2019年11月13日

安全な乳児の睡眠

安全な乳児の睡眠
 
Prevalence and Factors Associated
With Safe Infant Sleep Practices
PEDIATRICS Volume 144, number 5, November 2019



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 アメリカでは、現在でも乳児突然死症候群(SIDS)が年間で3,500人発生するとの事です。
1992年、アメリカ小児学会(AAP)からの仰向け寝(back to sleep)の提唱により、SIDSは45%減少と
なっています。しかしその後は横ばいの状態で、10%しか減少していない様です。

 今回、母親からの調査とケアワーカーの報告により、アメリカの州ごとに社会的背景も加味して
現状分析した論文が雑誌PEDIATRICSに掲載されていますので纏めてみました。
(尚、アメリカでは乳児の寝かせ方は多種類ありますが、適切な用語が見つからないのでベビーベッド類と
 します。)

1) 学会が提唱している安全な乳児の睡眠は、下記の4点です。
   ・うつぶせ寝を排して仰向け寝 (back sleep position)
   ・乳児専用の安全なベビーベッド類を使用 (separate approved sleep surface)
   ・添い寝はしないで保護者と同じ部屋 (room-sharing without bedsharing)
   ・柔らかい寝具は避ける (no soft objects or loose bedding)

2) 母親からの報告では
   仰向け寝は78.0%、添い寝はしないは57.1%、柔らかい寝具を避けるは42.4%、
   乳児専用ベビーベッド類は31.8%でした。

3) 小児科医や専門のケアワーカーのアドバイスを受ける率は、州や社会構成の違いにより異なって
   いました。 (この点は本ブログでは省略します。)

4) 小児科医などの専門家からアドバイスを受けた母親は12~28%程、乳児の睡眠に対して安全を
   施していました。

5) 授乳は乳児の突然死のリスクを軽減すると言われています。
   しかし授乳により当然ながら乳児とベットを共有しますが、母親が眠気を催したら速やかに乳児を
   別のベビーベッド類に移し替える必要がある。

6) 喫煙と乳児突然死症候群とは関連性が言われている。
   また、喫煙者は乳児専用の別の寝具を使用しない場合や柔らかい寝具を避ける事も低率で、
   アメリカでは乳児の睡眠に対する安全策を怠る傾向でした。
   乳児との共通の部屋で喫煙をしないよう指導する事も大事であるとしています。

7) アメリカでは多種類のベビーベッド類が発売になっているが、その安全性は十分に検証されて
   いない。
   また本来は乳児の成長に合わせて寝具を変えていかなくてはならないが、多くの母親は一つの
   ベビーベット類でまかなっている。
    (アメリカでのベビーベット類を下記のPDFに掲載します。)





  
私見)
 アメリカにおける人種や社会的背景も本論文では指摘していますが、日本でもマスコミで取り
 上げているように、幼い子供にとって受難の時代です。
 これまで日本には、畳と言う素晴らしい家族のコミュニケーションの場がありました。





1 乳児 睡眠 Safe Infant Sleep Practices.pdf

2 ベビー.pdf







 
posted by 斎賀一 at 19:12| Comment(0) | 小児科

2019年11月11日

胃酸分泌抑制薬のザンタックに対する続報・FDAより

胃酸分泌抑制薬のザンタックに対する続報・FDAより
 
Statement on new testing results,including
low levels of impurities in ranitidine drugs
 


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 以前の私のブログでも紹介しましたが、ザンタックに発癌物質のNDMAが混入している可能性についてアメリカのFDAから続報が発表されました。
基本的にはこの不純物は低濃度との事です。


纏めますと

1) ザンタックのメーカからその後のデータを収集し、FDA自らも試験をしています。

2) ザンタックを正常の食事において服用し、胃酸や腸液に触れた後に、NDMAの生成をFDAが調べて
   いますが検出されませんでした。

3) メーカからの報告では、ザンタックに含まれていたNDMAは、食品として焼かれた肉に含まれる量と
   ほぼ同程度との結果報告です。

4) NDMAの許容範囲は  96 nanograms /日、 又は 0.32 ppmです。
   現在はこの範囲を逸脱していない様ですが、FDAは今後もメーカーと協調して監視を続ける必要が
   あるとしています。
   また、なぜザンタックにNDMAが検出されたのか、今後も調査を続けるとしています。

5) 今回は中間報告だが、ザンタックの回収は従来通りに継続するよう勧告しています。

6) 現時点ではザンタックに代わる他の潰瘍治療薬を処方するよう勧める。
   もしザンタックを以前に服用していたり今後続ける場合は、主治医と患者で十分なコンセンサスを
   とる事を勧める。

7) FDAは、患者の不明確なリスクを最大限に減少する努力を今後も採りつづける。そのためには安易
   な結論にならない様、十分な時間をかけて調査をする必要性があると述べています。






私見)
 本院でも出来る限り回収に努力して参ります。
 しかし今までに服用されてしまった方は、必要以上に心配をしなくともよいと理解しています。
 この点に関しては、直接本院のスタッフか医師にご質問ください。





ザンタック FDA.pdf










posted by 斎賀一 at 20:01| Comment(0) | 消化器・PPI

2019年11月09日

大腸内視鏡検査の前処置

                     大腸内視鏡検査の前処置
      <業務連絡> 
  


                                                             

 最近、ニフレックの服用が困難な方に、代替としてビクシリアを採用しています。
職員に頼んで服用マニュアルを作成してもらいました。 (下記のPDF参照)

前処置薬のPEGは、摂取量が多いため十分に補水が出来ていると誤解されがちですが、腸管から水分を
引いてくるため逆に脱水が心配されます。
高齢者や腎機能低下の患者さんでは、その影響は1か月も続くとの論文もあります。
大腸内視鏡検査の前後は、十分に注意して参りましょう。






1 大腸内視鏡検査を受けられる方へ2.pdf

2 大腸内視鏡検査を受けられる方へ1.pdf

3 ビジクリア飲み方 排便チェックシート.pdf







posted by 斎賀一 at 15:11| Comment(0) | 消化器・PPI