2019年06月06日

Q熱

Q熱
 
Q Fever in Southern California, a Case Series
of 20 Patients from a VA Medical Center



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 Q熱という病名はQuery fever「不明熱」に由来します。病原菌はコクシエラ・バーネッティイによる動物由来感染症です。急性と慢性があります。
急性Q熱は50%が不顕性感染、40%がインフルエンザ様の一過性の発熱、残りの数%は肺炎型、肝炎型、不明熱型の重症例です。
慢性Q熱は6カ月以上持続する場合で、主として心内膜炎の病型をとり予後が不良です。
 今回アメリカの南カルフォルニアから20例の報告がありました。
以前のCDCからの報告とは異なり、急性から慢性に移行する率は20%で、診断の遅延が予後の不良に繋がると警告しています。
下記の雑誌小児科のPDFにも掲載していて日本では稀な疾患とされていますが、実態はアメリカと同様に氷山の一角かもしれません。


心に留めつつ纏めてみますと

1) 以前の報告では急性Q熱から慢性Q熱の移行は5%以下とされていましたが、本論文では21.4%と
   高率でしかも診断の遅延が予後の不良に繋がり、17年間の経過で死亡率は10%でした。

2) 病原菌のコクシエラ・バーネッティイが、風とほこりに乗って遠くまで到達する可能性がある。
   従って発生は春から初夏が多い。
   30%は動物との接触を証明されていない。




私見)
 下記の文献より抜粋しましたが、日本では診断が保険適応になっていません。
 専門の施設に依頼する事になりますが、数万円かかるとの事です。
 インフルエンザのシーズンでなくインフルエンザ様症状の時にはQ熱も鑑別疾患として捉えるか、経験的
 に抗生剤を投与するかが問題です。

  ・インフルエンザ様症状
  ・肺炎
  ・肝障害
  ・不明熱
  ・心内膜炎、感染性の動脈瘤

 以上の時には鑑別疾患として、Q熱も考慮する必要がありそうです。




◆参考文献

 1) ペットからの感染症 ; 小児科  Vol.54 No.1 2013
 2) 不明熱の臨床 ; Medical Practice vol.33 110.7 2016
 3) 今日の臨床サポート
 4) CDC






1 熱q.pdf

2 本論文の表.pdf

3 Q熱文献より.pdf

4Q4 fever.pdf














posted by 斎賀一 at 15:27| Comment(0) | 感染症・衛生

2019年06月04日

乳児の睡眠関連死とチャイルドシート

乳児の睡眠関連死とチャイルドシート
             <短 報>
Infant Deaths in Sitting Devices




 チャイルドシートやベビーカーにおける睡眠時の乳児死亡は、それらの装置を運転に使用していない
時に起きています。


1) 2004~2014年に懸けて、12,000例の睡眠関連死がありました。
   その中の348例は、乳児の座るための装置で起きています。
   一番多いケースはチャイルドシートでしたが、そればかりでなくバウンサーやベビーカーでも起きて
   いました。

2) 1/2から3/4は、車内ではなく自宅で起きています。
   特に自宅では、親でなくベビーシッターや他の育児提供者の監視下で起きていました。

3) 保護者も、又育児提供者やベビーシッターも監視し易いからと、座るための装置を利用しがちですが
   その装置は決してベビーベッドではないという事を、十分に教育する必要があると述べています。





私見)
 アメリカでは日本よりベビーシッターの普及が多いと推測されますが、それらの方々の多くが献身的に
 育児をサポートされています。ただ便利な座るための装置には、必ず盲点がある事も認識する必要が
 あります。






小児科.pdf









posted by 斎賀一 at 20:23| Comment(1) | 小児科

2019年06月03日

軽症喘息にシムビコートの頓用吸入は有効

軽症喘息にシムビコートの頓用吸入は有効
 
Controlled Trial of Budesonide–Formoterol as Needed for Mild
Asthma This article was published on May 19, 2019,at NEJM



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 SMRT研究以降、軽症喘息に対してシムビコート(ブデソニド+ホルモテロール)の発作時での頓用吸入は認められています。持続性気管支拡張薬(LABA)のブデソニドは、トータルアゴニストのため増量に依存して効果が増加し、しかも持続性なのに即効性の効果発現も期待される薬剤です。それを配合しているシムビコートは、喘息のコントローラー(維持治療)にもリリーバー(発作治療)にも適応されています。
(下記のPDF参照)

