2020年03月18日

新型コロナのために歴史から学ぶべきこと

新型コロナのために歴史から学ぶべきこと
 
History in a Crisis − Lessons for Covid-19
This article was published on March 12,2020, at NEJM.org.



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 新型コロナの世界的流行に対して、各国の対応は異なっています。
未知ともいえるウイルスの対策は手探りの状態で、現在では正解がありません。
 雑誌NEJMに、歴史的に捉えた論文(展望)が掲載されています。
誤訳を気にせず、本旨を理解するため下記に纏めてみました。


 抗生剤やワクチンの新時代を迎えた1972年に細菌学の大家であるBurnetが、将来の感染症を考えるとつまらないと言っているそうです。  「it will be very dull
その時代にも感染症は予測不可能な脅威ではあるが、分類できない新たな感染症は出現していない。
伝染病は、単に歴史家の興味でしかないと考えていたようです。
 しかし時代は変わり世界がグローバルになると、レジオネラ、ヘルペス、AIDS、エボラ、SARS、今回の
新型コロナ(COVID-19)と、人類に脅威をもたらす新たな感染症が出現しています。
そんな中で感染症の歴史家は、伝染病に対して社会がどの様に普遍的に反応するかを調べようと
します。

 Rodsenbergによると、社会は3段階の反応をするとしています。
まず最初の反応は、自分だけは安全だとか経済が優先するなどとは関係なく、伝染病が猛威を奮い始めたり死の恐怖が差し迫るまで、市民は何かが間違っているとは思わないで現在の感染症を無視する。
次に認識が始まる。やがて人々は説明を求めたり、道徳的か紋切り型の解説を自ずから始めます。
それらは拡散し、伝染病と同じくらいの破壊的な行動へと導きます。
やがて社会的対応が奏功したのか、犠牲者が一定数出たためとかに関わらず、流行は終息します。

 Rodsenbergは述べています。「伝染病はある瞬間から突然に始まり、限定的な場所と期間を経て分からなかったことが明白になるように、感染症の増加を一般大衆はグラフ(プロット)をもって啓示的に知る事ができます。更に伝染病が隠れた社会構造のひずみをあぶり出していく事に歴史家は注目します。
やがて大衆は、本当は何が重要で何が大事かを知ります。
中世のユダヤ人と中国市場の肉屋が歴史的に感染症の諸悪とされてきました。
政府は強権により、検疫の強化や強制的なワクチン接種を展開していきます。これらは権力の行き過ぎた
行使となり、社会の対立の危険をはらみます。残念ながらこの行使は十分な成果を上げられない事が
しばしばです。
例として水痘、腺ペスト、梅毒、HIVなどが挙げられます。
Allan Brandtが述べているように、感染症に対して魔法の弾丸は無いのです。
現在の新型コロナに対する中国の対応は、前代未聞の相があります。
伝染病には良く知られている2つの歴史的汚名(stigma)があります。1つには世界の反中国的反応が
繰り返されます。立て続けに起きた1900年のサンフランシスコ、2003年のSARS、今回の新型コロナ
です。
2つ目には医療従事者の死亡です。
実際問題としては、伝染病で大参事が起る事は極めて稀です。しかし今回、予知不能の脅威が差し迫っている事は確かです。エボラの様に規模としては小さい伝染病を過剰に心配する場合もありますが、今回の新型コロナの様により大きな未知なる何かが隠されている場合もあります。
 最後に論者は纏めています。

「The history of epidemics offers considerable advice, but only if people know the history and respond with wisdom」






私見)
 日本は現在、終息に向かっているかの様です。
 錯覚なのか予兆なのか、やがて明白になります。
 私の人生においても社会においても、学ぶべきことは成功体験ではなく失敗体験からのようです。
 職員の皆さん「コロナファティーグ」にならないように頑張りましょう。















posted by 斎賀一 at 19:18| Comment(0) | 感染症・衛生