2019年06月20日

溶連菌感染症にはペニシリン系

溶連菌感染症にはペニシリン系
                      ~日経メディカルより~


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 日経メディカル、に年長児が溶連菌と診断された時の抗生剤は、以前と同様にペニシリン系が第一選択として推奨されているとの記事が載っていました。本院ではパセトシンとワイドシリンです。時にバイシリンも処方します。
現段階でも耐性菌はほぼありません。しかも記事では、一日一回から二回の服用でも効果があるとしています。

 これを機会に溶連菌について勉強してみました。
下記のPDFをご参照ください。


勉強の結果を纏めてみますと

1) 一般的には溶連菌の分類はLncefield分類を用いています。
   しかし最近の遺伝子学の進歩により菌種が同定されています。下記にハリソンの表を掲載します。
   咽頭炎の代表はgroup A streoptoccocus(GAS)です。
   新生児や妊婦に関係する侵襲性溶連菌感染症はGBSが注目されていますが、人食いバクテリアと
   して知られるようになった劇症型は、GCSとGDSがあります。
   大雑把に言って劇症型(多臓器不全)まで至らない場合が侵襲性(敗血症、髄膜炎)と定義している
   ようです。
   最近の研究により、劇症型はGAS,GBS,GCS,GGSも関与している事が判明してきました。
   突然に同じ菌種でも臨床症状が変化する事もあり、一概にgroup分類では片づけられない様です。



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         ハリソンの内科書より




2) GAS感染症後の二次症としては、リウマチ熱と溶連菌感染後急性糸球体腎炎(APSGN)が代表的
   です。
   抗生剤の時代にリウマチ熱は現在殆ど見られなくなっています。
   またAPSGNに関しては、抗生剤で発症予防が出来ないとする報告もありますが、もともと発生頻度
   が低いという事と不適切な治療、顕微鏡的血尿で発見されることもあるため、その真偽は明白では
   ありません。
   ともあれ感染後の10日目に尿検査を勧めていますが、保護者に余計な心配をさせない意味で
   ルーチンな尿検査はせずに浮腫、血尿(コーラ様)が出現したら、受診を勧めても良いとして
   います。
   本院では一か月後の尿提出をお願いする場合もあります。
   APSGNは予後が良い事もその背景にあります。

3) GASの咽頭迅速検査(ストレプトA)に関しては感度が良い(90%)とする文献と、低い(60%)と
   する報告もあり、まちまちです。
   検査の実施には注意が必要だと思います。

4) 溶連菌感染症の皮膚症状にも要注意です。
   特にブドウ球菌、ジベルバラ色粃糠疹、薬疹などとの鑑別です。

5) 溶連菌感染後反応性関節炎(PSRA)の存在も知っておく必要がある。

6) 治療に関しては長い論争があります。
   バイシリンの14日間療法、パセトシンの10日間療法、バナンの4日間療法などです。
   其々に一長一短があります。ペニシリン7日間療法も下記のPDFで紹介しました。
   (基本的には本院ではパセトシンの7日間療法です。しかし化膿性扁桃腺炎などは混合感染の心配
    もあり広域セフェム系を最初より処方しています。)





私見)
 溶連菌感染症は古くて新しい問題です。





  ◆参考書籍

  小児科Vol. 59 No. 11 2018 ; 特集 溶連菌感染症を見直す
  小児プライマリ・ケアガイド ; 羊土社
  Medical Practice 2019 vo l. 36 臨時増刊号 ; 実践的感染症診療
  小児科Vol. 58 No.l3 2017 ; 感染症迅速診断キットを見直す
  外来腎疾患診療 ; 南山堂
  一発診断100 ; 文光堂
  皮膚疾患アトラス ; 羊土社





T溶連菌感染症の勉強.pdf

2溶連菌治療は本当にペニシリンでいいのか.pdf

3ハリソンより レンサ球菌および腸球菌による感染症.pdf

4溶連菌感染症.pdf

5溶連菌感染症.pdf











posted by 斎賀一 at 19:51| Comment(0) | 感染症・衛生

2019年06月17日

閉塞性肺疾患(COPD)における吸入剤

閉塞性肺疾患(COPD)における吸入剤 LABA+LAMAとLABA+ICSの比較
 
Comparative Effectiveness and Safety of LABA-LAMA vs
LABA-ICS Treatment of COPD in Real-World Clinical Practice



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 以前の私のブログ(COPDで検索)をご参照ください。
(気管支拡張には交感神経が関与しています。その反対の副交感神経を抑制すれば、間接的に気管は
拡張します。交感神経を刺激する方が、副交感神経を抑制するより効果は高い事が予測できますが、交感神経の刺激は心臓をも興奮させてしまう懸念があります。また、現在の交感神経刺激薬は気管支に特化していると言われています。長期に持続して作用する交感神経刺激薬がLABAで、副交感神経抑制薬がLAMAです。)
 ブログで紹介した以前の論文と同様の結果ですが、今回の論文でも再確認してみます。


1) COPDの治療は、ガイドラインでLABAとLAMAのどちらかが最初に勧められていますが、コント
   ロールが不良の時には更にstep-upして、LABA+LAMAを推奨しています。
   今回の論文ではLABA+LAMA とLABA+吸入ステロイドとの比較研究です。

2) 2002~2015年に懸けて、55歳以上(平均72歳)のCOPD患者を登録しています。
   LABA+LAMAの群が1,977名で、LABA+吸入ステロイドの群が同数の1,977名です。
   両群とも平均で3か月間は初期の治療を継続しています。
   1年間の経過観察で、中等度以上のCOPD急性増悪の頻度(ステロイドの全身投与か入院を
   増悪と定義)を主要転帰としています。