今回雑誌NEJMより、シムビコートを軽症喘息の発作時に頓用で使用した場合の有効性を示した論文が掲載されました。


纏めますと

1) 軽症喘息の成人を対象とする52週間の比較試験を行った。
   患者を次の3群のいずれかに無作為に割り付けた:
   ・アルブテロール(本邦ではサルタノール)( 1 回噴霧 100μg を 2 吸入を発作時に頓用)
    (アルブテロール群)
   ・ブデソニド(200μg の 1 吸入を 1 日 2 回)+アルブテロール頓用(ブデソニド維持療法群)
   ・ブデソニド+ホルモテロール(商品名シムビコート;ブデソニド 200μg ・ホルモテロール6μg
    の 1 吸入を頓用)(ブデソニド+ホルモテロール群) の3群です。

2) 無作為化された 675 例のうち 668 例を解析の対象とした。
   ブデソニド+ホルモテロール群の喘息増悪の年間発生率は、アルブテロール群よりも低く(絶対的
   発生率 0.195 対 0.400)、ブデソニド維持療法群との間に有意差は認められなかった。(絶対的
   発生率 ブデソニド+ホルモテロール群 0.195 対 ブデソニド維持療法群 0.175)
   重度の増悪の回数は、ブデソニド+ホルモテロール群がアルブテロール群(9 回 対 23 回)と
   ブデソニド維持療法群(9 回 対 21 回)よりも少なかった。

3) 若干の追加説明
   ・従来の研究ではプラセボを用いての1日2回吸入器を使用する事を要求していたが、これでは
    シムビコート1回吸入の利点が損なわれる。
    よって本試験では、非盲検試験の方法を採用しています。
   ・過去1年間で重症の増悪があった患者に対しては、SABA(アルブタノール)の使用制限は設けて
    いません。
   ・喘息の急性増悪の定義
    a. かかりつけ医や救急の受診、入院
    b. ステロイドの全身投与(経口薬、点滴)
    c. 24時間でアルブテロール吸入を16回、又はシムビコート吸入を8回以上
   ・重症な急性増悪の定義
    a. 3日間のステロイドの全身投与
    b. ステロイド全身投与が必要なため入院

   ・β刺激薬の過剰投与は24時間以内でアルブテロール吸入を24回以上か、シムビコートを12回以上
    尚 7 日過ぎたら別の事象としてカウント
   ・治療の変更が必要と認めた時
    a. 1 回の重症な急性増悪
    b. 3 回の急性増悪

4) 理論的根拠
   ・SABA単独の治療は予後転帰の不良に繋がる。
   ・急性増悪の場合に、30分間隔で2 時間以上かけての吸入ステロイドの4 倍量は、ステロイドの
    全身投与より有効
   ・即効性のLABAつまりブデソニドは、SABAつまりアルブテロールより即効性においても効果的
    である。

5) 考察  
   ・喘息患者の治療の本来の目的は、急性増悪の予防ばかりでなく日常生活でのQOLだ。
    従って、軽症以上の喘息患者に対する吸入ステロイド配合剤の継続治療の選択肢は当然あるが、
    増悪の予防としてのシムビコートの頓用は有効である。
   ・繰り返しての吸入ステロイドは経口ステロイドよりも効果的と言われている。特に成人での4倍の
    吸入ステロイドは、急性増悪の時でも有効である。
   ・β刺激薬としてのSABAのアルブテロール2吸入とLABAのブデソニドの1吸入は、即効性の気管支
    拡張作用としても同等でした。
    (SABAは短期作用型気管支拡張薬で、LABAは長期作用型気管支拡張藥です。ブデソニドは
     シムビコートに入っているLABAです。)

6) 結論として、軽症喘息の成人を対象とした非盲検試験では、ブデソニド+ホルモテロール頓用は
   アルブテロール頓用よりも喘息増悪の予防に優れていた。





私見)
 喘息発作は二度、波が押し寄せてくることがあります。一回目は気管支拡張薬で対応できますが、
 二回目の波はステロイドを当初より含んでいないと襲ってくるといわれています。
 本院ではブデソニドがシムビコートとフルティフォームに入っています。
 両者ともに1日最大で8吸入が認められています。
 シムビコートとフルティフォームを頓用として、1日4〜8回までを積極的に使用しようと思います。
 (急性増悪の定義からしても妥当な線だと考えます。)
 当然ながらQOLを目的として、アドエアを始めとした他の合剤も選択肢と考えています。
 結果のグラフも下記のPDFをご参照ください。





1 論文より .pdf

2smart研究.pdf

3配合剤.pdf




















    
posted by 斎賀一 at 21:46| Comment(1) | 小児科