2019年09月19日

大腸癌検診に隔年の便潜血は有効

大腸癌検診に隔年の便潜血は有効
 
Diagnostic Yield of One-Time Colonoscopy vs One-Time
Flexible Sigmoidoscopy vs Multiple Rounds of Mailed Fecal
Immunohistochemical Tests in Colorectal Cancer Screening



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 隔年の便潜血反応検査(FIT)は1回ぽっきりの大腸ファイバー(TCF)や、S字状結腸ファイバー
 (SCF)よりも有効との論文がありました。


纏めますと

1) 50~74歳の症状のない30,007名を対象にしています。
   隔年のFIT群は郵送で実施し15,046名、1回だけのSCF群が8,407名、
   1回だけのTCF群が6,600名の3群の比較です。
   FIT陽性者はTCFを勧めますし、SCFで下記の所見のポリープが存在した場合は、続けてTCFを
   勧めています。(10mm以上、villous pattern、高異型性、20mm以上の過形成ポリープ、
   鋸歯状(SSA)、3個以上のポリープ)

2) 主要転帰は、其々の3群で見つかったCRC(結腸及び直腸の悪性度が高い病変)の累積数です。

3) 累積受診率はFITが77%、SCFが31%、TCFが24%です。
   累積CRC発見率はFITが4.5%、SCFが2.3%、TCFが2.2%でした。
   スクリーニング検査としての累積CRC発見はTCFが9.1%と一番高く、次がSCFの7.4%で
   FITは6.1%でした。
   スクリーニングでは陰性でも、次に大腸がんが見つかる確率は、FITで0.13%、
   SCFで0.09%、TCFで0.01%でした。

4) FITはCRCを発見するスクリーニング検査としては、十分にその価値があると結論づけています。
   本論文でのCRCは、大腸癌を直接意味しませんので注意してください。
   又、FITとはこの場合に便潜血陽性を意味します。







私見)
 スクリーニング検査としての精度はTCFが勝りますが、累積受診率はFITがTCFの3倍もあり、当然その
 結果、FITの累積発見率は一番高くなります。
 ザックリと言って、FITが陽性の場合に悪性度が高い結腸病変の確率は20人に1人ですが、スクリー
 ニングとしてTCFを行った場合は10人に1人の割合となります。


 そこで本院からの提案は

 ・少なくとも2年に1回は、便潜血反応の検診を受ける。
  検診目的で大腸ファイバーを希望する場合は、原則10年に1回は受けてください。
 ・一回でも便潜血が陽性ならばそれは確率の問題なので、それ以上便潜血検査を行っても意味がない。
  次のステップとして、大腸ファイバー検査を受けてください。
 ・痔のある方は便潜血検査を受けずに、10年に1回の大腸ファイバーでの検診を受けてください。

尚、以前のわたしのブログも参照ください。 (便潜血で検索)
便潜血陰性の場合の、偽陰性が問題です。






Diagnostic Yield of One-Time Colonoscopy vs One-Time Flexible Sigmoidoscopy .pdf






posted by 斎賀一 at 14:07| Comment(1) | 消化器・PPI

2019年09月18日

胃癌予防の三種の神器

胃癌予防の三種の神器
 
Effects of Helicobacter pylori treatment and vitamin and garlic
supplementation on gastric cancer incidence and mortality



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 以前から提唱されている胃癌の予防として、・ピロリ菌の除菌・ビタミン剤のサプリ・ニンニクがあります。
今回中国の研究者から22年間の追跡調査が発表になりました。同じ研究者から以前に15年間の報告がありましたが、更に期間を延長しての論文です。



纏めますと


1) 中国の胃癌の多発地域(山東省)に対して調査を行いました。
   この地域は栄養的に偏っているとの事です。(しかしこの設定自体が本論文の限界を示しているとも
   指摘されています。)

2) 山東省の住民3,365名を登録
   血清学的に、ピロリ菌陽性の2,258名と、陰性の1,107名を抽出しています。
   ピロリ菌陽性者は  ・2週間の除菌 ・ビタミンサプリ ・ニンニクサプリ の3群に対して、
   コントロール群と其々比較検討する2×2×2を実施しました。
   一方のピロリ菌陰性者は  ・ビタミンサプリ ・ニンニクサプリ の2群とコントロール群を
   比較した2×2を行っています。
   尚ビタミンサプリとニンニクサプリの2群は、平均で7.3年間服用しています。

