのキットの動画を掲載します。
  日本では痰ツボ容器にぺっぺと採取すればいいのでしょうか?
  早いガイドラインが知りたいです。
   それから、この方法は開業医も仲間に入れてくれるのでしょうか⁇





https://www.slashgear.com/at-home-saliva-covid-19-test-fda-authorization-coronavirus-testing-08619883/


FDA 唾液.pdf









posted by 斎賀一 at 18:05| Comment(2) | 感染症・衛生