2019年07月24日

低血糖発作と直近のヘモグロビンA1cの関係

低血糖発作と直近のヘモグロビンA1cの関係
 
Proximal HbA1C Level and First Hypoglycemia
Hospitalization in AdultsWith Incident Type 2 Diabetes
J Clin Endocrinol Metab 104: 1989–1998, 2019



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 今までの研究では、重症の低血糖発作とヘモグロビンA1c(以降A1cと略)は逆相関、U-型、と関係が
あまりないなどと色々でした。
最初の重症低血糖発作(以降は低血糖と記載)はその後の低血糖発生の予測因子ともなり、重要なポイントである事は証明されています。
 今回の論文ではその事を踏まえて、U型糖尿病と診断されて最初の入院を要する重症低血糖発作と、その直近(3か月以内)のA1cとの関係を調べています。



纏めますと

1) 1997~2014年間で、U型糖尿病と診断されて最初に重症低血糖発作を起こした304例と、低血糖
   発作を起こしていないコントロール群の302例を比較しています。
   対象者はインスリン製剤、SU剤(本院では現在、アマリール、グリミクロン)
   その他としてメトグルコ、DPP-4阻害薬、アクトスがあります。
   SGLT-2阻害薬、GLP-1製剤は低血糖発作を起こしていませんでした。
   A1cは低血糖の90日以内に測定出来た群を採用して、同じような疾患群をコントロール群として
   います。

2) A1cは本論文の比較基準値として、7.0を設定しています。
   A1cが正常値に近い6.0での低血糖の危険率は1.58で、コントロール不良のA1cが9.0では、
   危険率は1.48とほぼ同じでした。
   A1cが4.0~6.5ではA1cが0.5%づつ増加する毎に低血糖の危険率は下がりますが、逆にA1cが
   8.0~11.5では、0.5%増加する毎に低血糖の危険率は増加します。

3) インスリン製剤の使用者はU-型を認めますが、SU剤を使用している患者にはU-型は認められま
   せんでした。
   インスリン製剤ではA1cが8.0以上で低血糖発作が66%出現し、SU剤ではA1cが7.0以下で62%
   が低血糖発作を起こしていました。
   しかし、低血糖発作を起こす前には78%がインスリン製剤、またはSU剤を使用していました。

4) 結論としては、糖尿病のコントロールが不良の場合とA1cが正常値に近い場合に、最初の低血糖
   発作が起きやすいとの結果です。






私見)
 下記のPDFのグラフで解説します。
 また以前の文献も掲載します。

 本論文の主旨は、最初の重症低血糖発作の予測因子としてA1cが可能かとの点です。
 一般的にはU-型と理解しています。血糖コントロールが良ければ低血糖は起きないと理解していました
 が、患者さんのライフスタイル、薬剤の種類、年齢、腎機能なで複合的に関与する因子があります。
 A1cが正常なら良しとか、A1cが高値ならばインスリンを増加しても低血糖は起きないだろうといった
 考えが危険だとする論文のようです。
 ザックリと言って問題ですが、取り敢えずA1cは 7.0 を目標とするのが安全でしょうか?
 更にコントロールの介入が必要とする場合は、インスリンならライフスタイルに合った量調整(フレクシ
 ブル)が大事ですし、経口薬ではSGLT-2阻害薬や、注射薬のGLP-1製剤を追加するのが無難な感じ
 です(?)






1 低血糖 本論文.pdf

2 Proximal HbA1C Level and First Hypoglycemia Hospitalization in Adults With I.pdf

3 HbA1c andRisk of SevereHypoglycemia.pdf














posted by 斎賀一 at 19:21| Comment(2) | 糖尿病