2020年01月29日

新型コロナウイルスの入院患者の臨床症状・その3

新型コロナウイルスの入院患者の臨床症状・その3

               雑誌Lancetより
Clinical features of patients infected with 2019 novel
coronavirus in Wuhan, China
www.thelancet.com Published online January 24, 2020



           【本論文の患者は重症例です。今発生している軽症を含めた
            症例でなく、当然ながら過剰な反応には注意が必要です。】




1) 免疫の予防物質であるサイトカインの多く出るcytokine stormが、重症化と関連性がありそうだ。
   (インフルエンザの重症化も同様)

2) 年齢分布 : 一般病棟とICU
          平均年齢は49歳



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3) 武漢の海鮮市場との関係
   66%が海鮮市場と関係していた。
   2019年12月1日は他の家族に症状は出ていないが、その後1例に発症



         20129-3.PNG



     
4) 年齢と基礎疾患
   73%が男性、糖尿病が注意疾患
   (これだけで基礎疾患のある人が多いかは不明)


          20129-4.PNG



   
5) 症状
   発熱、咳嗽、筋肉痛、痰、頭痛、血痰、下痢、呼吸困難の順に記載
   呼吸困難は55%で、発症から8日で出現



          20129-5.PNG 




   
6) 検査結果は下記のPDFにて掲載し、解説します。

7) 治療と転帰
   二次感染が10%、32%がICUに入院、15%が死亡
  
8) 考察
   2019-nCoVはSARSに類似している。
   急性呼吸不全(ARDS)に進展し、ICUの入院や酸素療法を必要となる患者がいる。
   医療従事者に感染している事より、人―人感染が認められている。
   N95や個人的なマスクが必要である。
   重症例(入院)は発熱、乾性咳嗽、呼吸困難、両側性の肺浸潤(CTでスリガラス様)を認めている。
   しかし、多くの2019-nCoV患者は上気道感染(クシャミ、鼻水、咽頭炎)の症状は稀で、下気道感染
   が主である。 (論文により異なります。)
   また、SAESやMERSと異なり消化器症状は稀です。
   2019-nCoVは血中サイトカインが多く認められており、重症化との関連性が推測される。
   しかしプレドニンの全身投与に関しては、未だ明白な所見は無い。
   抗ウイルス薬に関してはこれからの段階である。





本論文より.pdf








posted by 斎賀一 at 19:27| Comment(1) | 感染症・衛生

もう10年、もう1つのコロナウイルス・その2

もう10年、もう1つのコロナウイルス・その2

                  雑誌NEJMより 
Another Decade, Another Coronavirus
January 24, 2020 DOI: 10.1056/NEJMe2001126




1) 2019-nCoVはSARS-CoVに75~80%と類似しており、幾つかのコウモリ-コロナウイルスと近い
   関係がある。

2) SARSやMERSと異なり、培養液よりも人の気道粘膜に親和性があり増殖しやすい。

3) 遺伝子配列も判明して、現在は診断のための試薬が新たに開発されてきている。
   診断が迅速になり、感染経路の特定が可能になると期待される。

4) SARSやMERSの場合は広範に感染するsuperspreadingが問題だったが、2019-nCoVは現時点
   では不明である。

5) SARSやMERSは上気道よりも下気道に感染したため、はっきりした症状のある人からの感染だった
   が、2019-nCoVはSARSと同様と考えられるので症状が出現してからの感染が多いと想定される。
   (実際には潜伏期での感染も報告されておりますが、やはり主体はカタル期か症状出現からが多い
    と思います。)

6) 2019-nCoVは変異が激しく、SARSやMERSよりも人への親和性が増加している。

7) 2019-nCoVの起源はコウモリと推定されるが、直接人に感染したか間に他の動物が関与してかは
   今後の研究

8) 感染の主体はdropletと思われるので、飛沫感染が主体と推定される。
   (取り敢えずマスクが有効でしょうか。)










posted by 斎賀一 at 18:42| Comment(0) | 感染症・衛生

新型コロナウイルス肺炎・その1

新型コロナウイルス肺炎・その1

           雑誌NEJMより 
A Novel Coronavirus from Patients with Pneumonia in China, 2019
  This article was published on January 24,2020, at NEJM.org.




1) 2019年の12月に人の気道上皮組織より新型コロナウイルスを同定しています。
   サンプルは中国の武漢の海鮮市場で発生した肺炎患者より採取されています。
   2019-nCoVと一応命名されています。

2) コロナウイルスは一般的に広く分布していますが、遺伝的に多様性で頻繁に遺伝子の組み換えが
   起こり、更に頻繁に宿主である種間感染を起こすため新たなコロナウイルスが出現します。
   過去にはSARSとMERSがありました。




           20129.PNG






  

posted by 斎賀一 at 14:46| Comment(0) | 感染症・衛生