2020年01月29日

新型コロナウイルス肺炎・その1

新型コロナウイルス肺炎・その1

           雑誌NEJMより 
A Novel Coronavirus from Patients with Pneumonia in China, 2019
  This article was published on January 24,2020, at NEJM.org.




1) 2019年の12月に人の気道上皮組織より新型コロナウイルスを同定しています。
   サンプルは中国の武漢の海鮮市場で発生した肺炎患者より採取されています。
   2019-nCoVと一応命名されています。

2) コロナウイルスは一般的に広く分布していますが、遺伝的に多様性で頻繁に遺伝子の組み換えが
   起こり、更に頻繁に宿主である種間感染を起こすため新たなコロナウイルスが出現します。
   過去にはSARSとMERSがありました。




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posted by 斎賀一 at 14:46| Comment(0) | 感染症・衛生

2020年01月27日

インフルエンザのタミフルの有効性について

インフルエンザのタミフルの有効性について
 
Oseltamivir plus usual care versus usual care for
influenza-like illness in primary care: an open-label,
pragmatic, randomised controlled trial
www.thelancet.com Vol 395 January 4, 2020



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 インフルエンザに対するタミフルの有効性に関しては、論議が様々です。
有効性に関して、否定的な立場からインフルエンザの診断のみで経過を見ると言った医療現場もあり、
治療方針も多用です。
 
 今回英国の雑誌Lancetより、比較的タミフルには好意的な論文が出ていましたのでブログしてみます。


1) ヨーロッパではインフルエンザに対する抗ウイルス薬の効果は限定的である事より、実地医家では
   処方されない事が多い。
   しかし、多くの研究が非盲検試験(open-label)であり、患者の意図性を反映してしまう。
   また回復に対する個人の積極性が影響してしまう。

   その他としては
   ・コントロールスタディであり、通常の治療にタミフルを追加した研究でない。
   ・色々なサブグループを対象にしておらず、インフルエンザからの回復が従来早い人も含まれて
    いる。
   ・回復の聞き取りが一日一回のため、細かい違いが表されない。
   ・ワクチンの接種の関与も算定しにくい。

2) 本論文では2016〜2018年間のインフルエンザシーズンにおけるヨーロッパ15か国のデータです。
   3,266人を登録しています。これにはインフルエンザ様疾患も含まれます。
   (PCR法で確診したのは52%)
   通常の治療にインフルエンザを追加した群の1,629人と、通常の治療群の1,637人に振り分けて
   います。

3) 主要転帰は発熱、頭痛、筋肉痛等の消失による通常生活の回復までの期間としています。



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4)(ベイズ統計学的な推定をしており、私は十分な解説が出来ないので結論だけを記載します。
   尚、結果は表を見た方が理解しやすいので、下記のPDFで解説します。)

 結 論  
  ・以前の研究では発症後48時間以内のタミフル投与が有効とされていたが、本研究では早期の
   タミフル治療の追加だけが特別に有効とは言えず、48~72時間後でも同様に有効であった。
  ・基礎疾患のある人、65歳以上の高齢者、インフルエンザの症状が長引いている人等に対しては
   タミフルの服用によって病状を2~3日短縮できる。
   これらの人はインフルエンザウイルスの増殖が続いているため、タミフルの服用が有効と思われる。
  ・タミフル服用による肺炎や入院の予防の効果はあまりないが、抗生剤の服用の低下や周囲への
   感染の予防効果は認められた。






私見)
 タミフルを処方する際に、実地医家の私としましては(real-world)背中を押された感じです。
 以前のブログも下記に掲載します。






本論文より.pdf

タミフルの小児における効果と安全性_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf









posted by 斎賀一 at 18:14| Comment(0) | インフルエンザ

2020年01月24日

心不全発症後の死因の変遷

心不全発症後の死因の変遷
 
Temporal Trends and Patterns in
Mortality After Incident Heart Failure



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 心不全に対する治療の進歩のお蔭でしょうか、新規に発症した心不全の1年後の死亡は減少傾向
です。
しかし、心血管疾患の減少とは裏腹に、その他の疾患による死亡が増加傾向です。
2002年から2013年にかけて、新規心不全発症の1年後の研究が雑誌JAMAに掲載されています。


1) 登録者は86,833人で、平均年齢は76.6歳です。
   2002年と比較しますと、2013年は死亡率が0.94と減少
   特に心血管疾患の死亡率は0.73でしたが、その他の死亡率(non-cardiac)は1.22と増加して
   相殺されています。
   80歳より若い人は死亡率が減少していますが、80歳以上では他の疾患の増加により、死亡率の
   好転は極めて軽度でした。
    (詳細は下記のPDFの図とグラフをご参照ください。)

2) 論評では次のように記載しています。
   心不全の進展は抑制されているが、特に80歳以上の高齢者の場合は包括的に(holistic)
   捉えなくてはいけないとしています。






私見)
 心不全の患者さんに対しては息苦しさ主体に診察してしまいますし、原因を心不全に結びつける
 傾向です。
 診察はholisticが基本の様です。






JAMA論文より.pdf

jamacardiology_conrad_2019_oi_190061.pdf













posted by 斎賀一 at 19:03| Comment(0) | 循環器