2019年12月25日

COPDの急性増悪の予防のためのβ-ブロッカー

COPDの急性増悪の予防のためのβ-ブロッカー
 
Metoprolol for the Prevention of Acute Exacerbations of COPD
N Engl J Med 2019;381:2304-14.



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 COPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者さんは増加傾向でしかも高齢者のため、心血管疾患を合併している事が多くあります。心房細動、冠動脈疾患、心不全には心臓の過剰の興奮や負担を軽減する意味で
βブロッカーを処方しますが、このβブロッカーが呼吸機能の低下に繋がらないか以前より懸念されていま
した。
しかし、最近の多くの研究ではβブロッカーが心血管疾患の軽減に繋がり結局はCOPDの入院、死亡などの急性増悪を予防しているとの報告がなされています。
そうは言っても実際の臨床現場では、依然としてCOPD患者に対して呼吸機能低下を心配し、βブロッカー
を控える傾向が続いています。
この点を以前の私のブログでも紹介しましたが参考文献も併せて下記に掲載しますので、職員の皆さん復習してください。


 今回、雑誌NEJMにβブロッカーのメトプロロール(セロケン-L)がCOPDの急性増悪を予防できるかを
調べた研究(BLOCK COPD試験)が発表になっていますので纏めてみました。
(最近はセロケン-Lを本院では処方していません。アーチスト、メインテートが多いようです。剤型が多い
 ためです。)


1) COPD患者では基礎疾患である心血管疾患が誘因となり、急性増悪による入院や死亡が起き易い。
   しかもその危険率は5倍に上がる。

2) 40〜85 歳の COPD 患者をβ遮断薬(徐放性メトプロロール)群とプラセボ群に割り付けた。
   しかも過去 1 年間の増悪歴または在宅酸素療法の処方・使用歴があることで示された、リスクの
   高い患者を登録しています。
   β遮断薬の投与をすでに受けている患者やβ遮断薬使用が確立された適応のある患者は除外して
   います。
   主要評価項目は、投与期間中の COPD の初回増悪までの期間としました。

3) 結果として、532 例が無作為化されています。患者の平均(±SD)年齢は 65.0±7.8 歳であり、
   平均 1 秒量(FEV1)は予測値の 41.1±16.3%でした。
   初回増悪までの期間の中央値はメトプロロール群 202 日、プラセボ群 222 日で、群間に有意差は
   認められなかった(メトプロロールのプラセボに対する危険率は 1.05 )
   しかし、メトプロロールは、入院に至る増悪のリスクがより高い結果でした。 危険率 1.91
   つまり、増悪による入院は、メトプロロールの投与を受けた患者のほうが多い結果でした。
   下記のB図が入院に至る増悪を示します。
    (以上、日本版をコピペ)


 
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4) 考察
   βブロッカー投与の一番の懸念である呼吸機能検査では、βブロッカー群とプラセボ群では差はありま
   せんでした。
   また、6分間歩行と副作用報告でも差はありませんでした。
   しかし呼吸困難やCOPD症状の増悪はβブロッカー群の方が多く中途での服用離脱がありました。
   この事は呼吸機能検査(スパイロメーター)では測れない症状があると言う事です。
   心筋梗塞や心不全になって間も無いCOPDの患者さんにβブロッカーを処方するのは多くの研究で
   支持されていますが、十分な検討が今後も必要であるとしています。






私見)
 臆病な私は、従来通りアーチストやメインテートをほんの少量、おまじないで処方しようと思っています。








1 慢性閉塞性肺疾患(COPD)にβ-遮断薬は有効_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf

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posted by 斎賀一 at 19:44| Comment(0) | 喘息・呼吸器・アレルギー