少量アスピリンは手術の前に中止すべきか
Should we stop aspirin before noncardiac surgery?
抗血小板薬の少量アスピリンは血栓性疾患(冠動脈疾患、脳梗塞)の二次予防に有効な薬剤ですが、手術の際には休薬による血栓性疾患の再発と、継続服用による出血のリスクとを勘案しなくてはなりま
せん。
今回雑誌のCLEVELAND CLINIC JOURNAL OF MEDICINEに総説が載っていましたが、的確な
図表が掲載されていますので、ブログして本院も参考にいたします。
色々な研究論文(study)が簡単に紹介されていますが、それらを纏めてみますと
1) 冠動脈疾患のない人が手術をする際は、出血のリスクが利点より上回るので、少量アスピリンは中断
する。
2) 利点がリスクを上回るならば、重大な心血管疾患の再発が心配されるため、少量アスピリンは継続を
検討する。
3) PCI(経皮的冠動脈形成術)を行っている患者はステントの種類に関係なく、少量アスピリンは中断
せず継続服用する。
4) 以前ステントによるPCIを行っている患者で、現在は少量アスピリンを服用していなくても、禁忌で
なければ専門家と相談して、少量アスピリンの再開を考える。
下記にストラテジーの図をPDF化して掲載します。
補足説明しますと
・手術は下記の3種類に分けられる。
a : 緊急性】 生命や四肢切断の危険があるため、6〜24時間以内に実施する場合
b : 悪性手術などの時間的にある程度余裕がある場合】 1〜6週間以内に実施の予定
c : 待機的】 1年以内の手術が予定できる。
・手術の時間的な危険範囲は、バルーンでは14日以内、ベアメタルステントでは30日以内、薬剤溶出性
ステントでは6カ月以内です。
PCI治療をしている場合は、一般的に12カ月程度手術を遅らせる。
しかし、手術をする利点がステント内の再血栓のリスクを上回るなら、3〜6カ月で検討する。
私見)
アスピリンは論争のある薬剤です。
だからこそ、きめ細かい対応が必要なようです。
本論文より.pdf
Should we stop aspirin.pdf