2020年04月30日

二重マスクと除染・新型コロナ対策

二重マスクと除染・新型コロナ対策

Double Masking and Decontamination:
A Doctor's COVID-19 Routine



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 医療現場での器材が不足しています。ありがたい事に、本院の患者さんより、貴重な品物を
分けて頂いております。もったいない気持ちで大事に使用しています。

アメリカの救急で働く教授と、その娘の医師がインタビュー形式で、自分とその家族を守る方策を述べて
います。参考になる点も多々あり、職員の皆さんも取り入れてください。


纏めますと、


 1) 白衣ではなく、スクラブを仕事場では着用し、最小限のものを身に付けるように努力する。
    (本院もスクラブの採用を計画します。)

 2) N95マスクの上に、サージカルマスクを装着する。もしも汚染したと思ったら、
    上のサージカルマスクを外して、新しいサージカルマスクに付け替える。
    (本院では発熱患者と、20分以上対応する場合にはコロナ患者を想定して
    N95マスク用いますが、日々のマスク使用では、サージカルマスクを二重に装着してください。
    一日の終わりに上のマスクを破棄し、下のマスクをアルコール噴霧して、翌日、上のマスクとして
    使用してください。
    尚、友人のN先生より、N95マスクは、アルコール消毒するとその機能が低下するとのネット情報
    があると教えてもらいました。)

 3) 目を保護する事も重要
    ゴーグルは、溶接用のシールドを手直しして用いている。
    色々な器具を工夫して用いても、医療専門の器具と効果に差は無い。

 4) 個人の携帯電話はポリ袋に入れおき、帰宅時にはポリは破棄する。電話使用に関して、
    トラブルは生じない。

 5) 患者に接する場合はペン、用紙、聴診器は個人の物は使用しない。
    (本院でも発熱エリアでは専用に器具を置いておきましょう。)

 6) 自分の周りのコンピューター、マウス、机は除染に注意しましょう。

 7) 仕事中の口、目、鼻に手で触らないように注意が必要。
    そのためには、頻回の手洗いが大事です。

 8) (職員同士の無駄口はしないで、食事も分かれて早食いをする。院長の与太話も控える。)

 9) 帰宅時には個人の物、例えは携帯電話、お財布は新たなポリ袋に変える。
    (つまり、不要不急の財布の使用は避ける)

 10) 帰宅したら再度除染を行う。手洗い、携帯電話、お財布を消毒、再び手洗い、何はともあれ、
     本人が一番最初にシャワーを浴びる。



私見)
 医療従事者の心構え
 
  一に患者、二に家族、三四が無くて五に自分。
  (命があって働けるだけ僕は幸せだなぁ)






マスク原文.pdf






posted by 斎賀一 at 16:50| Comment(3) | 感染症・衛生

ECMOは新型コロナの最後の砦か?

ECMOは新型コロナの最後の砦か?

ECMO Benefit Not Clear in Critically Ill COVID-19 Patients

 


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 志村さんの悲報から俄然注目されていますECMOですが、その効果に対するニュースがありました。
日本では、概ね60%の人がECMO後に生還しています。
しかし、ニューヨークのロイター通信からの報告では、意外に効果は限定的な感じがします。


報告を纏めますと、


 1) 2012年のMERSの時は、ECMOを使用した人の死亡率は65%でした。

 2) 新型コロナの当初の報告では、ECMO使用の6人中5人が死亡しています。

 3) 今回の調査では、重症例を対象に562人を登録しています。
    その中で、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に進展した人は41.6%でした。
    更に、ECMOを使用した人は17人で、その死亡率は94.1%です。
    一方で、ECMOを使用しなかった場合の死亡率は70.9%です。
    勿論バイアスがかかりますが、統計学的には顕著な差は無いとの事です。

 4) 新型コロナの場合は、その進展が早い事が大きな特徴です。
    炎症性の因子であるサイトカインが大きく関与しています。内因性の物質に対して、
    ECMOが逆作用をしていないかとの懸念を表明しています。

