2019年08月16日

大腸ポリープの危険率

大腸ポリープの危険率
 
Long-term Risk of Colorectal Cancer After Removal
of Conventional Adenomas and Serrated Polyps



0816.PNG




 前回のブログと同じような内容の論文ですが、纏めてみました。


1) 1989~2013年の間に、大腸ファイバー(S字状結腸スコピーを含む)を受けた123,000名を対象と
   しています。経過観察は平均で10年です。

2) 結果は、ポリープがない人を比較対象とし、10年後の結腸直腸癌(CRC)の発生を危険率で表して
   います。

   ・どの様なポリープでもあれば、その危険率は 2.61
   ・進行性のポリープは  4.07  (10mm以上、グループ4、絨毛状パターン)
   ・進行性でないポリープでは  1.21
   ・全ての鋸歯状ポリープは  1.52
   ・10mm以上の鋸歯状ポリープは  3.35
   ・10mm以下の鋸歯状ポリープは  1.25





私見)
 どのようなポリープでも10mm以上ならば、その後他の部位に進行性の大腸腫瘍が発生する危険率が
 高くなるので、3年後の再検が必要となります。
 しかし10mm以下ならば、新たに他の部位にCRC(結腸直腸癌)が発生する危険は低いので、10年後
 に再検でも良いようです。
  (本院では5年後に再検をお勧めしています。)






Long-term Risk of Colorectal Cancer After Removal of Conventional Adenomas a.pdf









posted by 斎賀一 at 20:04| Comment(0) | 消化器・PPI

2019年08月15日

普通の大腸ポリープは癌にならない。 一つの見識!

普通の大腸ポリープは癌にならない。
一つの見識!

Baseline Colonoscopy Findings Associated with 10-Year
Outcomes in a Screening Cohort Undergoing Colonoscopy 
Surveillance



0815.PNG


 

 ブログのタイトルが週刊誌的で申し訳ありません。
若干の説明をしますと、最初に診断された大腸ポリープがグループ3(つまり進行性でない)の場合には、
その後の10年間の経過観察でも、他の部位に大腸がんが発生する率は低いとの報告がありました。

纏めますと、

 1) 一度、スクリーニングで大腸ファイバーを実施した50~75歳の無症状の人を
    対象にしています。1,915名を登録しています。
    経過観察期間は10年間か、又は死亡までとしています。

 2) 10年間の経過で、146名に進行性の腫瘍を認めています。
    最初の登録時(ベースライン)に結腸直腸癌(CRC)のあった人は、10年後、他の部位に
    進行性腫瘍が43.7%認められました。
    ベースラインで進行性のポリープ(腺腫性)があった人は、10年後にCRCは21.9%です。
    ベースラインで良性の1cm以下のポリープが1〜2個の場合は、CRCの発生は6.3%です。
    ベースラインにポリープもない正常者は、CRCの発生は4.1%でした。
  
    結局、良性でグループ3の1cm以下のポリープが1〜2個ある程度なら、その後の危険率は、
    0.96と低い結果でした。

 3) 結論として進行性のポリープや、大きい鋸歯状ポリープの場合は、ガイドラインに則って
    3年ごとのスクリーニングが必要ですが、1cm以下のポリープなら長期での経過観察でも良い
    としています。

 4) 大腸ファイバー検査は、それなりに侵襲的で、患者さんにも負担をかけます。
    更に、現在のガイドラインは専門的で、高度な文献より引用された内容に従っており、
    今後は色々なリスクのある患者に対して適切な対応をするには更なる研究が待たれると
    しています。



私見)
 消化器系のガイドラインや検診の内容をみますと、専門家のご意見が満載で
やや抵抗感を持ってしまいますが、本論文の主旨を鑑みますと、本論文の研究者に何となく
拍手喝采の気分です。




Baseline Colonoscopy Findings Associated with 10-Year Outcomes in a Screenin.pdf









posted by 斎賀一 at 19:47| Comment(1) | 消化器・PPI

2019年08月09日

咳喘息とアトピー咳嗽

咳喘息とアトピー咳嗽



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 最近は、患者さんが診察前にネットで自己診断してから来院する事が多くなりました。
咳が長引く場合は特にその傾向です。
咳喘息はあまりにもポピューラーになってしまい、診断名が独り歩きしている感もあります。
ワンポイントアドバイスでもこの点を指摘していますので、同時に掲載します。
この機会に書籍より抜粋し纏めましたので、夏休み中に職員の方は勉強してください。



咳喘息の特徴

 ・就寝後、深夜〜早朝に悪化して目を覚ます。
   (感染後咳嗽は寝入りばなに多く、咳でなかなか寝就けない。
    COPDは痰が朝に溜まるので、朝起きた時に多い。逆流性食道炎は昼間、会話中に多い。)

 ・1年の中で季節性がある。
 ・聴診上は異常ない。
 ・気管支拡張薬(サルタノール、ホクナリンテープ、テオドール、ユニフィルなど)が有効
 ・ステロイド吸入や抗ロイコトルエン薬(シングレラ、キプレス)を、最初から使用するのも良い。
 ・シンビコートの吸入を、中等度症状に用いる選択肢もあり。
 ・30%が喘息に移行する。


鑑別としてアトピー咳嗽も重要です。


アトピー咳嗽

 ・時間帯は就眠時、深夜から早朝、起床時、早朝の順に多い。
 ・アトピー素因を有する中年の女性に多い。
 ・喉の掻痒感を訴える。
 ・気管支拡張薬は無効
 ・ステロイド吸入薬が有効
 ・ヒスタミンH1拮抗薬が有効  (アゼプチン)
 ・喘息には移行しない。




私見)
 長引く咳を診断する際に、色々なストラテジーが提唱されています。
 問題点は鑑別疾患を除外した先に初めて咳喘息、アトピー咳嗽、逆流性食道炎などが疾患群として
 現れます。ストラテジーを運用する際には意外に落とし穴があります。





◆参考書籍及び文献

 ・ドクターサロン   文献を下記に直接掲載
 ・Medical practice のone point advice   直接掲載
 ・咳の診かた止め方   羊土社
 ・咳嗽に関するガイドライン 第2版   一部抜粋を下記に掲載
 ・咳喘息と類縁疾患の診断と治療 小児科  V.50 N.5 2009   石浦善久
 ・レジデントノート  V.18 N.6 2016
 ・止まらないせきの診かた   南江堂
 ・誰も教えてくれなかった風邪の診かた   医学書院
 ・長引く咳の診断と治療 日本医師会雑誌   V.142 N.6 2013
 ・長引く咳のアプローチ 小児科   V.58 N.7 2017







咳喘息.pdf

1 咳喘息One Point Advice.pdf

2 咳喘息1.pdf

3 咳喘息.pdf

4 咳噺に関するガイドライン第2版抜粋.pdf

5 吸収剤 止まらないせきの診かた.pdf

6 咳喘息患者に対する早期SMART療法導入治療について.pdf









posted by 斎賀一 at 22:16| Comment(1) | 喘息・呼吸器・アレルギー