2020年02月20日

牛乳と健康

牛乳と健康
 
Milk and Health
   n engl j med 382;7 nejm.org February 13, 2020



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 最初は面白くもない内容で、読み続けると人生を一変するような読後感を味わう小説がありますが、
今回のNEJMの総説は、最初から結論が分かってしまうような、ちょっと味気ない読後感でした。
天下の雑誌NEJMに対して不遜な意見を述べるようで申し訳ないのですが、掻い摘んで結論(conclusions)より解説します。



「ガイドラインでは牛乳をコップ2杯以上(3servings 以上)飲むようにとの事ですが、人それぞれで良い
のです。例えは成人では0~コップ1杯です。
しかも普通の牛乳で良いのです。発展途上国では牛乳の役割は大きいのですが、あなたの国ではもう
お役目御免かもしれません。


個別で解説しますと

・子供の頃に牛乳をいっぱい飲むと、牛乳に含まれているアミノ酸、特にロイシンなどは成長ホルモンを
 活性化するので、確かに背は伸びますが骨折の危険、特に大腿骨骨折が増えます。
 カルシウムを銀行の預金の様に蓄える事は出来ないんです。
 サプリメントでカルシウムを多く摂っても骨量には影響はないし、もちろん牛乳を多く摂取しても骨折の
 予防効果も認められていません。
 却って骨折のリスクが増加(危険率1.64)との報告もあります。
 つまり4~8歳の子供も閉経前の女性も、カルシウムのサプリメントや牛乳を飲むなら少量で十分で、
 その効果も摂取を中断すると一過性の効果となってしまいます。

・牛乳を摂取すると心血管疾患の予防になるとかダイエットに繋がるとか言われていますが、これすらも
 ハッキリしないのです。ヨーグルトはダイエットに良いと言うデータはあります。
 高血圧にDASH食が良いと言われていますが、その中でも牛乳の役割はしれています。
 低脂肪の牛乳が脂質異常には良いと言うエビデンスも希薄です。

・だからと言って牛乳を心配し過ぎる事もありません。
 喘息になり易いとか、湿疹や食物アレルギーのマーチに繋がるのではと言った懸念や、自己免疫疾患を
 誘発するから1型糖尿病になり易いとか言われていますが、これすら根拠は希薄です。
  (成人での牛乳摂取は、喘息の増悪に関係あるかもしれないと釘を刺しています。)
 乳牛に成長ホルモンを与えて飼育しているから心配とか、オーガニックでの飼育が体に良いとか言った
 事もエビデンスが無いのです。
 しかも、妊娠している乳牛が搾乳に一番効率が良いのですが、この時はミルクの中にホルモン物質が
 多く含有されています。オーガニックが何だろうと、全ての酪農家はこの方法で搾乳しています。

・成長因子との関係で、牛乳は乳癌と前立腺癌をpromote(促進)する可能性が論じられていますが、
 発癌は人生の早期から始まっているので、これすらも心配し過ぎではないでしょうか。
 但し結腸癌には良いようです。                                      以上      






私見)
 全く私事ですが、牛乳と言えば「脱脂粉乳」を思い出してしまいます。
 元来、牛乳は好みではありません。
 毎日果物入りの甘いヨーグルトを食べていますが、これすら 都市伝説 かもしれません。






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2020年02月18日

急性心不全に対する血管拡張薬の積極的治療の効果は?

急性心不全に対する血管拡張薬の積極的治療の効果は?
 
Effect of a Strategy of Comprehensive Vasodilation vs Usual
 Care on Mortality and Heart Failure Rehospitalization
 Among Patients With Acute Heart Failure
   JAMA December 17, 2019 Volume 322, Number 23



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 前日のブログで紹介しましたが、急性心不全の治療の主体は血管拡張薬との事です。
ならば急性心不全の発症時に積極的に且つ包括的に血管拡張薬を増量したら、その効果も顕著かを
調べた研究が、雑誌JAMAに掲載されています。


その前に村川裕二先生の格言を紹介
「心不全を細かく考えると前に進まない。
 プロでないなら(実地医家なら)薬物療法で対処できる程度の心不全を扱う。
 冠動脈疾患、甲状腺疾患、貧血を鑑別する。
 新規の急性心不全は、体液貯留が無いので血管拡張薬を優先
 (血圧が100以上あればミオコールスプレーは使用できる。)
 慢性心不全の増悪は、体液貯留があるので利尿薬も用いる。
 新規か慢性の増悪かは考えても意味がない。
 体重50kgの人にはニトログリセリン5アンプル(50cc)を50時間(1cc/時間)を持続注入器で使用
 する。とパターンで決めておく。
 ハンプは1バイエルを5%ブドウ糖50ccに希釈して3cc/時間で開始」

肩の力を抜いて自分なりのアレンジで本論文を解釈すると、意外に簡単になってしまいました。
本論文の主旨とかなりずれてしまいますので、原文の一部を下記のPDFに紹介します。


さて本論文を纏めますと
1) 医者になりたての頃、セルアプとダイクロSだけを処方していました。
   オーベンの先生に怒られてばっかりいた頃の記憶が蘇ります。そんな訳でヒドララジンは
   最初から省略
2) 入院して血管拡張薬を増量する7日間の積極的治療と通常の治療を比較していますが、結果は同等
   でした。
   180日後の死亡率と再入院率に差はありませんでした。
   更に7日間の治療後の呼吸苦とBNP値においても、改善に両群で相違はないようです。
   治療の経過とデータは下記のPDFを参照