 5) 今後は、症例を増やすことにより、ECMOの適切な運用を図るべきとしています。



私見)
 私の以前のブログでも紹介しましたが、新型コロナにおける急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、
間質性肺炎の増殖性変化が速い事が想像されます。
 そうなると、ECMOの効果も限られてしまいます。
 早期発見、早期治療がやはり原則です。
 そのためにも、PCRなどの診断体制の確立が急務です。




ECMO Benefit Not Clear in Critically Ill COVID-19 Patients.pdf









posted by 斎賀一 at 16:33| Comment(1) | 感染症・衛生

2020年04月28日

新型コロナの結膜炎

新型コロナの結膜炎
 
見えない敵
 
Characteristics of Ocular Findings of Patients With Coronavirus Disease
2019 (COVID-19) in Hubei Province, China



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 以前のSARSの場合には、結膜から伝搬される明白なエビデンスはありませんでしたが、可能性が議論
されていました。今回の新型コロナにおいても、目からの伝搬が疑われています。
武漢からの報告です。
新型コロナと結膜炎の合併を調査しています。



纏めますと

1) 中国武漢市の病院において、2020年2月9日から15日にかけて新型コロナのPCR検査で確定
   診断、又はガイドラインで診断され入院した人を対象に調査しています。

2) 対象は38名、28名(65.8%)がPCR陽性、2名(5.2%)は、結膜より直接ウイルスが同定されて
   います。

3) 38名中12名(31.6%)が何らかの眼症状がありました。
   結膜充血、結膜浮腫、流涙、眼脂?(increased secretion)
   12名の臨床症状は、4名が中等症、2名が重症、6名が重篤でした。
   1名は初期症状が流涙のみでした。

4) 中等から重症化する人に、眼症状が多い傾向です。
   眼結膜からの伝搬を強く示唆する結果となりました。





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私見)
 新型コロナで結膜炎、特に眼脂がどの程度認められるかが私の一番の関心事です。
 そのため原文を読んでみましたが、残念ながら私個人的には明白な結論には至りませんでした。
 しかし上記の表を見て、もしかしたら言える事として、

  ・新型コロナで眼脂を伴う結膜炎では、重症化の危険性がある。
   しかし眼脂はそれ程一般的には認められていない。
  ・結膜充血よりは結膜浮腫、流涙が多いようだ。
  ・結膜充血や眼脂を認めた場合は細菌感染、アデノウイルスを先ず鑑別してから、問題の新型コロナ
   を疑うのが筋でしょうか。
   それから何といっても、結膜充血は川崎病、溶連菌、麻疹でしょうか。

 従来は眼科にコンサルトしていましたが、このご時世では結膜炎で紹介するのも憚ります。
 ではとばかり、書庫より取り出して再勉強をしようとブログにも掲載しました。
 下記のPDFをご参照ください。
 出版元の関係各社には甚だご迷惑をお掛けしますが、何卒コロナ特赦としてご了承ください。
 職員の皆さんも、ご厚意に甘んじてしっかりと勉強しましょう。




 ◆参考書籍

  ・小児科  v53.n11.2012

  ・小児診療のピットフォール  日経メディカル

  ・小児科  v54.n6.2013

  ・小児科  v57.n6.2016

  ・ケアネット

  ・小児科  v55.n7.2014

  ・大塚製薬医薬情報センター







1 本論文.pdf

2 小児診療のピットフォール.pdf1.pdf

3 小児診療のピットフォール.pdf2.pdf

4 小児と感染症.pdf1.pdf

5 小児科医が知っておきたい子どもの目の病気.pdf1.pdf

6 ケアネットより.pdf

7 小児科外来で診るウイルス感染症.pdf

8 小児眼感染症の診断と治療.pdf

9 アデノ EB.pdf

10 小児ぶどう膜炎を診たときの対応.pdf

11 Viral Conjunctivitis Produces Deep Orbital Inflammation.pdf












posted by 斎賀一 at 21:18| Comment(0) | 感染症・衛生