3) LABA+LAMAはLABA+吸入ステロイドと比較して、中等度の急性増悪の危険率は1.04で、重症
   の危険率は0.94でした。
   入院を必要とする肺炎の危険率は0.66でした。(LABA+LAMAが5人/100人でLABA+吸入ステ
   ロイドが8人/100人)

4) 急性増悪の予防効果は両群で同程度でしたが、肺炎の危険率は LABA+LAMA に比べてLABA+
   吸入ステロイドの方が悪い結果でした。





私見)
 COPDの治療でstep-upの時には、LABA+LAMAが有効との結果です。
 喘息を合併していたり、好酸球増加がある事はステロイド吸入を追加する選択肢もあります。
 そのような時には最近発売になっています LABA+LAMA+吸入ステロイドの3つの合剤も利便性が
 ありそうです。
 但し若干の肺炎の合併にも注意が必要となります。









1 Treatment of COPD.pdf

2 気管支拡張薬外用剤型一覧(1).pdf

3 テリルジー 3成分配合.pdf












posted by 斎賀一 at 21:16| Comment(0) | 喘息・呼吸器・アレルギー

2019年06月15日

造影剤による急性腎障害

造影剤による急性腎障害
 
Contrast-Associated Acute Kidney Injury
  N Engl J Med 2019;380:2146-55.


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 造影剤における腎障害に関しては、直接的及び間接的に腎臓に作用すると考えられています。

今回雑誌NEJMより総説が載っていましたので読んでみました。
但し残念ながら知見が混とんとしていて、読んでいても更に迷路に入ってしまったようで、すっきりと理解
できませんでした。しかし流石はNEJMで、そんな中で光を放つ内容もあり、私なりに曲解し箇条書きに
して纏めてみました。

1) クレアチニン値は、腎障害の程度の指標にならない事がある。
   薬剤の影響と体液量の変化によって、クレアチニン値は変動するからである。
   わずかな増加でも腎障害に繋がる事もあれば、低下が悪化のサインである事もある。
   兎も角も変動に注意する必要があるが、如何に判断するかは今後の課題である。

2) 検査前の患者の腎機能が、リスク評価にとって重要である。
   糖尿病とCKD(慢性腎臓病)はリスクの独立因子として、相互的に腎障害を悪化させる。

3) 低浸透圧と等浸透圧の造影剤がリスク軽減のために推奨されている。
   しかし、どの程度の量が適正かは未だ判明していない。
   造影剤が350ml以上、72時間以内での再度の使用はリスクとなる。
    (イオン性でなく非イオン性が日本でも推奨されています。
     イオン性の場合はイオン化により浸透圧が倍になるからとしています。)

4) 疾患によってはそのリスクは増加する。
   特に心電図でST上昇を伴う心筋梗塞の血管造影はリスクが高い。

5) 繰り返しになりますが、造影剤の検査後にクレアチニンがわずかに増加しても、又逆に低下しても
   徐々に腎機能が低下する事があるので、90日間の観察が必要となるケースもある。
   つまりクレアチニン値は造影剤で揺れる。 (fluctuation)

6) 研究(study)によっては、造影剤検査で腎障害がそれほど発生しないとする報告もある。
   しかしそのような研究は、ハイリスクの患者は事前に研究から除外されている。
   それでも造影剤検査後の重大な副作用(透析など)の頻度は、0.3%と低率である。
   だからと言って、造影検査は安全とも断定できない。 (私の訳が煮え切らないのでしょうか?)

7) 造影検査前後の輸液点滴も効果があると言う報告もあるが、ないとする発表もある。
   しかし著者は、短期的な輸液点滴を勧めている。
   従って、造影検査の1~3時間前と検査の6時間後に行う。
   ただし、輸液の量が多い方が良いかは不明である。

8) アセチルシステインは安価で予防に有効との研究もあるが、無効とする報告も散在している。

9) 脂質異常症の治療薬であるスタチン系には、予防的効果は無い。
   しかし当然ながら、心血管疾患の患者が対象なので、スタチンは継続服用を勧める。

10) 腎障害を誘発する薬剤、例えば利尿薬、降圧剤のARB、鎮痛解熱剤(NSAIDs)などは中止する
   事が適当だとするはっきりしたエビデンスはない。
   特に糖尿病治療薬であるメトグルコの一時的休薬は周知の事実であるが、それは直接的な腎障害
   ではなく、腎障害が発生した場合の乳酸アシドーシスの懸念からである。

11) まず患者のリスク評価を行う。それに従ってストラテジーを組む。
   しかしリスク評価は単に一時的判断であり、施行する検査方法にも影響を与えるので絶対的では
   ない。  (かなり慎重なコメントなので、どうしていいのか分からない。取り敢えずリスク評価を
   PDFで掲載します。)

12) かなりの点がこの論文で明白になったが、不明な点は今後の研究が待たれるとしています。
   慎重ながらも自信満々の結論です。






私見)

 本院で出来る事は

 ・造影検査を予定している患者さんにはメトグルコ、利尿薬、鎮痛解熱剤、ARBは休薬も視野に入れて
  の説明とします。
 ・造影検査後の90日間は、本院でもクレアチニンで経過を見る必要がありますが、これのみでは腎障害
  の指標にはならない様です。
 ・本論文の主旨では、適正な判断で造影検査の有意義な点を無視しないように心がける事も大切だと
  しています。
  下記のPDFに、本論文のストラテジーとuptodateの指針を掲載します。



1 本論文より.pdf

2 uptodate.pdf

3 ガイドライン.pdf















posted by 斎賀一 at 16:20| Comment(0) | 泌尿器・腎臓・前立腺