2020年01月06日

急性呼吸器感染症におけるプロカルシトニン測定

急性呼吸器感染症におけるプロカルシトニン測定
 
An investigation of the effects of procalcitonin
testing on antimicrobial prescribing in respiratory
tract infections in an Irish university hospital setting



20106.PNG



 急性の下気道感染症は多くがウイルス性で、細菌性の合併は多くても40%との報告です。
 (下気道感染症とは呼吸困難、痰を伴い、聴診上の所見、レントゲン所見など総合的に判断して
います。)
その際に抗生剤を適切に処方する事と、いつ休薬するかを決定するツールとして、プロカルシトニンは
以前より有力視されていますが、一方でその判定に関しては一貫性が無く、採用には賛否両論です。
 今回その有用性を報告した論文が発表になっていますので、ブログしてみます。


1) プロカルシトニンは、細菌感染により誘導されたサイトカインです。しかしウイルス性感染症により
   プロカルシトニンの産生は抑制されます。その結果、細菌感染症とウイルス性感染症を鑑別する
   ことが出来ます。又感染症が軽快すると急激に低下します。従って抗生剤の投与と中断の決定に
   有効となります。

2) 本研究の対象はアイルランド国立大学(University College Cork, UCC)に、下気道感染症で
   入院目的で紹介され、呼吸器専門家のチームによる診断治療を受けた患者です。
   その中でプロカルシトニンを検査した群(Active arm ;PCT)と
   検査をしない群(Respiratory control group)に分けています。
   更に小規模病院で非専門家により急性下気道感染症と診断され、一般的な診断治療を施された
   群(Control group 2)も追加して比較検討しています。
   Control group 2はプロカルシトニンの検査をしていません。
   検査のストラテジーは下記に示します。詳しくは本論文のPDFをご参照ください。




            20106-2.PNG
   

  
3) 対象者は18歳以上の下気道感染症で、アイルランド国立大学に紹介され入院した患者です。
   生命の危険のある重症例や免疫不全の患者は除外しています。
   登録者は120人で、検査をしない群(Respiratory control group)を2対1になるようにして
   います。一般的な診断治療を施された群(Control group )は50~200人より選んでいます。

4) 主要転帰は抗生剤の使用期間です。
   2次転帰は、入院期間、30日以内の再入院、抗生剤の副作用が主です。

5) 結果
   抗生剤の使用期間は6.8日対8.9日、入院期間は7日対8日と、プロカルシトニンを検査した群が
   短縮していました。
   その他の結果は下記の図です。




         20106-3.PNG


   
 尚、DDDは入院日数当たりの抗生剤使用量、DOTは抗生剤使用日数、LOSは入院日数を表します。
 詳しくは下記のPDF参照






私見)
 プロカルシトニンを迅速にかつ頻回に測定し、患者層を限定すれば有効なツールであるようです。
 又プロカルシトニンの偽陽性にも注意が必要です。
 本院での採用に関してとストラテジーは、再度ブログします。
 





1 プロカルシトニンのストラテジー.pdf

2 本論文procalcitonin.pdf

3 ddd dot los.pdf













posted by 斎賀一 at 17:47| Comment(0) | 感染症・衛生