2020年01月18日

心房細動を有するアルコール飲者の断酒による効果

心房細動を有するアルコール飲者の断酒による効果
 
Alcohol Abstinence in Drinkers with Atrial Fibrillation
N Engl J Med 2020;382:20-8.



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 アルコールの摂取量と心房細動の発生の関係は以前より報告されています。
以前の私のブログでも紹介しましたが、今回はオーストラリアからの断酒による効果が雑誌NEJMに報告
されています。
(節酒はお酒をやめることでなく、自分で目標や制限を作って飲むこと。
 禁酒は一定の期間を決めて止めることで、病気になり医者にお酒を止めなさいと言われて止めること。
 断酒は自分の意思で今後お酒を飲まないと決めること。    以上ネットより)


纏めてみますと

1) 基準飲酒量が週10ドリンク以上(1ドリンクの純アルコール量は約12g)で発作性心房細動
   または持続性心房細動のある人が対象です。
   (1ドリンクとは、コップ一杯のビールか半合のお酒です。)



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   アブレーションは実施していないが、どのような薬剤でも良いので、ベースラインとしては洞調律
   (心房細動が消褪している状態)になっている人が対象です。
   140例が登録され男性85%,平均年齢は62歳です。
   70例が断酒群に70例が対照群に割り付けられました。先ずは2週間のブランキング期間を設けて
   それから研究をスタートしています。
   断酒群は週16.8ドリンクから2.1に減少、対象群は16.4ドリンクから13.2ドリンクに減少して
   います。アルコール摂取の記録がされていない場合は、尿検査で確認しています。
   主要転帰は6ヵ月の追跡期間における心房細動の無再発期間と、心房細動の総負荷(心房細動の
   状態にあった時間の割合)の2つとしています。

2) 結果は
   心房細動は、断酒群では70例中37例(53%)、対照群では70例中51例(73%)再発していました。
   断酒群では、心房細動の再発までの期間が対照群よりも長かった。 (危険率は0.55)
   6ヵ月の追跡期間中の心房細動の負荷は、断酒群のほうが対照群よりも有意に低かった。
   (心房細動の状態に合った時間の割合の中央値は、0.5%対1.2%)
   結論として、心房細動を有する習慣的な飲酒者では、断酒により不整脈の再発が減少しました。
   (以上一部日本版参照)

3) 考察
   以前より、週に7~14ドリンクを摂取すると副作用が出現すると報告されています。
   ガイドラインでは3ドリンク以下を推奨しています。
   アルコールと心臓との関連性を論文中で列挙しています。
    ・アルコールは心拍数を減少させる自律神経調節や交感神経を刺激して、心臓に影響する。
    ・大酒は心臓の炎症をも促進する。
    ・飲酒は用量依存的に左房径を増加させる。
    ・飲酒はカテーテルアブレーション後の心房細動の再発を助長する。
    ・飲酒により体重増加を招き心外膜の脂肪組織が増加するが、この事が心臓における炎症の
     パラメータともなる。


 書き連ねると、アルコールは悪い事ばかりです。
 用量依存性で1~2ドリンクの少量でも、高血圧に影響するとも言われています。
 しかしアルコールと心血管疾患はU型を示しており、適度のアルコール摂取は心血管疾患の予防にも
 なるとの疫学調査もあります。
 そのために、本研究では厳格な禁酒は行わずに、2ドリンク程度の断酒で研究しています。
 結論としては、心房細動のある方は週に2ドリンクが最適としています。





私見)
 マイブームの言葉「それはせつないな〜」と患者さんに言われそうです。
 しかしアブレーションを行うなら、絶対に断酒である事は説明しましょう。




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posted by 斎賀一 at 16:59| Comment(0) | 循環器