3) 1995~2017年間で151例(4%)の胃癌が発生し、胃癌関連死亡は94例(3%)でした。
   ・22年間の経過観察でコントロール群と比較して、胃癌発生の危険率は
     除菌群の危険率は0.48
     ビタミン群では0.64
     ニンニク群では0.81 でした。
   ・22年間の胃癌関連死亡例の危険率は
     除菌群の危険率は0.62
     ビタミン群では0.48
    ニンニク群では0.66でした。
     其々の3群では効果に時間差がありました。  ※下記のPDF参照
  
4) 本論文では、ピロリ菌感染と大腸がんの発生に関して関連性は証明できませんでした。
   更に次の要は見解を記載しています。
   ピロリ菌の胃癌に関する発癌機能は早期に起るので、除菌が遅れると高齢者ではその効果がない
   とする論文があるが、ピロリ菌除菌は腸上皮化生の発生には変化を及ぼさないが、萎縮を改善し
   慢性胃炎の程度も軽減し、更なる腸上皮化生の進展を防いでいる。
   更に55~71歳の高齢者で腸上皮化生があっても、除菌の効果があるとする研究報告もある。
   よって除菌が遅れても発癌を予防出来る事が証明されている。
   推論だが、除菌によりピロリ菌以外の発癌性の菌もなくなり、その後の胃癌の予防にも繋がるため
   高齢者も若い人と同様の除菌効果があるとしています。



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私見)
 勿論、私は総合ビタミン剤とニンニクを愛用しています。
 しかし 4) の見解はやや強引すぎる展開ではないかと思います。
 腸上皮化生がある種の胃癌の発生母地である事は間違いないのですが、除菌との関係は更に勉強を
 したいと思います。
 但し高齢者に対しても除菌の効果はある程度ありそうです。






Helicobacter pylori treatment.pdf














 
posted by 斎賀一 at 19:05| Comment(1) | 消化器・PPI

2019年09月17日

成人の喉頭蓋炎

成人の喉頭蓋炎
 
Epiglottitis n engl j med 381;9 nejm.org August 29, 2019



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 以前に私のブログで紹介しましたが、(クループで検索)クループ症候群と急性喉頭蓋炎は似て非なる
ものです。実地医家にとっては鑑別が重要になります。
小児の場合は、保護者の方にもこの点を理解してもらう必要があります。
成人の急性喉頭蓋炎の病態を、リアルに示した画像がNEJMに載っていましたので、ブログします。
また、以前のブログで纏めたPDFも再度下記に掲載します。

 この機会に「今日の臨床サポート」より纏めてみました。患者用PDFも拝借します。


1) 嚥下困難を伴う強い咽頭痛を訴える症例や、声がおかしい(含み声)と訴える症例では、急性喉頭
   蓋炎を想起し鑑別に置くことが重要である。
   咽頭痛や嚥下痛が強いわりに中咽頭の炎症所見は軽微である場合は、喉頭蓋炎も疑う。
   初期から呼吸困難を呈するとは限らないので、嚥下困難を伴う咽頭痛を訴える症例では急性喉頭
   蓋炎を疑う必要がある。舌根、喉頭蓋の腫脹のため構音障害(含み声)を呈することがある。

2) わが国では2.5〜10人/10万人程度の発症頻度との報告があり、2〜3倍男性に多い。
   小児の発症は近年減少傾向で、40歳代に発症ピークがあり季節性はないとされるが、高温の時期
   に多い傾向があるとの報告もある。

   小児では急激に浮腫が進行することが多い。
   成人では嚥下困難を伴う強い咽頭痛、発熱を訴えることが多い。
   呼吸困難の有無を必ず聴取する。

3) 原因菌はH. influenzaeをはじめ、多菌種が原因となり得る。

4) このほか、喉頭浮腫を来す疾患・病態として心疾患、低蛋白血症、種々のアレルギー、血管性浮腫、
   頚部への放射線照射、頚部手術(頚部郭清など)、上大静脈症候群などがあり、鑑別を要する。






私見)
小児も成人も常に経過観察と共に、鑑別診断として頭に置いておかなくてはならない様です。






1 Epiglottitis.pdf

2 患者用喉頭蓋炎.pdf

3 喉頭蓋炎.pdf











posted by 斎賀一 at 20:49| Comment(0) | 喘息・呼吸器・アレルギー