私の治療方針
 急性心不全に関しては、甲状腺疾患、冠動脈疾患、弁膜症、貧血をチェックして下記の様に一人旅の
 治療とします。
 ・血圧が100以上の場合は取り敢えず本院で治療
 ・基礎疾患を鑑別、簡易心エコーで検査、心電図、胸部レントゲン、BNP、トロポニン検査
 ・血圧を管理しながら、ミオコールスプレーを30分間に3回まで行う。
  その後はニトロダームかフランドルテープを貼付
 ・ARBを追加か増量
 ・IVCDが高ければルプラック、ラシックス、ダイアートを追加
 ・翌日、3日後、1週間後に再診





◆参考書籍

 循環器治療薬ファイル 第3版 ; 村川裕二

 メディカル・サイエンス・インターナショナル





私見)
    慌てないためにはシュミレイション
    なるべく簡単なシュミレイション
    職員が共有できるシュミレイション






JAMA論文より.pdf










posted by 斎賀一 at 19:57| Comment(1) | 循環器

2020年02月17日

急性心不全・Time is Muscle

急性心不全・Time is Muscle

    <業務連絡・院内勉強用>


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 雑誌JAMAに、急性心不全の治療に関する論文が出ていました。
前知識として、この機会に書籍を調べてみましたのでブログ勉強会とします。

 心筋梗塞の場合は「door to door」つまりは開業医から専門病院への転送の時間が問題となります。
余分な検査で時間を費やすことなく、的確な判断で後方病院に紹介しなくてはなりません。
[Time is muscle]と言われる所以です。
この事は急性心不全でも同じことが言われています。
急性心不全の場合には統計学的に調べてみますと、病院に到着して診断するまでに8時間以上経過
しており、更に適切な治療までには22時間も要していたとのデータがあります。
急性心不全の原因は多岐に亘ります。血圧も不安定で呼吸困難が診られれば、本院では状態によって
2次施設との連絡を取りながら、必要最上限度の下記の検査で紹介状を書かなくてはなりません。

・血圧測定 ・Spo2 ・簡易心エコー(駆出率、右心負荷、下大静脈)以上で転送の判断をし、
 更に・心電図 ・トロポニン(現在はベリファースト) ・胸部レントゲン(省略もあり)

 以上を看護師にお願いしながら、紹介状作成と救急車の連絡をするようにします。

やや余裕があり、本院での治療計画が可能と判断できたら、早期介入を実現するためのMebazaaを
提唱したクリニカルシナリオを用いる事が有効です。


要点を纏めてみますと

1) 先ず急性冠動脈症候群の鑑別が重要

2) 右心不全の鑑別 (利尿薬は禁忌)
   肺性心、肺塞栓症、右心室梗塞

3) 次に血圧により3パターンに分類
   ・収縮期血圧が140以上のクリニカルシナリオ1
   ・収縮期血圧が100~140のクリニカルシナリオ2
   ・収縮期血圧が100以下のクリニカルシナリオ3

4) クリニカルシナリオ1
   長い事高血圧が続き、心筋が疲弊してしまった状態
   硝酸塩やhANP(ハンプ)の血管拡張薬、又はARBで血圧を下げる。

5) クリニカルシナリオ2
   比較的ゆっくりとした進行の心不全を想定
   浮腫も認められる。
   血管拡張薬と体液貯留があれば、利尿薬も用いる。

6) クリニカルシナリオ3
   急激な発症もあれば緩徐な場合もあり。
   プレショックの状態
   予後も悪く、治療も総動員が必要なため2次施設への紹介が賢明

7) 収縮期血圧が高かったら、先ず実地医家のやる事は酸素吸入や検査でなく、ミオコールスプレーの
   吸入である。



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私見)
 時代は利尿薬よりも血管拡張薬の時代の様です。
 血管拡張薬としては
 ・ニトログリセリン
  ニトロペン、ニトロダーム、ミオコールスプレー
 ・硝酸イソソルビド
  アイトロール、フランドルテープ、ニトロールスプレー
 ・ハンプ点滴用(血管拡張薬+利尿薬の働きがある)

 ニトログリセリンのほうが動脈系を拡張するため、血圧が下がる。
 どちらを使用するかはベースラインの血圧により判断する。
 最近ではニトロペンの使用はやや時代遅れのようで、念のための処方のようです。
  (オマジナイでしょうか)

 試案;
  CS1又はCS2の場合は、本院では
  ミオコールスプレー、ニトロダーム、ラシックス1/2A筋注か点滴
  ARBの増量
  (ニトロダームは不安定、ラシックスは注意、との意見もありますが、ハンプ(1バイアルを
   5%ブドウ糖50cc,3cc/hrで開始)は高価で入院が必要です。 取りあえず。)



  

◆参考文献及び書籍

 ・急性心不全(CS 1)の第一選択薬は利尿薬ですか。血管拡張薬ですか。
  ;Heart View Vol.18 No.12(増刊号), 2014

 ・極論で語る循環器内科 ; 香坂俊、丸善出版

 ・エクスプレス循環器病ファイル ; 村川裕二、
   メテ可カル・サイエンス・インターナショナル

 ・この薬を本当に使う理由 ; 村川裕二
   メテ可カル・サイエンス・インターナショナル








ハンプ注射用1000 _ 今日の臨床サポート - 診断・処方・エビデンス -.pdf

右心不全.pdf









posted by 斎賀一 at 18:30| Comment(0) | 循環器