2019年12月03日

D ダイマー値による肺塞栓症の診断

D ダイマー値による肺塞栓症の診断
 
Diagnosis of Pulmonary Embolism with d-Dimer Adjusted
to Clinical Probability
N Engl J Med 2019;381:2125-34



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 肺塞栓症の診断は実地医家にとってハードルの高い疾患です。

 今回雑誌NEJMより、D ダイマーを用いた診断ストラテジーの研究論文が出ていましたので、纏めて
みました。個人的に混乱から抜け出られる予感が若干致します。

1) 肺塞栓症の診断の基本はCT肺血管造影検査です。
   しかし放射線の暴露の問題と費用対効果の点からも、如何に無駄な検査をしないかが問題点です。
   先ずはWell’sスコアーを用いた臨床的検査前確率(C-PTP)の評価が最も有効です。



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2) C-PTP が低く(Well’sスコアーが2点以下) D ダイマー値が 1,000 ng/mL 未満であるか、
   C-PTP が中等度(Well’sスコアーが2点)で D ダイマー値が 500ng/mL 未満の外来患者は、
   それ以上検査を行わなくても肺塞栓症が除外されると考え、前向きに研究を行っています。
   なぜならば、従来のガイドランに沿った除外診断の「C-PTP が低く、D ダイマー値が 500ng/mL
   未満の患者」は、外来ではたったの30%しかいません。
   C-PTPと D ダイマー値を組み合わせて、C-PTPが高い患者にも更に精度を上げる必要がありま
   した。

3) 2,017 例を登録し評価しました。このうち 7.4%に、診断のための最初の検査で肺塞栓症が認め
   られました。
   C-PTPが低い(1,285 例)または中等度(40 例)で、D ダイマーが陰性(すなわちそれぞれ
   1,000 ng/mL未満、500 ng/mL 未満)であった 1,325 例のうち、追跡期間中に静脈血栓塞栓症
   が認められた患者はいなかったことになります。
   このうち 315 例はC-PTP が低く、D ダイマー値は500〜999 ng/mL でした。
   C-PTP が低く D ダイマー値が 500 ng/mL 以上の場合に胸部画像検査を受けるとすると 51.9%
   が胸部画像検査を受けることになりますが、本論文のPEGeD 法により34.3%まで削減できました。
   本論文のPEGeD 法を下記に示します。  (下記のグラフが本論文の全てです。)



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          Chest imaging;CT肺血管造影 PE;肺塞栓症 VTE;静脈血栓塞栓症



4) 結論として、C-PTP が低いことと D ダイマー値が 1,000 ng/mL 未満であることを組み合わせる
   ことで、追跡期間中の肺塞栓症リスクが低い患者群が同定されました。

5) 私の本論文から受けた価値
   ・Well’sスコアーの方が、Yearsより若干有用   (下記のPDFを参照)
   ・D ダイマーの年齢調整は必要ない。  (却って50歳以下の患者をCTに暴露させてしまう。)
   ・肺塞栓症を否定しても、その後の経過観察を十分にして静脈血栓塞栓症の発生を診断する。
    (急性肺塞栓症と深部静脈血栓症(deep vein thrombosis、DVT)は1つの連続した疾患で
    あるとの概念から「静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism、VTE)」と呼称され、診断・
    治療・予防は両者を一括して行われる。)              今日の臨床サポートより







私見) 
  最後の砦がDダイマーの問題です。今、再度勉強中です。近々ブログします。
  以前のブログを下記に掲載しますので、職員の方も再度勉強してください。







本論文より.pdf

スコアーWell.pdf

ブログ D-dimer.pdf

















posted by 斎賀一 at 21:19| Comment(0) | 喘息・呼吸器・アレルギー